心理学をかじっていい人過ぎる人になってしまった!?



心理学を学ぶと相手のことが分かるようになるのでいい人になってしまい、自分を抑え込んでしまうことがあります。
カギはやはり「自分軸」であり「自己肯定感」であるようです。

根本さん、教えてください

心理学を読みすぎて、どうやらいい人すぎる人になってしまったみたいです!!

別れたロックマンな彼
仕事のトラブルで追い込まれ、誰にも頼らず、私を頼ることもできず、結果いろいろなものを失い、人格すら変わってしまったようです

私に時間を作らないのも「きっとどの面下げて会っていいのかわからないんだろう」とか、
「嫌いじゃない」って言葉も「こんなに何もできてない自分では好きとは言えない」とか、
根っこは愛情からきているのだろうと、良いように解釈して彼の愛情を信じてきました

結果、逆切れされて一方的にふられましたが、実際は数か月前に結婚し、先日子供が産まれた事を聞きました

彼としても不本意だったのか、悪意があったのかはわかりません
言えなかっただけなのかもしれません

一般的にはひどい放置をされていましたので他の人であれば私も信じませんでした
ただ復縁した彼という事もあり、昔の良かった彼も知っていたので、彼だから信じようと思っていました

心理学をかじって色々な恩恵もあったし、出会えて良かったと思います
そんな彼を信じてこれた自分は褒めてあげたいと思います

「どうしてそんなに許せるの?」と、周りには理解されずに過ごしてきましたが、信じすぎてきた事が彼にとって重荷になってしまった結果なのかと、自分を責める気持ちも無いとは言えません

私は、いい人すぎる人になってしまったのでしょうか
バランスが取れるようになれるのでしょうか
(Hさん)

心理学を学ぶと人の心がいろいろと理解できるので、ふつうならば「おい、ちょっと表出ろ!」てやってしまうところを「きっと彼にも事情があるのでしょう」と生温かく見守ってあげることができるようになります。

とはいえ、心理学を学ばずとも、元々人の気持ちを考えたり、分かってしまったりする人はHさんと同じような体験をされた人も多いんじゃないでしょうか?

そもそもロックマン・野良猫愛好家の方の中には、彼(彼女)の予測不可能な行動に対して、善意の解釈をすることが多いんですね。

良かれと思って見守ってあげてたらトンビに油揚げをさらわれた事件も多発しています。

だから、セミナーとかでは「直線一気」「一点突破全面展開」「怒涛の寄り」などの突撃をお勧めすることも多いです。

心理学を学ぶと人の心が理解できるようになります。
ロックマンのあの不可解な言動についても、
「怖がりさんだなあ」
「素直じゃないのね」
「自分のことが嫌いなんだ」
「見た目と違って全然自信ないのね」
「よ!ミスターチキンハートくん!」
などと理解できることによって、付き合いやすくなるメリットは大きいです。

しかし、心理学ってのは「いい人になれ」ということを教えているわけではありません(と私は解釈しています)。

それでリトリートセミナーなどでは「不義理非人情」をテーマに掲げて「いい人やめようキャンペーン」を張ることも多いのです。

心理学を学ぶことによって、相手の表には見せない気持ちを理解することができるようになり、それによって接しやすくなる、距離を取りやすくなる、近付きやすくなる、手のひらの上で転がしやすくなる、首輪をつけて飼い猫に変えられる、きちんと躾ができるようになるわけです。

でも、なぜ、心理学を学んでもそうはならないのか?いい人になりすぎるのか?というと、その基本系である「自分軸」が確立されていないことが大きな要因なのかもしれません。

心理学を学ぶと当然ですけど「怒り」を許せるようになります。

つまり、「おいおい、その態度はどないやねん」と思ったときに、RPGよろしくあなたの中に選択肢が生まれます。

A.彼は悪気はないんだからここは大目に見てあげよう
B.悪気はないったってムカつくから体育館の裏に呼び出しをしてヤキを入れよう
C.おいおい、そりゃないぜセニョリータ。東京湾に沈んでみるかい?
D.そんな男はもういらん。離れるべし。
E.どんな事情があるのかきちんと事務所で説明してもらおうじゃねーか

というところで、今回は「A」を選ぼうってのが「自分軸」です。

特にロックマンを好きになってしまう自立系武闘派情熱女子の皆さんの場合、かつて、散々相手を振り回して来たり、敵陣に突撃していって痛い思いをしたり、ラスボスおかんとの戦闘で疲れ果てていたり、まあ、色々と事情があって「今までの行いを悔い改めていい人になろう」と思って心理学に出会う人も多いです。

出家じゃないんですけどね。心理学って。

そうすると、元々相手の気持ちを考えすぎる人が、心理学って知識を得て、より一層相手の気持ちを考えるようになると、心理学が諸刃の剣になってしまうのです。

武闘派女子に対して「諸刃の剣」ってものすごくぴったりな表現ですよね・・・。リアリティありすぎますね・・・。

心理学とは関係ない話ですが、以前、あるセミナーの主催者からこんな相談をされたことがあります。

「うちの先生が教えてることを生かしてる人とそうでない人がいて、A社長とかBさんとかCくんとか『先生が言うてることがすべてじゃねーしな』っていいとこ取りをしてる人ほどうまくいってるんですよね。根本さんもその一人だと思うんですが。
でも、先生の教えを一生懸命やって採り入れようとしてる人ほどなんか空回りしてるように思えるんです。なぜですかね?できれば、そういう人たちももっと成功できるようにサポートしていきたいと思っているんです。」

その時に私が「僕はこう思うんだけど・・・」ってお話ししたのが、自分軸と他人軸(先生軸)の話です。

「先生の考えというのがあって、もちろん、それは間違いじゃないんだけど、それが唯一の正解ってことはないと思うんですよね。たくさんある正解の一つであって。
それで、その正解が『自分に合うのかどうか?』とか『今、この場面で自分が使えるのかどうか?』って自分軸で判断できる人がたぶん成功する人なんですよね。
でも、闇雲に先生の言うことを全部受け入れて実行したって合うかどうかわからないですよね」

心理学って別名「ああ言えばこう言う学」って言われてるのご存知でしょうか?
相反することを平気で言ってるんです。

「相手を理解して受け入れて優しくしてあげましょう」とも言うし、「ムカつくときはムカつくでちゃんと怒りを伝えましょう」とも言います。

どっちが答えなのよ!って思うかもしれませんが、どっちも答えなんです。

選択権は「自分」にあります。どっちを選んでもいいんです。それが「自由」です。

これがものすごく重要なことなんです。

私は心理学というのは人の心が理解できるようになったり、成功したりするだけでなく、自分自身を自由にしてくれるツールだと思っています。

「自由」というのは「選択肢がある状態」だと思っています。

心理学というのは「こういう風に考えることもできるよ、ああいう風にすることもできるよ」って様々な選択肢を与えてくれます。

だからこそ、自分軸が確立していないと、心理学を学んで心理学に振り回されるという本末転倒なことが起きて来るんです。

とはいえ、自分軸を確立してから心理学を学ぼうと思うと時間かかっちゃいますから、現実的には「心理学を学びながら自分軸を確立していこう」ということです。

これが「自分なりのバランス感覚を磨く」ということにもなるんです。

さて、Hさんのお話に戻りましょう(というか、始めましょう、が正解ですね。例によって長すぎる前戯でした・・・)。

彼を信じてあげたくて、信じたんだから、それでいいんじゃないでしょうか?
信じた彼がHさんに黙って結婚して子どもが生まれたんなら、それを祝福してあげられますよね?

信じるって「自分の思い通りに相手が行動するのを待つこと」ではないですよね?
「彼がどんな行動をしようとも私はそれを支持する」ということですよね?

私に事情を言えなかったことも「ああ、彼はチキンハートだからねー、しょうがないよねー。罪悪感感じ過ぎだよねえ」と理解できますよね。

「そんな彼だから私に黙って結婚しちゃうってまあ、分かる分かる。素直に言ってくれたらお祝儀くらい出してあげるのに」って、言えますよね。

どうでしょう?
痛い?
ムカつく?
悲しくなる?
彼はともかく根本さん、死ね!て思う?(笑)

心理学を学んで彼の心理が理解できるようになったなら、彼がこういう行動をすることもきっと理解できると思うんです。

「まあ、彼らしいよねえ~」って。

その人を好きで、その人を信じるのであれば、そういう行動をする彼のことも好きで、信じられると思うのです。

でも、人間って欲があります。
好きな彼のことを自分のものにしたいと思います。

先に書いたような行動ができる人って自分軸で、自己肯定感がめちゃくちゃ高くないとできない行動です。

「分かるっちゃ、分かるけど、でも、悲しい、あああ、めちゃくちゃ悔しい・・・なんでなの???」ってなるのが人間らしい人間だと思います。

だから、周りの友達は言うんです。

>「どうしてそんなに許せるの?」

ってね。

Hさん、もともといい人をやってきませんでしたか?
ロックマンの彼もそうだけど、Hさんも自分の気持ちに嘘をついたり、隠したりしていませんか?

それって彼を信じたことになるんでしょうか?
きつい言い方になるけれど、もしかしてHさんは彼を失うことが怖くて、彼に何も言えないことを、心理学を使って正当化してきただけではないでしょうか?
悲しいこと、寂しいこと、ムカつくことを、我慢する理由に心理学を利用しただけではないでしょうか?

信じる、といのは、愛する、と同義語です。
だから、信じることは重たくなることはありません。愛だから。
でも、違う意味で「信じる」ならば、それは重たくなります。欲を隠してるから。

「私、あなたを信じてる」って言葉がドラマでもよくありますけれど、その意図は、「あなたは私を裏切らないよね?私を傷つけるようなことはしないよね?これだけ私があなたを受け入れているんだから、あなたも私を受け入れてくれるよね?」という意味で都合よく使われることも多いですね。

そんな意図で「信じてる」って言われたら、そりゃあ、離れたくなると思いませんか?
この「信じてる」というのは本来の意味ではなく、依存心の表れ、他人軸な言葉として使われているわけですから重たいです。

心理学ってそういう風に「信じる」という言葉の裏にある感情まで見ていきます。

信じる。
信頼する。

その意味は、相手のことを丸ごと受け入れ、そして、そのあらゆる行動を支持してあげること。

彼が自分を傷つける行動を選択したとしても、それが彼の選んだことだから、と受け入れてあげられること。

だから、信じるためには「自分軸」かつ「高い自己肯定感」が求められますよね。

Hさんにとって、そういうことを学ぶきっかけにしてもらえたら、と思います。

私がHさんとお話しする機会があるとするならば、きっとこう質問すると思うんです。

「で、本音はどうなの?彼を秩父の山あたりに埋めたい気分じゃね?」

心理学を学んで実践するとどんどん人間臭くなると思うんですよね、ほんとのところ。
怒るときは怒るし、泣くときは泣くし、わがままになるし。
でも、生き易くなりますし、それが自分らしさだからどんどん魅力的になって行きます。

だから、心理学はまずは自分自身に使う、ということが始まりなんですね。
自分を知るために、自分が生き易くするために、自分と上手に付き合えるようにするために、まずは役立つもんなんです。

自分軸になって自己肯定感をあげるならコレ

敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法」(あさ出版)

3/25 東京、3/31 札幌で開催。
ワークショップ「自己肯定感をあげて仕事や恋愛を成功に導く7つのメソッド」
https://nemotohiroyuki.jp/event-cat/22174


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