「マイウェイな一族」



「もー、ほんとにうるさいんだから!!」
妻が切れているのである。その理由は先ほどからずーっとしゃべっている娘である。
息子が生まれて以来、微妙なライバル関係にさらなる拍車がかかった彼女たちは、何かと衝突することが増え、すでに男子の入る余地はなく、私と息子はなるべく火の粉を浴びない位置にそっと移動するのみである。

確かに娘はぴーちくぱーちくずーっとしゃべっている。
本人になんでそんなにしゃべるのかを確認すると「だっていっぱいしゃべりたいんだもん」と全うな答えが返ってきたので、以来、そんな愚問を胸に抱くことをあきらめた。


従兄弟の家に泊まりに行った娘を迎えに行ったときのことである。もう疲れて眠たいはずの夜8時過ぎ。
しかし、彼女は家までの時間をずーっとしゃべり続けていた。
プリキュアのこと、31アイスクリームのゲームのこと、従兄弟たちとのこと。話題が尽きれば、再び、31アイスクリームネタに戻ってしゃべり続けている。

その勢いは家に帰り着き、「もう眠いから寝る~」と倒れこんだ布団でも続いており、「お前は眠いのか、しゃべりたいのかどっちやねん」と突っ込みを入れざるを得ない状況であった。

もちろん、彼女の返答は「どっちも!」である。
しかも、取ってつけたように「パパのこと大好きだから~。いっぱいしゃべりたいの~」などと言っている。
そんな手には当然乗らぬ、と思うも、ついにんまり許して「しゃあないなあ」と言ってしまうのは父親の性である。

確かに「ねえーパパー、これ見てー。ねえ、聞いてる?」と絡みを求める場面はめんどくさい。が、ふつーにずーっとしゃべってるには大して気にならないのである。

妻はその話をちゃんと聞こうとしてるのか、それが本当にウザいらしく、きーきー切れている。

「気にならないの?」
と妻が私に聞くので、「うるさいとは思うけど・・・(!!!)、ま、好き勝手にしゃべってる分なら」と答えている最中にハッとした。

「あんたもたいがいずーっとしゃべってるけどな」と言う言葉はもちろん飲み込んだ。大人だからね、ボクは。

そう、妻もたいていずっとしゃべってる人で、以前、それを指摘した際には「そんなことないよ。私よりも裕幸の家族のほうが・・・、でも、妹も母もずっとしゃべる人だし、私はむしろ聞き役のときだって多いんだから」という趣旨の話を約10分ほど続けていたことがある。

もちろん、それをニコニコしながら聞き流すのは夫の役目であろうと心得ているのである。

そもそも私はそういう環境に育っている。
以前も書いたことがあるが、私の実家ではうちの母殿と妹君1号がずーっとしゃべっていて、私は実家に帰ればとても静かな男の子に変身するのである。
以前は無口な子だ、と思っていた妹君2号も、実はとてもおしゃべりであることも判明しており、とても私の出る場面など皆無である。

なんせ、話に入り込む隙間など探しても見つからない状態で、また、下手に入り込むと後がめんどくさいので、必然、話を聞いているふりか、はなから会話に参加しなくてもいいポジション(テレビの前とか)を陣取って、嵐が過ぎるのを待っているのである。

妻が初めて私の実家に来たとき、「初めて無口な裕幸を見た」と言い、「ずっとシャッター下ろしてたよね」と核心に迫る発言をしていたほどである。

娘を見ていると、確かにうちの家系の血が出ていると言えるところが多数ある。

我が家の面々はそれぞれが自立している一方で、たいへんKYなところのある家族らしく、しゃべるにしても行動にしても、基本「わがまま」で「自己中」な態度が平均らしいのだ。(分析は妻による)

要は相手の気持ちは考えずにしゃべりたいことをしゃべり、相手の状態を気にすることなくしたいことをするのである。
それでよく均衡が保てると思うのだが、それぞれが自立して、適当に距離を取っているので成り立っているのであろう。おそらく、全員が一つ屋根の下に暮らしていたら、とんでもない喧嘩が毎日発生していたことと思う。

私はそういう家族を見て育ってきてるので、自分はそんなことないだろうと思っていたのである。しかし、飲みの席での私はまさにそんな状態らしく、しゃべることはともかく、行動については「行きたい店にしか行かない」「気に入らない店だと不機嫌になる」「気持ちがすぐに顔に出る」などの大変失礼な態度を取りまくっているらしい。(分析は妻と飲み仲間による)

言うなれば、マイウェイな一族なのである。

そういえば、離婚した私の父親も結局わがままな人生を押し通して死んだし、父方・母方それぞれが持つ血なのかと思えば、諦めるしかないところである。

でも、妻はそんな私たちが羨ましいという。
娘にキーキー切れながらも、「いいなあ」と良く言っている。
あんな風に生きられたら楽だし、楽しいだろうなあ、と。

しかし、ここだけの話、確かに人の顔色を伺うところがあることは良く分かるのであるが・・・、じゃあ、わがままだったり、KYじゃないかというと・・・うーん。。。私の目から見ると・・・なのである。(察してください)

さて、私を取り巻く女性たちの中では無口だよなあ・・・と客観的に思いつつ、ツイート数やブログの記事数を見て思い当たった。
しゃべれない分、私は書く方にまわってるのである。
そう思えば、確かに、私はおしゃべりである。
しかも、勝手に書きたいことを書いてる私は、やはりマイウェイ一族の血を受け継いでいると認めざるを得ないのかもしれない。

そもそも、この記事だって単なる一方的なおしゃべりであろうから。

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