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20年以上経ってると言っても、心の世界に時間は存在しないんですね。
それだけ大好きな兄からひどいことをされたらその瞬間に時計を止めて、そこにとどまってしまうものです。
だから、その時計を動かすために今できることから始めていくことにしましょう。
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今日(10/1)のTweetで「実はきょうだいの問題って人間関係に大きな影響を与えていると思う」といったつぶやきを拝見したので早速リクエスト送らせていただきます。
私には3歳上に兄がいるのですが、小さい頃は仲が良くいつも兄にくっついてまわっていたと母親からは聞いています。
ですが兄が思春期になり人目を気にするようになってから私は「太っている、ダサい」という理由で存在を隠されるようになりました。
兄の友達が家に遊びに来るときは「部屋から出るな、家にいるな」と言われ、その頃兄を恐怖に感じていた私はただ従うしかなく、暇つぶしに見た映画が主人公が首吊り自殺をするという結末だったので何とも重苦しい気分で帰宅したのを覚えています。
その後も「きょうだいはいないって事にしてある」と言われたりもしました。
20年以上経った今でも思い出す度に涙が止まらず、感情を解放しようと泣きたいだけ泣いていますが、一向に涙が減ることがありません。
もういい加減乗り越えたい!と根本先生のブログを読み漁ってきたのですが、いきつくところは「許し、、許し、、、許し、、」。
「許すとかマジ無理やわ・・・」と思っている私でもいつか許せる日が来るんでしょうか。
この出来事をどう乗り越えていったらいいかお知恵拝借できるとうれしいです!
(Aさん)
そのツイートはコレっすね。
↓
よく親子関係がテーマになるのだけど、実はきょうだいの問題って人間関係に大きな影響を与えてると思うのですよね。競争心や嫉妬、奪い、奪われる怖れ、劣等感に自己嫌悪。 だから親子関係で理解しづらい心理もきょうだいに目を向けると案外理解できたりする。心理的に微妙に遠いからこそ影響も大きい
— 根本裕幸|カウンセラー・作家・講師 (@nemotohiroyuki) October 1, 2021
きょうだいの問題って同じ親を持つ同志であると同時にその親の愛を奪い合うライバルでもあり、子どもの頃から一緒に成長していくがゆえに親とはまた違う人間関係の基準になったりします。
一般的に親子関係は「上下」、きょうだいは「横」のつながりに影響があるもので、非常に大雑把な話をしてしまえば「上司と問題がある」と聞けば「親との関係」、「同僚と問題がある」と聞けば「きょうだいの関係」を真っ先に思い浮かべるものです。
もちろん、大雑把な話で、必ずしもそうではないことがめちゃくちゃいっぱいあります。
つまり、親子関係と同じくらい、あるいは、それ以上に人間関係に影響を与えているのが「きょうだいの関係性」だと思うのですね。
そういうわけで、例えば「男ができねぇ」とうなだれる女子の話を聴いてみれば本人も自覚していなかったブラコンが判明したり、「女ばかりの職場は敵ばかりだ」という願ってもない(?)戦場に乗り込む武闘派女子は長年、姉と激しいバトルを繰り広げてきたことが背景にあったりするのです。
また、きょうだいってのは「冷静に考えればあれはいじめだったよね」という残酷な現実も多く、「姉にずっと罵倒され続けていた妹」や「姉に奴隷のようにコキ使われていた弟」や「何かと言えば兄に殴られていた弟」などの話もよく聴きます。
Aさんもそんな感じで、大好きなお兄ちゃんにいきなりそんなひどいことをされたら、そりゃあ、人間不信にもなるし、親密感への怖れも生まれるし、そもそも悲しいし、自信もなくなるし、絶望的な思いを抱きますよね。
いわば、大失恋みたいなもんですから。
きょうだいの問題において「思春期」というのはとても重要な時期で、それまでは仲良かった関係が、思春期を境にいきなりバトルになることも多いものです。
一般的には上の子が先に思春期に入りますから、何も知らない下の子は、兄・姉のいきなりの態度の変化に戸惑い、悲しく、寂しくなることも多いかもしれません。
Aさんのお兄ちゃんも妹のことがめちゃくちゃ好きだったみたいですね。
けど、思春期を迎えた男の子にとって「妹と仲良し」というのは当時はとても恥ずかしいことだったのでしょう。同級生からもからかわれますしねー。
今の時代はふつうに仲良しな兄妹も多いですけど、Aさんの時代や地域はまだまだだったのでしょう。
で、ここでポイントがひとつあるんです。
これは親子関係でよく言われることなのですが「べったりだった子どもほど反抗期が激しくなる」という法則です。
要するに「パパ大好きー!パパと結婚するー!パパとずっと一緒!」と言いながらパパにべったりだった娘ほど、思春期に入るとパパを嫌悪し、反抗するんです。
それはパパ大好き度に比例しますので、「娘がほんと俺にべったりでさー」と鼻の下を思い切り伸ばしながら娘自慢をされているパパさんは娘さんが思春期に入られたら覚悟しておくとよいですよ!笑
ちなみにうちの娘は「パパと結婚するー!」など一言も言わず、どちらかというとパパを「侍従兼奴隷兼乗り物」として扱ってきたので、高校生になった今でもその「侍従兼ATM兼運転手」と思っているようです。涙。
とはいえ、まあ、この反抗期の心理ってのは「ママ」の影響がとても大きく、最近は仲の良い父娘が多いのもそうしたケアをママがちゃんとしてくれてるからだろうと思います。(もちろん、パパも家族への接し方が昭和と変わってることも大きいです。)
さて、話が逸れてしまいましたが、何となく言いたいこと、伝わりました?
お兄ちゃんがAさんのことを大好きだったほど、思春期にその逆の言動をするんです。
「きょうだいはいないことにしている」というお兄ちゃん。どれくらい妹のことが大好きで、どれくらい恥ずかしがりなんでしょうね?
また、20年以上たった今でも涙が止まらないというAさんは、どれくらいお兄ちゃんのことが大好きだったのでしょう?そして、どれくらいその兄の言動に傷ついちゃったのでしょう?
大好きだから傷つくんですよね?
だから、それくらい傷つくってことはそれくらい好きだった(過去形???)ってことです。
てことは、今でもAさんの中には「あの仲の良かったお兄ちゃん」を求めている自分がいるんだろうと思います。
そして、お兄ちゃんにひどい仕打ちを受けて傷ついたときに、時計を止めちゃったようなもので、今でもどこかで「あの優しいお兄ちゃんに戻って」とか「お兄ちゃんともっと一緒に遊びたい」と思っているAさんがいるのかもしれません。
時が止まってしまっているから、泣いても泣いても涙が尽きないんだと思います。
つまり、それはまだ過去のことになっておらず、現在進行形なのですね。
だからお兄ちゃんに無視されたのは20年以上前のことではなく、「今」起きてることなんですね。
そりゃあ、涙、止まんないですよね。
だから、まず、それを「過去」のことにしてあげる必要があります。
今現在ではなく「過去」として受け入れるんです。
「部屋から出るな。家にいるな」って言われたのって昔のことですよね?でも、それが「今日言われたかのように」Aさんの心は捉えているのですから、「いやいや、それはちゃうで、過去のことやで」と自分に教えてあげる必要があるんです。
まあ、その過去のことが今現在起きてるように感じちゃうくらいお兄ちゃんのことが好き過ぎたのでしょう。
つまりはブラコンってことっすね!笑
さて、過去のことを過去として受け入れるために、まずは「もうそれは終わったんだよ。兄からのひどい仕打ちはもう終わったんだよ」ということを自分に語り掛けてあげるんですね。
「ほら、今では強くなって、兄にそんなことされても返り討ちにできるくらいの武器を揃えてるでしょ?」と言って、部屋に並べられたライフルやロケットランチャーや各種ナイフを自分に見せてあげるわけです。
で、そこでやっていただきたいのが「子どもの頃の自分に今の私から手紙を書く」という作業です。
一番、辛かったのは何歳くらいのときだったんでしょう?
もしそれが10歳くらいだとしたら、10歳の自分宛に大人になった今の自分が手紙を書いてあげるわけです。
10歳の女の子が読む手紙ですから、字は大きめに、あと難しい漢字は使わないほうがいいですね。
この手紙を3~5回くらい書いてみてください。
内容はどんなものでも構いませんが、できれば優しい文章の方がいいでしょうねー。
この作業によって「今の自分」と「過去の自分」に線引きができるようにもなるし、その辛かったころの自分を今の自分とつなげることもできます。
兄を許そうったって、いきなりそこに向かうのは無理なので、まずは過去の自分と今の自分をつなげてあげることが大事ですね。
それだけで兄のことがだいぶ楽になっちゃうケースも少なくありません。
そして、続いては手放しワークに移るわけですけれど、実は兄に対して「悲しい、寂しい、辛い」という思いがあるうちはなかなか手放せないんですね。
手放すには「自立」が必要で、悲しい気持ちばかりが出てくるうちは難しいんです。
だから、「怒り」が出てくるまでは上記の手紙を繰り返し書いてみるといいでしょう。
そして、怒りが出てきたらそれは自立し始めた証拠なので、兄を許したり手放したりすることもできるようになります。
そしたら、御恨み帳にバンバン怒りを書き出していきましょう。
その怒りを吐き出していくプロセスがひと段落したら、次は「理解」を入れると良いかもしれません。これは先ほど説明した思春期の心理や兄がシスコン過ぎたことを理解することですね。
そうすると客観的に兄を、当時の自分を見ることができます。
で、兄がなぜそんな態度を取ったのかを理解できるようになれば、いよいよ、本番ですね。
「兄が兄で良かったこと」とか「兄に感謝したいこと」を探していくんですな。
「許し=感謝」と思っていただいていいわけで、最後はここにやってきます。
逆に言えば、感謝する気がないうちはまだまだ傷ついてるし、怒っているし、許す気もないってことです。焦らずに時間をかけたほうが良いでしょう。
なんせ、Aさんは生まれた瞬間から離れて暮らすようになるまで長い間一緒にいた身近な相手ですから、そう簡単に許せるとか思わないほうが良いでしょう。
まあ、許すところまで行かなくても、今の人間関係が楽になったり、仕事がしやすくなったり、生きるのが楽しくなったり、男に目移りするようになったりしたらたぶん兄のことはどうでもよくなっていくと思いますが。
そう、最終的なゴールは「兄を好きになること」じゃありません。
「どうでもいい」と気にならなくなることです。
ということで、こうしたプロセスは下記の本や動画に詳しいのでぜひ利用していただくと良いですぞ。
★執着を手放すワークが満載の本&セミナー動画
*「もう傷つきたくない」あなたが執着を手放して「幸せ」になる本」(学研プラス)
*セミナーDVD『本気の手放しワーク』

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『きょうだいの葛藤が残す人間関係への影響』
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