あなたが気を使って配っているのは「愛」か「罪悪感」か!?



気を使うと相手にも気を使わせる、というお話を先日しました。
http://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/16189

人と人との間にエネルギーが伝わって(雰囲気が伝わって)自分が気を使ってる分、相手も気を使い出す、というお話。

その続きのお話になります。

Bくんは人をオモテナシするのが大好きな人。
ある時、ホームパーティを企画して仲間たちを家に招き、みんなに前夜から作ったスープを振る舞いました。
「このスープ、我ながらうまくできたんだよ。ぜひ、たくさん飲んでくれ」
そう言いながらBくんはみんなに配って歩きました。

みんなは「美味しい!めっちゃうまい!」と言いながらスープを平らげます。
「お替わりもあるぞー!」
そう言ってBくんはスープを配っているうちの用意したスープは全部空になりました。

みんなもお腹がいっぱいで大満足。
口々に「Bくん、ありがとう。ほんとに美味しかった。また今度食べさせてくれよ」と笑顔でBくんにお礼を言います。

そんな時、Bくんのお腹がぐーーーって鳴りました。

その時みんなの表情が一変します。
「え?お前は食ってなかったのか?」

Bくんは恥ずかしそうにお腹を押さえて
「いやいや、僕はもう昨日作りながら食べたから大丈夫、大丈夫!」
って言うのですが、特に3回も4回もお代わりした人は
「すまん。俺、あまりにおいしいから3,4回もお代わりしちゃった。あれ、お前の分だったのか」
と申し訳なさそうな顔をしています。

さて、Bくんが配ったのは「愛」だったのでしょうか?それとも「罪悪感」だったのでしょうか?

Bくんがしたことは間違いでもないし、素晴らしいことだと思います。
実際、スープが美味しくてみんな夢中になっていますしね。

でも、ホスト役であるBくんだけが食べてないことを知ったみんなは、なんとなく罪の意識を感じてしまいます。

日本ではこういうこと、よくありますよね。
お母さんが「私はいいから、あんたたち食べ」って言うシーン。

カウンセリングもそんな話を聞くことがあるんですよ。
「主人や子供にはいい服を買うけれど、私は安い服で我慢してるの。だって夫や子供は外に出て人目に触れるでしょう?だから恥ずかしい思いはしてほしくなくて。私はいいの。そんな人前に出たりしないから。」

この姿勢は一見、自己犠牲として美しいものとして捉えられます。

しかし、「愛」だと思って与えていた行動が、実は「罪悪感」を振りまいてしまうこともあるのです。

Bくんの話に戻れば、みんな「一緒に楽しみたい」と思っています。
そして、Bくんの家に集まり、Bくんの作ったスープで楽しみました。
でも、そこにBくんはけっきょく交わっていないのです。
だから、罪悪感が生まれてしまいます。

もちろん、Bくんが楽しそうに、幸せそうにスープを作り、配ったとしても、みんなはBくんと一緒に楽しみたい、という思いがあった分だけ、罪悪感が芽生えます。

つまり、Bくんのことをみんなが愛している分だけ、「お前食べてないのか。すまん」という思いが出てきてしまうんです。

Bくんがそのみんなからの愛を受け取れていなかった分だけ、自分を分離させてしまっていたのです。

じゃあ、どうすればよかったのでしょう?
私が推奨するのは「まず、自分の皿になみなみとスープを入れ、そして、まず自分が食ってみて、『やっぱりうめぇ!俺、天才。お前られも食えよ!』ってみんなに勧める」です。

これをリーダーシップと呼びます。

Bくんがみんなに配るのもいいけれど、テーブルの真ん中に寸胴をでんと置いて、お前ら勝手に食え!でもいいんじゃないでしょうか。

そして、みんなと一緒に「うまいなあ、これ」と言いながらスープをすするとみんな一緒に楽しいんですよね。
そのとき、場は一つになります。

この時Bくんは「まず自分が受け取ること」というリーダーシップを取って一体感を作り出しているんです。

ホストとお客、という関係ではなく、仲間、という関係を作ることができたのです。

「私はいいからお前たち楽しみなさい」という自己犠牲的な考えやアプローチは分離を作ってしまいます。

「私」と「お前たち」の間に自ら進んで壁を作ってしまうんです。

家族でお出かけした時、パパと子どもたちは綺麗な服を着てるのにママだけが普通の服を着ていたら家族写真を撮るのも憚られますよね。
常にそうする必要はなくても、「きょうは私の分も買っちゃおう!」って日があってもいいと思うんです。家族の一体感を作るために。

このパターンは「自分さえ我慢すればいい」とか「一人で背負い込む癖」がある人は要注意。
時に、この自己犠牲を美しものと捉えてる方は知らず知らずのうちに「愛を受け取れず、愛だと思って罪悪感を配ってる」ということがあるのかもしれません。

ということで皆さん、周りの人たちの愛を受け取りましょうね。

実は今日は書きながらグサッと自らの胸に刺さる内容でした(笑)

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