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怒りを溜め込んでいると少々出しただけではすっきりしないものです。
ずっといい子・いい人をしてきて溜め込んでる場合もあるし、そもそも怒りに慣れてないこともありますよね。
それに動けない時間はエネルギーを溜め込んだり、心の準備をしたりしてるケースもあるので、そこにも意味があるんです。
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いつもメルマガありがとうございます。
毎日楽しみにしています。
今日は初めて、メールをしてみたいと思います。
テーマは「怒り」です。
最近転職・独立を考えているのですが、なかなか動けず、悶々としながら日々を送っています。根本先生の話だけでなく、手当たり次第本を読み漁っては、行動のきっかけをつかみたいと思っているのですが、一向に進みません。
そんな中、まずは自分と向き合おうと、考えたこと、思いついたことをノートに書いてみたり、お恨み帳を書いてみたりと、自分の心にある思い込みを探してみたりしています。
なるべく心穏やかなんて思いながら、過ごしているのでが、なかなかうまく行きません。
うまくいかないことの一つが、怒りです。
私は世間に対して相当の怒りがあるようで、電車に乗る度嫌な思いをしています。
座れない、押された、抜かされた、と挙げていくときりがないのですが、特に電車では大変です。誰か特定の人に対しての怒りじゃないので、どこにぶつけていいかもわからず、途方に暮れています。
また、普段そんな気持ちを貯めているせいか、お酒が入ると、毒を吐きまくります。きっと一緒にいる人も引くくらいに。
また、お恨み帳を書いてると、なぜか最後には、自分への怒りを書いていて、全然スッキリしません…。書き方間違っていますか?
心と向き合うようになってから、気がついたのは、自分の中にある怒りでした。きっと小さい頃から、自分の気持ちを抑えてきたため、溜まってしまったのかなと思います。
仮に、自分への怒りだとして、何を手放せばいいのでしょうか?地道が好きではなくて、多少ショック療法でもいいので、ガツンと効く何か方法はありますか?
いつかどこかでネタになれば幸いです。
(Mさん)
「怒り」ってみんなあまり好きじゃない感情だと思うんですけど、とっても大切な感情なんですよね。
情熱的であり、パワフルであり、バイタリティであり、やる気やモチベ―ションを生み出すものであり、道を切り拓いて突き進む行動力の源になるものでもあり、セクシャリティをより解放してくれるものであり、カリスマ性、リーダーシップにもつながるすっごく大切なものです。
怒りって男性性にとっても大切なものであり、自立する上でもすごく重要なんですよね。
「本気の手放しワーク」というセミナーをたまにやっていますが、「手放し」とか「癒着を切る」という場面で私がとっても大切にしてるのが「怒り」なんです。
依存時代から自立時代への移行に怒りはすごくいい仕事をしてくれるんですよ。
だから、怒りが満載してる!というMさんのような方には「あなたはとても情熱的でセクシーで魅力的でカリスマ性溢れるリーダーなんですよね」なんて話をしてしまうんですな。
怒りはそんなポジティブな要素も生み出す一方で、攻撃的であり、暴力的であり、破壊的でもありますから、「怒りを嫌う」って人も多いのです。
日本人は天照大神の岩戸伝説の昔から「引きこもる」という“怒りの表現”を使うくらいの平和主義者なので、この怒りを外に出すことをあまり良しとしません。
それゆえ「怒りを怖れる」ということも起こりますよね。
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「怒り」という感情が生まれる心理を掘り下げてみましょう(これは前にもたぶんお話してると思いますが過去の履歴を検索するのがめんどくさい著者の意向によりリンクは貼っておりません)。
私たちは何らかの「観念」を持っています。
自分ルールとかビリーフとか思い込みとか呼ばれるもので、自分で「これが正しい」と思い込んでいるものです。
この観念は「こうするとうまくいく」「こうすると傷つく」「これをしなければ愛されない」「こうしておけば孤立しない」などの「自分を守るためのルール」で構成されていて、当然、誰よりも自分自身がそれに縛られています。
この観念は意識層にあるものから、潜在意識、時には無意識の層まで様々なパターンがあるものです。
そして、この観念(自分ルール)と一致しない言動に触れたときに発動するのが「怒り」です。
「時間を守るべき」という観念がある人は「遅刻者」に対して怒りを感じます。
その怒りの度合いは、その観念の強さに比例します。
「主婦は家のことをちゃんとすべきだ」という観念がある人は「家事がちゃんとできてない」という状況に対して怒りを感じます。
そういう観念を持っている旦那様であれば、奥様を攻撃するでしょうし、そういう観念を持っている奥様であれば、自己攻撃が激しくなるでしょう。
ちょっと深い話をすると、自己肯定感が低いとか、自分のことが嫌い、と顕在意識で感じている人も、潜在意識では「自分大好き!」ってことが多いんですが、そういう方が自分を蔑ろにされると「怒り」を感じます。
「私の大好きなもの(=自分)を蔑ろにするなんて!」という怒りです。
つまり「大好きなもの(=自分)を大切に扱うべきだ」という観念があるわけです。
この観念は時に「心を縛る鎖」と呼ばれ、自分の言動や行動力を束縛することになるんですね。
だから、観念が多ければ多いほど、私たちは窮屈になり、束縛を感じ、苦しむことになります。
それで「観念ってのはできたら手放していくのがええんやけどな」という話になるわけです。
それはいかなる観念に対しても言えるものです。
ちなみに最近よく宣伝しているリトリートセミナーなどでは、非日常空間に身を置いて、意識~潜在意識にある観念でがんじがらめになってる自分を解放することを目的の一つとします。
つまり、観念を手放せると私たちはとても楽になり、生き易くなるのです。
だから、そこで行われるセッションはほとんど自分が持っている観念を手放すことに着目しています。
↓
>https://nemotohiroyuki.jp/event-cat/22883
でも、普段はなかなかこの観念に気付くことはありません。
潜在意識に埋め込まれていますから。
そこで、この観念に気付かせてくれるものが「怒り」という感情なんですね。
だから、何かにイラッとしたり、ムカついたときは、後からでも構わないので、自分の心の中にある観念(自分が正しいと思っていること)に目を向けてみるといいのです。
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もう一つ「怒り」の役割があります。
それは「感情の蓋」と呼ばれる作用で、本当に感じている感情を感じないようにするために怒りを蓋にして、その本当の感情を隠すものです。
これは一種の自己防衛本能とも呼べるもので、その本当の感情を感じたらヤバいと感じるので(とはいえ、それもまた観念なのですが)、怒りを使って自分を守っているのです。
ミスを指摘された人が顔を真っ赤にして怒り出すのは、「恥ずかしさ」という感情を隠したり、自分を守るためだったりするものです。
大切な人を亡くしたときに神様やお医者さんや自分や本人に怒りを感じるのは、その人を失った悲しみから自分を守るためだったりします。
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また、怒りはそれだけパワフルな感情なのでそれを抑圧するには相当なエネルギーを必要とします。
だから、怒りを溜め込むとその分だけ「抑うつ的」な感覚がやってきて、モチベーションが湧かず、何に対しても無反応になっていきます。
怒りは感情の蓋なので、楽しみも喜びも悲しみも寂しさも感じられなくなるんです。
だから、怒りを許可することは私たちがイキイキするためにはとっても大切なんですね。
それで冒頭で怒りのポジティブな面としてバイタリティとかやる気とかセクシャリティという単語を用いたのです。
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さて、例によって長い前戯なわけですが、そろそろ我慢できない方のためにMさんのお話に戻りましょう。
>心と向き合うようになってから、気がついたのは、自分の中にある怒りでした。きっと小さい頃から、自分の気持ちを抑えてきたため、溜まってしまったのかなと思います。
いい子・いい人を演じている人は怒りを溜め込んでることが多いですね。
Mさんのこの一文がとてもよくそのことを表していると思います。
でも、このことに気付けたことがとっても大きいのです。
「そっか、自分は怒りを溜め込んできたのだな」と。
そういう方が自分の心と向き合始めたら、最初は何に対しても怒りが出まくるのは自然なことだと思いません?
だって「蓋」だもの。
Mさんもそうですが、怒りを溜め込んでる人ほど、お酒が入るとそれが出ちゃったりします。
まことに上品な例えで申し訳ないのですが、強烈な便意をずっと我慢するためにすごく頑張ってたとするでしょう?
それがふとした瞬間に緊張がゆるんだら、、、ああああああ・・・やばーーいいい!!!ってなりますよね?
ちなみに私は朝、娘&息子たちのアッシーくん(死語)をよくしているのですが、その帰りなどによくそんな体験をします。
ちなみにこの原稿も喫緊の事態が生じたことにより駆け込んだ喫茶店にて書かれています。
もちろん、下半身は大変スッキリしております。
Mさんが居酒屋でクダを巻いてるのは、要するにトイレでウンコしてるような状態なわけです。
ところが、これまた大変上品な例えで申し訳ないのですが、ウンコもちゃんとトイレでできたら自己嫌悪なんて感じずにむしろ安堵感や喜びを感じるわけですが、ランニング中などに猛烈な便意がやってきてその辺の草むらでしちゃっとするでしょう?
そしたら、「ああ、ほんとはしちゃいけないことなのに~!」という自己嫌悪が湧き上がってあまり気分はよくないものです。
すなわち、怒りも出す場所をわきまえないと、スッキリするどころか自己嫌悪に陥ることもよくあるんです。
Mさんが飲み屋で怒りをぶちまけてしまったのは、いわば、トイレではなく草むらでしちゃったような状態なのでしょう。
ところがウンコに対してはトイレという分かりやすい場所がある一方で、怒りにはそういう場所は設定されていません(大阪にはそういう方のためにお皿を割ることで怒りを解消できるお店がありますが)。
感情の吐き出し口については私たちが自分で「ここがトイレだ!」と認めてあげないといけない状況にあるんですね。
それで、私が以前から提唱してる「怒りのためのトイレ」が「御恨み帳」というわけです。
ところがこれも怒りをちゃんと自分に許せていないと、トイレでウンコすること自体に自己嫌悪しちゃってスッキリしないってことになるのです。
また、たくさんウンコが溜まりすぎていると「ええー、ちゃんと流れるのかなあ・・・」と不安になるものですが、それと同じで怒りを溜め込んでいる分だけなかなか無くなりません。
さっき出したのにまた出したくなるわけです。
ちなみに私はこの原稿を書く前と最中に1度ずつトイレに駆け込んでおります。2度目などは喫茶店のトイレが掃除中のため若干ヤバい気分になりました。
だから、とりあえず、スッキリするまでは怒りを出し続けること、をおすすめしたいのです。
生理現象なんですから。
出て来ちゃったものはしょうがないですから。
「2回もウンコしたのにまた出たくなるなんて!」と思ってもやっぱりトイレ行くでしょ?
それと同じことですね。
だから、しばらくはそのまま御恨み帳を書き続けてみるのもいいと思います。
すっきりしないてことはまだウンコが大腸に残ってるだけ、と思いながらね。
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さて、怒りの話なのかウンコの話なのかよく分からなくなってきましたが、ようやく本番です。じらしちゃってごめんなさい。でも、焦らされるの嫌いじゃないでしょう????
>最近転職・独立を考えているのですが、なかなか動けず、悶々としながら日々を送っています。根本先生の話だけでなく、手当たり次第本を読み漁っては、行動のきっかけをつかみたいと思っているのですが、一向に進みません。
怒りは冒頭にお話ししたように行動力の源となります。
だから、怒りを封印してきた方ほど、行動することが苦手になります。
行動するのが苦手な人ほど「考える」「勉強する」などをしやすいものです。
いわば、インプットばかりに意識が向いて、アウトプットすることに意識が向いていないんですね。
「食べ物は食べるけど、ウンコしない」というのと似てます。
そりゃあ、苦しいです。
腸がどんどん圧迫されていきます。
けど、それでも食べ続けます!
もっと苦しくなります!!!
そういう方は「アウトプット」に意識を向けましょう。
実際に転職・独立に向けて動き出してもいいですし、今まで学んだことをブログ、SNS、セミナー、勉強会などで発表するのもいいですし、友達に聞いてもらうでもいいです。
行動のきっかけというのはなかなか難しいですよね?
会議中にトイレに行くタイミングが見つけにくいのと似ています。
だから、私のセッションやセミナーでは「いつやるの?今でしょ?」という若干古いセリフを多用しています。
「今日何する?」とか「今日、これしてね」とか。
でも、放っておいてもいいんです。
だっていずれ我慢できなくなるから。
便意と同じでね。
私のクライアントさんたちに「動かない主婦たち」という集団がいます。
旦那さんとの関係をあれこれしたいんだけど、分かってるんだけど、でも・・・動けないんですぅ。。。という人たち。
ところが、そんな彼女たちもだんだん便意に押されるようにトイレに駆け込むんです。
あ、違う、、、何かのタイミングで動き出すんです。一気に。
ライフワークを生きようとしているMさんのような方も、「我慢できなくなるまで待つものありよ」ってお伝えしています。
人はそれぞれのペースがありますからね。
「きっかけ」ってほんと自分で作るもんです。
その元になるものは瞬間瞬間に起きています。
それを「きっかけ」として認識するのは自分自身です。
だから、それを私は気長に待というと思っています。
だから、もう少しMさんも悶々として煮詰めていくのもありですね。
イライラしながら、むかつきながら、毒を吐きながら!
もし、もうあかん!それはあかん!もう我慢できん!となれば勝手に動き出します。
動けないのにも怒り以外の理由があるかもしれませんから、それを見つめていくのもありですね。
それでもきっかけが欲しい!ということなれば、リトリートセミナーなんぞがおすすめですぜ!(本日2回目の宣伝文句)
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