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みなさんはお弁当などで好きなおかずを最初に食べるタイプですか?それとも最後にとっておくタイプですか?
そんな楽しみを後にとっておく方の心理について解説したいと思います。賞味期限が切れちゃう前に美味しくいただきたいですよね。
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今日は『楽しみをとっておく心理』について教えてください。
楽しみをとっておく心理について、根本さんもときたま軽くお触れになることはありますが、がっつりピンポイントでこの乗り越え方を教えていだだきたく、お願いします。
少なからず誰の心にもあるものかもしれませんが、私はこれがあまりにも強く、今この心理が自分のブロック、ブレーキになってしまっていることに気付きました。
私は何に対してもとっておくことをしてしまいます。それは形あるものないもの全てに当てはまり、
例えば、好きな食べ物をウキウキしながら買い、食べたくて買ったはずなのに食べずに大事に大事にとっておく。
素敵な物(靴、服、アクセサリー、お化粧品、文具など基本全ての物)を買っても使うのがもったいなくて大事に大事にとっておく。
すごく読みたくて買った本も手を付けずにとっておくこともあれば、あと数ページで読み終わる、というところでずっととっておく。
また形のない物に対しても同じ気持ちになります。温泉に行く、アマゾンプライムやネットフリックスを見る、漫画を読むなど趣味に対しても発動しますし、例を挙げだすとキリがないのですが…
この気持ちに自分なりに向き合ってみましたが、
「楽しみにしている、楽しみがある、状態をずっと保ちたい。」
「実行してしまったら終わってしまう。」
「また退屈に戻ってしまう。」
「また何か楽しいこと好きなことを探さないといけない。」
「もうこれ以上の物に出会えないかもしれない」
「叶えてしまった後の寂しさ虚しさを感じたくない(旅行の帰りなどの気持ちに似たもの)」
「なんかもったいない、もっとここぞ!というタイミングがあるはずだ、それまでとっておこう」
このブロック、ブレーキに困っているのは、根本さん直伝の好きなことしよう!心地いい時間を増やそう!を実践しようにも、上記の感覚との綱引きで全く進むことができません。
私は幼稚園くらいからつまんないな~という気持ちがずーーっとあり何をしても必ず感じますし、今の生活も仕事を筆頭に退屈の極みだったりします。ゆえに楽しみをとっておきその状態に執着しているのでしょうか…
こんな私の心を読み解き進み方を教えていただけないでしょうか?
(Mさん)
要するにめちゃくちゃ情熱の女っつーことでんな。
「退屈が何よりも嫌い!!」という情熱系武闘派女子の場合、常に自分を炎に包んでおくために様々な趣向を凝らすことは有名な話です。
同時に複数の獲物を追いかける。
一つの獲物を捕まえたら、即座にさらなる困難を求め、獲物を探し始める。
猫が獲物をなぶるように手に入りそうで入らない状況を楽しむ。
うちの読者のみなさまにおかれましては少なからずお心当たりがあるでしょう。笑
Mさんはこの最後のやつに近い心理かもしれません。
感情的なものはすべてと言っていいほど書いてくださってるので、その部分はすっ飛ばしますが、「欲しいものを味わってしまったらもうそれが終わってしまい、あのくっそ嫌な退屈がやってくる・・・」と思えば賞味期限ぎりぎりまで取っておくのも無理はありません。
その間、ずーっとワクワクが続くわけですから。
これってチラリズムの世界とおんなじですかね?もしかして。
ただ、Mさんが提示してくれた「楽しみをとっておく心理」って実に味わい深いなあ、と思うのは、これって「夢」「ヴィジョン」「目標」においても同じことが言えるからです。
夢が叶ってしまったら退屈してしまうから、夢は叶わない方がいい。
夢を持ったらいずれ叶ってしまうから、そもそも夢を持たないほうがいい。
無意識にそんな戦略を立てて生きてる方もいらっしゃるかと思います。
無意識に、というところがポイントでして、情熱系なはずなのに夢が見つからないという方は、そんな心理が働いて「夢を持たないようにしている」のかもしれません。
思い当たる方はちょっと自分の心の内を見てみられると良いでしょう。
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さて、楽しみをとっておくのは、それを手に入れてしまったら退屈して死んでしまいそうだからなんですが、もちろん、それだけでなく、退屈の前にやってくる「ああ、もうなくなっちゃう(終わっちゃう)」という「寂しさ」や「悲しさ」です。
めちゃくちゃハマった小説があって、どんどん読み進んでみるんだけど、気が付けばあと20ページくらいで終わっちゃう・・・。
「ええ、こんないい小説なのにもう読み終わっちゃうの?
最後どうなるかめちゃくちゃ気になるけど、このコーフンを取っておきたい!
だから読むの、やめる!」
なんて思うわけです。
読み終わった後にやってくる寂しさや悲しみ、ああ、この感動はもう味わえないのか、というある種の喪失感のようなもの、それが怖いというのもあるでしょう。
もちろん、そのあとにやってくる「燃え尽き症候群」のような退屈もめちゃくちゃイヤだしね。
・・・つくづく情熱的ですよね、ほんま。
これは「新発売のチョコ」でも「新しいワンピース」でも「ずっと見たかった映画」でも同じことが言えますね。
それくらい感情の炎を燃やすのが好きなんだと思います。Mさんは。そして、同志のみなさんは。
小説を読んでる間の、モノを買ってそれを眺めている間の、映画を見ているときの、あの興奮、喜び、感動が大好きなんですね。
ワクワクしている気持ちが大好きだから、それを失いたくないんですよね。
だから、そのままの状態をキープしておきたいと思います。
しかし、食べ物なら消費期限があるし、服なら季節や流行に合わなくなる時期があるし、映画は勝手に始まって勝手に終わるし、小説も本を伏せている間に感動も薄れ、内容も忘れていくし、その状態をキープしようにもキープできない現実もあります。
そことどう向き合えばいいのか?
「この小説を読み終わったら寂しくなって退屈してしまう」と思うと、人はたいがいそこでブレーキをかけてしまいます。
「今」を楽しまないようにコントロールしちゃうんです。
「あと20ページで終わっちゃうから、そんなにテンション上げずに行ったろ」というわけです。
落差が怖いんですね。
めちゃくちゃコーフンしている気持ちと、そのあとにやってくる寂しさや退屈のギャップが怖いんです。
だから、自分の気持ちをコントロールしてテンションが上がりすぎないようにしてしまいます。
「楽しくて、面白い、この気持ちをキープしておきたい」と思うのはそうした心理の表れなんです。
もっと楽しんでいいし、もっと面白がっていいし、もっと喜んでいいし、もっと感動していいんです。
「もう終わっちゃう」と思ってブレーキをかけるのではなく、むしろアクセルを踏むんです。
小説で言えばラスト20ページを一気呵成に読み切ってみるわけです。
そんな風に「今、をもっと楽しむ」という意識を持ってみます。
そうすると寂しさも悲しみもやってくるかもしれませんが、それ以上に感動や喜びや面白さや楽しみが継続します。
本で言えば「読後感」という奴がいい感じの状態で心を満たしてくれます。
「余韻に浸る」ということができるんです。
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「楽しみをとっておく」ことで、情熱をコントロールしようとすることが、逆に、得られる感動の総量を減らしてしまうのかもしれません。
それってある意味もったいないですよね。
情熱をもっと燃やしたいのに、消えるのが怖くて火力を調整するようなものですから、逆にフラストレーションも溜まってきます。
そうして情熱を押さえようとコントロールした分だけ、本を読み終わった後の落胆も大きくなりますし、退屈も際立つようになるんです。
「今」を楽しむ。
「今」をもっと楽しむ。
そんな許可を自分に出してあげましょうか。
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さて、それだけ情熱的なMさんや同志の皆さんにとって、もう少し現実的な話をしたいと思います。
それは「喜びをシェアする」って発想ですね。
チョコでも、服でも、映画でも、本でも、そのあとに続くストーリーを描いてあげることでその感動を引っ張ることができるどころか、むしろさらに上げることもできます。
本を読み終わったら、その寂しさや喪失感を感じつつも、内容のすばらしさ、感動、面白さ、楽しみを誰かにシェアするんです。
SNSでアップしてもいいし、友達に紹介してあげてもいいでしょう。
その感動や喜びを自分ひとりの世界に留めるのではなく、みんなで共有するわけです。
チョコでも、服でも、映画でも、本でも、ネットを覗いてみれば同じように感動した人たちがその感動をシェアしています。
そこで「ああ、同志たちがいるー!」と「つながり」を感じることができます。
その「つながり」があると、また盛り上がるわけです。
友達と一緒に映画を見に行って、すごく感動して、終わった後に茶をシバきながら映画について語り合う至福の時間を多くの方は体験されてると思います。
新しい服を着て友達や彼氏に会って「それ、かわいいー!めっちゃ似合うー!」と歯の浮くような美辞麗句を並べられてさらにうれしくなった経験もあるでしょう?
その小説についての感動を書き連ねてる一連のツイートを見つけて、思わず参加しちゃったことのある方もいらっしゃるかもしれません。
喜びは同志とシェアすることでさらに増大させることができるのです。
こういう意識を持ってみるとそのものがもたらしてくれる喜びに加えて、分かち合える喜びが加わるので、退屈って案外しないんです。
もちろん、その「つながり」からさらに情熱に火が付く情報が得られることもよくありますよね?
「これが好きだったらきっと○○も好きだと思うよー」「このワンピースだったら、○○のスカーフがきっとお似合いだと思う」「こんど一緒に○○を見に行こうよ!ぜったい面白いから!」みたいな話が飛び込んでくるんですな。
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とはいえ、ここで気になるのはMさんがそうした「シェア」に抵抗を示すんじゃねえか?というパターン。
一人でこっそり楽しみたい。
これは私だけの楽しみに取っておきたい。
そんな「お一人様」を楽しむ心理。
その場合、もしかしたら人に喜びを奪われたり、否定されたり、けなされたりすることを怖れてるのかもしれません。
ってことは、そこに何らかのトラウマがあるってことですね。
カウンセリングならソッコー、お母ちゃんやお姉ちゃんとの関係や思春期の友達関係などに探りを入れていく場面です。
誰かに自分の世界をめちゃくちゃにされた痛みがあって、それが原因で面白いものは誰にも言わずに一人で味わいたい、という思いになってるならば、その痛みと向き合うことが大事です。
ここは対人関係(人が怖い、不信感等)の問題になってきますね。
そういえば奪われるのが怖い心理も最近どこかで書いたような気がします。。。
これか。
※「他人に「奪われる怖れ」「侵略される怖れ」とは何か?そして、その対策について。」
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Mさんや同志のみなさまは、「生きてる」ということにめちゃくちゃコーフンし、テンション上がり、今を楽しめる方なんだろうと思います。
同じことは人生においても言えますよね?
人生の終わりに悲しみ、寂しさでいっぱいにならぬよう、「今」をもっと楽しむことに意識を向けてみるといいかもしれません。
ちなみに、一説によれば天国はとても退屈なところらしいので、やはり武闘派女子のみなさまは刺激を求めてこぞって地獄に落ちたがるのでしょうか。
★寂しさと孤独感を癒す本
5/12発売!「ふと感じる寂しさ、孤独感を癒す本」(清流出版)

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『楽しみを後にとっておく心理』
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