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一見、それって前向きかついいことのように思えるんですけど、スタート地点が「自己否定」なので、仮に理想を達成しても、その理想を達成した自分を「否定」して、新たな「理想」を掲げることになるので、むしろ悪循環なんです。
いつまで頑張らなきゃいけないんだろう?と思う方にこそ、必要な意識改革ですね。
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こうあらねば、という理想を追いかけてるといつも今の自分を否定しなきゃ行けなくなるし、それが癖になるのでどんだけ頑張って成果をあげても自己否定が取れずに自信に繋がらない。今の不十分な自分を「しゃあないやん。それが今の自分なんやし」と受け入れることがカギになる。
— 根本裕幸|カウンセラー・作家・講師 (@nemotohiroyuki) November 20, 2020
個人セッションで「こんなパターンがあるっすよねー?いつもこのパターンにハマってるよねー!気が付けばこういう思考をしちゃってるよねー」という話をしていて、ああ、これはけっこうたくさんの人に当てはまることやなあ、ということでネタにしてみました。
理想主義って奴なんですけどね。
分かっていても、なかなか気づけない、気づいても抜け出せないこととして有名なパターンです。
今の自分は何かとダメで、「こうならなければならない」「こうすべきなのに」「こういう自分になりたいのに」「自分はもっとできるはずなのに」という思いを「理想の私」を掲げて、そのギャップを埋めるために頑張るんです。
この「理想の私」というのは、「義務」もあるんですけど、ほかにも「なりたい自分」とか「こういう自分だったらいいのにー」という理想そのものだったり、あるいは、自分が自分にかけてる期待(もっとできるはず)だったりします。
だから、一見、「目標を掲げてそれに向かって頑張ってる」という風に映り、良いことのように思えたりするんですけど、よくよく見るとスタート地点が常に「ダメな自分」という否定になってるんです。
「ほんとはこんなだらだらしてるんじゃなくて、ちゃんと婚活とかしなきゃいけないのに」
「家の片づけするくらいなら、もっとビジネスの勉強すればいいのに」
「こんなダサい自分じゃなくて、オシャレでイケてる女子になりたいのに」
「もっと頑張れる人だったら、いい評価をもらってとっくに昇進してるのに」
「自分のここがダメだから男ができない。もっと女を磨かなければ!」
「こんな性格の悪い女なんて愛されないに決まってる。いつもニコニコして穏やかな人にならねば」
まあ、こんな例は書き続けたらそれだけで本が2冊ほどできちゃいそうなんですけど、皆さんも、朝からずいぶんこの思考にハマってたりしませんか?
で、ここで大事なのは「頑張り屋さん」ってところなんですな。(もちろん、この理想主義にハマる方は「もっと頑張らなきゃいけないのに(理想)、全然頑張ってないんです(否定)」という風におっしゃいますが。)
ダメな私を何とかしようとして、理想の私に向けて頑張るんです。
その頑張れるところってすごいし、実は、そこでかなりの成果を上げてるんですけど、そこで切ないことに「理想の私に近づくと、そこでさらに高度な理想の私が登場する」というパターンも出てくるわけです。
だから、全然その成果が受け取れません。
でも、どこかでその成功体験を知っているんですね。
あるいは、自分にはそのやり方しかないって思ってるんですね。
そうすると意識は常に自分のダメなところを探し続けることになります。
「できてることよりも、できないこと」「自分の長所より自分の短所」に目が行くんです。
そして、いつもため息をついてしまいます。
なんでこんな私なんだろう?
なんで私はこんなにダメなんだろう?
どうして私はこんなに未熟なんだろう?
いい歳こいて、なんで何もできないんだろう?
ってことをずーっと頭の中で反芻することになります。
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そもそもこの「ダメな今の私」ってのを誰が作ったのか?というと、もちろん、自分ですけれど、その制作に協力してくれてる人がいろいろ登場します。
もちろん、その栄えある第一位は「おかん」ですね。毎度おなじみです。
お母さんが「あんたこんなんじゃ、あかんやん」みたいなことを言ってたりするんです。
先日の記事、「成熟した魅力を持つ「大人女子」へと成長する方法。」のYさんはお母さんから「もっと精神的に大人になりなさい!」なんて言われて、「ああ、あたしは大人じゃないんだ」と今の自分を否定し、「もっと大人女子になりたいっす!!」と理想を掲げてリクエストをくださいました。
だから、私はその文中、「いやいや、あんたにも十分大人な部分あるで?」と「今を肯定する話」をしています。
第二位以下は様々なケースがあります。
お父ちゃん、というケースもたくさんありますねー。
お父ちゃんから期待された、お父ちゃんを反面教師にした、お父ちゃんがすごく厳しくて反発してた、みたいな時代を経てくると、お父さんの期待に応えられない私がいつもいますし、お父ちゃんみたいな自分に嫌悪するし、お父ちゃんに大切にされない自分はダメだ、と思い込むようになります。
それから、思春期くらいに強いんですが、周りの人たちとの比較です。
「あの子はきれいだけど、あたしはかわいくない」
「あの子はスタイルいいけど、私は太ってる」
「あの子は頭がいいけど、あたしは成績がよくない」
「あの子の家はお金持ちだけど、うちは普通の家」
「あの子は先生にかわいがられてるけど、私はそうじゃない」
思春期は周りと比較を始める時期なので無理はないですけど、「私は○○じゃない」という否定形になっちゃっていて、それが後年、強い思い込みになってることもあります。
うちのクライアントさんの美女は中学生の頃、太っていて、周りの男子にからかわれていたそうなんですね。
その思いがずっと心の中に残っているから、大人になって周りから「きれいやー」「美人さんやー」って言われても、全然受け取れず。「全然美人なんかじゃないです」と言い続ける人生になっちゃいました。
「私はきれいじゃない。だからもっと頑張ってきれいにしてなきゃ彼氏もできない」と思い込んでいるんです。
この「比較」ってのは様々なところに出てきますし、また、なんかしらんけど「常識」というのにも私たちは大いに縛られてますね。
「みんなできてるのに、私はできない」
「みんなふつうにやってることが、私にはできてない」
この「常識」や「ふつう」という化け物に私たちはだいぶ脅かされていて、「他の人ができてることができないってめっちゃ個性やん!それ、めっちゃ売りになるやん!」という発想にならずに、「私はダメ人間」という風に思い込んでしまうんです。
ちなみに私も20代の頃、御堂筋線心斎橋駅のホームで「なんでみんな普通に会社に行けてるのに、自分はこんなに苦痛なんだろう?」と思いながら電車を待っていたことがありました。
まあ、向いてなかっただけなんですけどね。
当時の自分は「ちゃんと会社に行けてるのが普通」だと思い込んでいたので、それを苦痛に感じている自分を「学生気分が抜けきらないダメな奴」と否定し、「楽しく面白く会社に行くことが理想だ」と思っていたわけです。
「おかん」「おとん」「思春期(周りとの比較)」とくれば、次に登場するのは「彼氏・彼女」の存在ですね。
彼氏が発した一言をずーっと引きずっていて、それが自己否定になっちゃってる場合はすごくあります。
性格的なこともそうだし、体のこともそうです。
好きな人に言われることってめちゃくちゃ響きますから、あとに残りやすいですね。
すごく自分にダメ出ししてしまいます。
そして、それをずーっと引きずって、思い込みになり、もっと頑張らなきゃ、と自分に鞭を振るい続けることになります。
そんな風に自分のことを「ダメ」だと否定して、それを克服するために頑張って「理想」を追い求める自分はいたるところで生まれる可能性があるもので、そして、それが癖になるんですね。
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どうしたらそこから抜け出せるのか?
まずは、このパターンを頭の中に叩き込んでおく必要があります。
「この図を写メして待ち受けにしたら?」って昨日は話しました(笑)
気が付けばこの思考パターンに陥っているので、何かと意識しなきゃいけないんです。
ついつい「この間友達と話してたらけっこう婚活頑張ってるみたいで。私なんて全然何もしてなくてのんびりしすぎてるな、と思っちゃったんです。やっぱりもっと頑張って婚活しなきゃいけないですよね?」なんてカウンセラーに相談しちゃうんです。
1本のカウンセリングの中に何度もそういう話題が出てきます。
揚げ足を取ることを得意としている某カウンセラーも追いかけきれないくらいたくさん出てくる人がいます。
なので、気が付けばそういう思考パターンに陥ってることに気付き、ふだんから目を光らせておきましょう。
そして、「あああああ、またやっとるわー!!!」と気付いたら、自分にこう言うてあげます。
「それが今の自分なんやからしゃあないやん」
(もちろん、皆さまのなじみの方言に置き換えてください。)
ありきたりな表現ですけど、今の自分をありのままに肯定するってことです。
ここが頑張るところです!
「自分ではそうは思えないけど今の自分にだってできてるところはあるし、今の自分にだって価値はあるんだろうなあ」と思うことを癖にしてみるんですね。
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以前もどこかに書いた記憶があるんですけど、「今の自分を否定」することは、わざわざマイナスを作る(借金をする)みたいなもんです。
だから、「理想」の自分はずーっと高いところに置かれます。
だって、マイナス(借金)からプラス(貯金)に持って行こうとするんですから。
今の自分を肯定するってことは「0」というより「すでにプラス」です。
プラスから、さらにプラスを目指すことは、今ある貯金を増やすことになります。
借金返済と貯金を増やすのとどっちが好きですか?
※もちろん、借金をする方がやる気がでるんだ!というタイプの方は、今日の話は忘れてもらっていいです(笑)
なので、「それが今の自分だからしゃあないよねー」というのを口癖にしてみてください。
ちなみにそういう提案をすると「なんか怠け者になって、全然頑張らなくなりそう」と思われる方もいると思います。
それくらい無理して頑張って何とかしようとしてきた方ですね。
頑張る理由が自己否定になってるわけですから。
そういう方こそ、頑張る理由を変えてみるんです。
「今の自分を認める(肯定する)ことを頑張る」から「今の自分でもOKだけど、さらに魅力的になるた目に頑張る」という風に。
そもそも人は、不安や怖れなどのネガティブな感情が行動の動機になりやすいんです。
だから、貯金を増やすよりも、借金を返すほうが「義務感」があるので頑張りやすくなります。
けれど、そのために常に自分を否定し続けるとしたら、それは大いなる自分いじめになります。
だから、今の自分を肯定できるようになったら、今まで自分が成し遂げてきた成果をちゃんと受け取ることもしなきゃいけません。
自分なりに頑張って得たもの、人、評価、価値、魅力・・・。
なので、今日のパターンにハマってしまってる方が頑張ることは2つ。
(1)今の自分を肯定すること
(2)かつての自分が成し遂げてきたことの価値を見ること
さっそく今日から取り組んでまいりましょう。
★理想主義にハマっちまう方のための本&セミナー動画
*『「いつも無理してるな」と思った時に読む本』(大和書房)
*セミナー動画:心のメイクを落として本来の自分らしさを取り戻すワークショップ3days
★自己肯定感をあげるDVD&書籍&ムック本
*自己肯定感とは?(Youtube)
*動画配信/DVD「自己肯定感をあげる3daysプログラム」
*「敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法」(あさ出版)
*「マンガでやさしくわかる敏感すぎるあなたがラクになる方法」(日本能率協会マネジメントセンター)
*「ムック本「書くだけで「自己肯定感」が高まるワークブック」」(宝島社)
*ムック本「自己肯定感を高めるお得技ベストセレクション」(晋遊舎)
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