心の回復期に「性欲」や「怒り」が強く出てくるのは「生きたい!」という本能的欲求に他ならない。



うつ病に限らず、燃え尽き症候群や無気力になっていた時期からの回復期に、なぜか性欲だけが盛んになったり、強い怒りが噴き出てきたりすることがよくあるんです。
それをどう扱っていいか分からなくなるのですが、それは潜在意識の「生きたい!」という強い意欲を表しているのです。

根本先生初めまして。
二年前に死に損なって脱け殻のままうっかり生き延びてしまっている者です。
鬱病と一応診断され薬も処方されていますが、なかなか効く薬と出会えず医者も特に信頼しておらず、日々無為に過ごしています。
二年前には本も読めず、一年前にも趣味というか好きだった料理やお菓子作りなども突然できなくなったりと、好きなものを次々封じられて脱け殻感が強くなっています。

そして、そんな中唯一、身体が無反応というか、枯れ果てたというか、性欲がなくなっていたことだけは心底安堵していたのですが、やはり一年ほど前に突如復活してしまい強い絶望を抱いております。
性欲ってなんなんでしょう。
わたしの人生の中でわたしを傷つけるためにしか作用したことがない気がしていて、強い性欲を持っている自分をとても嫌悪しています。
ただでさえろくに眠れず働くことも好きなことも出来ないのに、と日々追い詰められています。

わたしは古い価値観の家で育った三人姉弟の長女で、母親は人に依存するタイプで亡き父は寡黙な人でした。弟たちは姉である私が大好きでした(たぶん今も)(弟たちは両親から暴力を受けていたからかもしれません)。
せっかく母親の元から離れたのに人生あんまりだなとぼんやりして先に進めません。
考えようとすると苦しいところをぐるぐるしてどうにもならないのです。

このような話題でもネタになるでしょうか。
よろしくお願い致します。
(Kさん)

一見マニアックなネタに見えて、いやあ、実は案外あるんですよ~というお話をさせていただこうと思います。

結論から言うと「Kさんの潜在意識は生きたがっているようです」ということになります。

性欲って厄介なものに感じられるかもしれませんが、それは本能的な生命力の表れでもあり、それが回復してきたということはKさん自身の「生きる気力」を表しているんです。

この辺はもう顕在意識(頭)でどう思おうが関係なく、かつ、潜在意識の、しかも、深い部分から湧き上がってくる情動ですからコントロールすることもできないので、ただ身をゆだねるしかないものです。

間違っても思考で抑え込もうとしたって難しく、いわば、地底から力強く湧き上がってきた溶岩を噴火口に蓋をして抑え込もうとするくらい無意味なことです。

なので、Kさんはネットで地底から噴き出す溶岩の要するを撮影した動画を視聴しながら「これがあたしかあ」とつぶやいてみることをお勧めしたいです。

さて、Kさんはうつ病の診断を頂いて静養中(?)療養中(?)なのかもしれませんが、似たような症状を体験された方は少なくないんじゃないでしょうか?

仕事でも恋でも夫婦関係でも子育てでも何でもいいですが、頑張りすぎて気が付けば無気力になってくる、という。

で、Kさんが書いてくださったように、そうした状態になると次のような状態になりやすくなります。

・眠っても疲れが取れにくくなる。
・寝つきが悪い、または、睡眠が浅い。
・本や文字が読めなくなる。
・好きだったこともできなくなる。
・性欲や食欲がなくなっていく。
・一日中、身体が重い。
・先々のことが考えられなくなる。
・漠然とした不安がある。
・今まで当たり前にできてたことができなくなる。

たぶん、この辺は「うつ病 初期症状」とかで検索していただくと大量に情報が出てくるかと思いますが、カウンセリングでもそういうお話はよく伺います。

まあ、要するに心や体がストライキを起こしてるんですけど、でも、それって悪いことじゃないのですね。

それは防衛本能みたいなもので、「これ以上、今の生活を続けたらヤバいでっせ」というサインなわけです。

つまりは、休みなさい、緩みなさい、サボりなさい、逃げなさい、というメッセージがそうした症状を通じて発せられているんです。

でも、たいがいそういう状況になる人ってのは「自立」していますから、感情(体)からのメッセージよりも、思考を優位に働かせます。

つまり、体が「しんどいから休んだ方がええで。な、体、だるいやろ?寝といたらええねん」と言っても、思考が「いやいや、あかん。会社行かな、あかん。仕事せなあかん。人との約束もあるし、寝てなんていられへん」と判断して、鞭を振るって体を動かそうとするわけです。

私の元にはそんな状態の方がいらっしゃってくれることもあり、そんな様子をお伺いすれば、「あほか。なんで仕事なんかしてんねん。さっさと温泉行ってこいや!」などと伝えて強制的に休暇を取ることをお勧めするのですね。

「とりあえず心療内科行って診断書もらって会社に提出せよ」という課題を出したこともたくさんあります。

一方、そこで燃え尽きて廃人のようになり、中にはKさんのように病名も付いてしばらくお休みされてきた方もカウンセリングにいらっしゃいます。

そんな方には「そりゃあ、大変な思いしたわねえ。反省した?してへんやろ?また前みたいに頑張ろうとしてるやろ?アホか!さっさと温泉行ってこいや!」などと伝えて強制的に休暇を延長することをお勧めするのですね。

外傷でも同じですが、回復期ってけっこう重要で、「足を骨折して入院して骨がくっついて、リハビリが始まる頃」がとても重要なのと同じです。

以前より動けるようになったので、つい無理をしたり、以前の自分と同じようなことをして再発させたりするので、ほんと注意しなければならないんです。

で、その回復期に起こる変化の一つが「性欲の復活」であることは私の経験上、珍しいどころかよくあるものです。

回復期に入ると、だんだん本が読めるようになったり、好きなことを少しずつ再開できるようになるのですが、まだまだかつてのような動きはできません。

そんなときになぜか性欲だけが猛々しく復活してすごく手を焼く話が出てくるんです。

まあ、中にはそれが性欲ではなく食欲であるケースもあり、最近やたら食欲が出てきて太ってきた、なんて話も耳にします。

要するに食欲にしても性欲にしても、生命としての本能的な欲求なわけですから、それが回復してきたということは、体(心)が本格的な生命活動を開始したことを意味しています。

しかも、鬱になるくらいの頑張り屋であり、情熱的な人ってのは、そもそも持ってる排気量、いや、エネルギー量が膨大なわけで、生命力の回復を意味する性欲もいきなりずっこーん!と巨大に出てくるものでしょう。

なので、私はそんな話をクライアントさんから耳にすると「おめでとう(^^)」とシャンパンを開ける勢いでお祝いすることにしておりまして、「でも、相手がいるわけじゃないから困っとんねん!どうしたらええねん!」という訴えは既読スルーすることにしております。

そもそも抑うつ的な症状というのは「怒り」や「欲求」の抑圧と関係しているようで、Kさんも多分に「怒り」が溜まっている可能性があり、かつ、その「欲求」の代表格が性欲が出てきたことは吉兆なのです。

だから、性欲が旺盛になってしまってヤバい、という方にはもれなく「それくらいあなたは“生きたい!”のですよ」とお伝えすることにしています。

生きたい。
生き延びたい。

その強い欲求が性欲として出てきてると思っていただいていいんです。

そして、その欲求ってのは思考ではコントロールできるものではないですから、なすがままにするほかありません。

Kさんはたぶん、パワフルかつバイタリティの強い情熱の女なんだろうと思います。
そんなじゃじゃ馬が「古い価値観の家」に生まれるのはまことに皮肉なものですが(でもよくあることですが)、それ故に幼少期より、自分のエネルギーを抑圧し、良い子、いいお姉ちゃん、いい娘を演じて来られたんだろうと思います

それが成し遂げられるのもそのエネルギーの強さ故ですが、そんな自分を封印して来られたわけで、たぶん、うつ病になる前も生き辛さは相当感じていたかと思います。

いつも頑張って、いつもいい人をしてこられて、それがあるときにばたっと倒れてしまうことになったのでしょう。

だから、これからは「家」という束縛を抜け出し、「自分」という人生を生きていくことを目標にしてみたいものですね。

「自由」を謳歌できるような、そんなライフデザインをしていければなあ、と思います。

で、たぶん、そういう情熱的な人が自分を抑え込むときに使うのが「自己嫌悪」であり、「怒り」のエネルギーなんですよね。

だから、何に対しても自己否定が強くなり、常日頃から激しい自己攻撃を欠かさない日々を送って来られたんじゃないかと思います。

あ、ちなみにこの話、Kさんに限ったことじゃなくて、ほら、これを今、読んでくださっているあなたにも当てはまる話じゃないですか?ね?どう?

バイタリティが強くエネルギッシュな人は「怒り」も強いわけです。

その怒りを自分に向けて、自分がボロボロになるまで攻撃し続けた結果、ばたっと倒れちゃったわけです。

もしかするとKさん(そして、同志のみなさん)は、いつも「誰かのために」頑張って来られたのかもしれません。

外ばかり気にして、自分を抑え込んでしまったのかもしれません。

だから、“今日から”自分のために意識を向けていくことにしましょう。

Kさんに限らず、そして、性欲や怒りに限らず、自分の内側から湧き出るエネルギーを私たちは怖れ、封印してしまったり、あるいは、そのエネルギーに振り回されてしまうものです。

特に「才能」とも言える強いエネルギーに対しては喜びなんかよりも怖れの方が圧倒的に強く、幼少期から抑圧されてきたものでもあるので、どう扱っていいのか分からなくなるものです。

でも、それはほんと「思考」でコントロールできるものではなく、何なら「感情」ですら太刀打ちできないパワーを持つものです。

つまり、怖れていても勝手に出てくるし、嫌悪していても止まらないものなのです。

それくらい深いところから湧き上がるエネルギーなんですね。

そういうわけで、個人セッションなどでは「自分の中から湧き上がるエネルギーにただただ身を委ねるセッション」を頻繁に執り行うことになります。

とはいえ、そんな難しいものではなく、ただただ今の自分を感じ続けるだけなんですけどね。

性欲や怒りに関しても全く同じなんですけど、どちらも危険な感情なんかじゃないんです。

性欲が強く出てくると誰彼構わず襲ってしまったり、アバズレや淫乱になってしまう怖れを感じるものですが、案外、そんな風にはなりません。

怒りが強く出てくると誰彼構わず攻撃しまくりそうな気がしちゃうわけですけれど、そのエネルギーにただ身を委ねていると、案外、そんな風にはなりません。

むしろ、上手にそのエネルギーを流してあげるとただただ心地よかったり、体が熱くなり、その後、ふわふわっとした気分になってすごく緩んで眠たくなる、という場合もあるんです。

以前、Kさんと似たように性欲が強くなって日常生活に支障を来たしてる方に、ただそのエネルギーとつながり、流していくセッションをしたところ、気が付けばすやすやと眠ってしまいました。

その眠りが近年まれにみる熟睡だったようで、目を開けたときには「生まれ変わったような気がする」と感動されておりました。

まあ、それはたまたまうまく行っただけかもしれませんけどね。

ということで、セッションを受けなさい!ということを言いたいわけではなく、その性欲もただただあるがままに、感じるままにして、否定したり、抑えたり、コントロールしたりしないようにしてみることをお勧めしたいわけです。

「ただただ流してあげるだけ」というイメージで。

できれば、湧き上がってくる性欲を頭の上から抜いていくようなイメージをするとよいかもしれません。

さて、そんなKさんや、Kさんに共感される皆さんにお勧めしたいことがいくつかあります。

それは「自分に期待しないこと」とも言えることです。

何かを頑張ってやろうとしたり、無理してやろうとしたり、人の目を気にしたりしないようにするということであり、ただただ自分を最優先させることです。

「自分のご機嫌を取る」ということは以前からお勧めしているわけですが、これを実践するのはまさに「今」です。

自分がご機嫌になれること。それはどんなことでもいいので、それをできる範囲でやってみるのです。

そして、できるだけ自分を否定しないこと。

「まあ、それが今の自分なんやからしゃあないよね」と自分自身に日々声をかけてあげてください。

そうすると徐々にできることが増えていくので「ああ、元気になって行ってる」ということを実感できると思います。

ということで参考になりましたら幸いっす。

★自分のご機嫌をとるためのエクササイズ集。

「朝9時までに1分間ください。不安が消えて、心が元気になります。」(キノブックス発行)

★いざというときは「逃げる」べし!

ギリギリまで我慢してしまうあなたへ『逃げる技術』(徳間書店)

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心の回復期には怒りやイライラ、性欲が出てきやすい!?
 


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