悩める東京家族旅行。



娘が春休みになったので、家族で東京旅行に出かけることになった。
昨年は同様の手口にてディズニーランドに行ったので、今年はシーにしようということになった。

出張と出張の間を繋いで、3泊くらいでスケジュールを押さえ、グッドネイバーホテル(要するに無料のTDR送迎バスが出るホテル)を予約し、マイルを使ってエアラインも押さえ、あとはその日を待つのみとなっていた。

しかし、ディズニーに行く以外の日をどう過ごしたらいいのか?実に思案に暮れてしまうのである。


私は社会人になって以来、十数年。ひたすら、東京出張を繰り返している。
前職でも、現職でも、「おつかれさま」と同じくらい「東京に住めばいいのに・・・」という言葉を耳にしている。

なんせ、以前勤めた会社では、新人としての着任日が出張であった。ために、籍のある大阪本社ではなく、出張先の東京本社にて辞令を頂いた。
また、1ヶ月のうち、3分の2をホテル暮らしに費やしたこともあり、「長期出張になると日当が出ないから」という上司の温情により、2週間に1日だけ、無理やり大阪本社に出社し、後の日は東京に出張という過酷な生活を送ったこともある。

因みに当時、定宿としていたビジネスホテルでは、ホテルの自動ドアを開けるとすぐに部屋の鍵が出てくるほど顔なじみとなっていた。

もちろん、現在の仕事に転じてからもコツコツと毎月のように出張を重ね、この3月なども半分近くを東京に滞在している。

しかし、である。

家族が遊びに来ても、どこに連れて行けばいいのかが分からないのである。

当たり前だが、出張というのは仕事である。
職務上、何となしに遊んでいるように見えるときもあるが、まじめに仕事をしているのである。

故に、観光と言うものにてんで縁が無い。

東京タワーに登ったこともなければ、お台場のフジテレビに行くこともなく、浅草や上野も地名しか知らない。
青山、表参道、代官山などは行ったことはあるのだか、何がどこにあるのかさっぱり分からない。
更に、いつも使っている渋谷だってバスターミナル以外は音痴であり、新宿に至っては未だに希望の出口から出たことすらない。

唯一、私が知っている街と言えば2003年以来、足繁く通っている五反田のみである。
現在も、彼の駅に降り立つと、ふるさとに帰ってきたような安堵感を覚える。

しかし、私も、東京生活が長い。故に、その発言が誤解を招きやすいことも知っている。
東京で、唯一安心する街が五反田と聞けば、賢明な東京人は頭に「なぜ?」がいっぱい浮かぶであろうし、大人な東京人は「え?根本さんってそういう人だったの?」との疑念をふんだんに持たれるに違いない。

なお、五反田が安心する者、とは、我が地元大阪においては、「西中島南方」もしくは「大国町」のみに精通している者、との解釈でほぼ間違いはないと思われる。

※因みに私はかつて、その西中島南方に2年ほど居住していた事実もある。

要するに、ビジネス街でもあるが、そういう街でもあり、何となしにあまりいいイメージを持たれない街、なのである。

間違っても家族を連れて行くところではない。

また、観光地はともかく、晩飯はどうしようかとさらに思案に暮れるのである。
これまた家族を連れて行ける店などほんの一握りしか知らない。

まさか、いつもお世話になっているからと、わざわざ大阪にも腐るほどあるワタミグループやモンテローザグループの居酒屋に連れて行くわけにも行くまい。

ましてや「ここはパパがよく来る行列ができる店なんだよ」と、目黒のラーメン二郎に並んだところで父の権威が失墜する以外の効果はないだろう。

要するに、10年以上、東京に通い詰めながら、ロクに遊びを知らんのである。
当然といえば当然かもしれないが、その事実を改めて直視したとき、少々ショックを受けた。

そんな動揺を胸に秘めつつ、私は打ち上げ等で周りの仲間・受講生達にひたすらインタビューを試みた。

とりあえず、女性陣は表参道から原宿がおススメらしい。そこでお洋服をご覧になられるのが奥様にとってはいいだろう、との結論を得た。

なるほど。その地域ならば私もあながち知らぬわけではない。
奥様が表参道を散策している間、娘が退屈すれば、そのすぐ近くにある明治神宮もしくは、代々木公園にて彼女を思う存分走らせておけばいいだろう。
代々木公園は私の東京滞在中のお散歩コースであるからお手の物である。

しかし、娘自身の楽しみはどうしたらいいのだろう?まさか、代々木公園のドッグランを走り回って満足、というわけには行くまい。

その問いに、ある男性が「大宮にある鉄道博物館とかどうですか?」と切り出してきた。

妙案ではあるが、即却下である。

パパは一方的にはまり、エキサイトするであろうが、妻子からはひたすら冷たい目で見られること請け合いだからである。

三鷹のジブリの森はどうですか?

実はこれは既に調査済みであった。春休みの予約など速攻売り切れてしまっていた。

キッザニア東京は?

その甲子園版に我が家はどっぷり浸かっている。

ほかにも、横浜のアンパンマンランド、多摩のサンリオピューロランドなど、数々の候補が上がったのだが、どれもこれもちょっと不便に感じて中々足が向かない。

そこで、あるセミナーの帰り、淡島の小汚い銭湯の黒湯に浸かりながら、あれこれと考えた。そして、一つの結論を見た。

実は、根本家の旅は原則として「滞在リゾート型」なのである。いや、正確には「住むように滞在する旅」なのである。基本的に特別なことは何もしない旅を私も妻も好む。

すっかり沖縄で身についた、このスタイルは早々に変わらない。

まず、予定は事前に決めない。いや、決められない。
その日、どうするのかは、その日、起きたときに決める。
時には前の晩の酒の量で決まったりもする。
(よってディズニーシーも日付指定のパスは買えないのである)

午前中はだらだら過ごす。ホテルあるいは、その近辺をぶらぶらする。
娘が退屈すれば、一緒に外に出かけて近くの公園などで適当に遊び、疲れたら近所のカフェでコーヒーやジュースを飲んで休む。よって我が家では「観光のために朝9時にホテルを出る」というのは、たいへんテンションの下がる計画なのである。

どうしても避けられない理由を除けば、9時は朝食タイム、もしくは、朝食を買いに行く時間なのである。

そして、だらだらと過ごしたのち、お昼ごはんを食べる段になって、ぼちぼち出かけていくのである。

しかし、ちょっと遊ぶと、すぐにホテルに戻りたくなる。
というのも、お昼寝の時間だからである。

なぜか、根本家の旅にお昼寝は学校教育における英語のような必須科目である。

娘も含め、夕方から1,2時間はぐっすり眠る。
そうして、疲れを取って、夜の街に繰り出すのである。

休みの日のお昼寝は最高である。
ましてやそれが旅先であれば、日常の疲れも一気に流れ落ちる。

そういうわけで、「品川から横浜」もしくは「品川から新宿経由多摩」が遠いと感じる次第である。

贅沢かも知れぬが、ふだん、仕事モードであれば難なくこなす移動も、休日となると、途端にスイッチがオフになるものらしい。

よって、理想を言えば、シーに行かぬ日はひたすらホテルでごろごろしつつ、寝ていたいと思ってしまうのである。

しかし、それでは勿体無い・・・と変な欲が動き、せっかく東京に来たんだからいいところへ連れて行ってやりたい、との情も動き、悩みは尽きないのである。

「そんなことならば、オフィシャルホテルを予約してずっとシーやらランドやらで過ごせばいいのに・・・。」

そんな天の声を聴いたのは大阪に帰る便に妻子を押し込んだ直後であった。

なるほど・・・その手があったか・・・。
次回はミラコスタに宿泊だ!!


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