私の娘はとてもまじめ。



我が娘はとてもまじめな性格をしているのです。

毎朝幼稚園に向かうため家を出るとき、玄関で見送る私に向かって「パパ、ちゃんと鍵、閉めといてな」と上から目線で命令をした後、満足げにエレベータへと向かうことを日課としています。

その後で私は仕事や温泉などに出かけるのですが、たまにトイレの電気が点けっぱなしだったり、部屋のエアコンを消し忘れていたりします。
そして、それを見つけた娘は、くどくどと父親に向かって説教するのです。


しかも、そのやり方は誰に似たのか、しつこく、濃いのです。
「ぱぷぅったら、ダメやないの、ほんとうに。もったいないでしょ?分かってる?ね?分かってるの、ほんとに?今度はもうしないよね?ね?ね?」
と。

しかも、その次の日は「ちゃんと鍵閉めとかなあかんで。電気もちゃんと切らなあかんで。分かってる?」という挨拶にて幼稚園へと向かうことになります。

4歳にして既にエコに目覚めたのか?と思い切り突っ込んでやります(心の中で)。
お前だってよく電気を点けっぱなしでママに怒られてるやないか!と逆切れしたりします。(もちろん、心の中で)

さて、根本家は“旅行”が好き、趣味、生きがい、息抜き、夫婦円満の秘訣です。
故に、ちょくちょく飛行機なる乗り物に乗るのですが、そんな娘が飛行機に乗ると、さらにまじめ度がアップするようです。

まず、前の座席のポケットにある「安全の手引き」を必ず熟読するのです。避難経路や非常時の対応について図解されているアレです。
そして、ふんふん言いながら、1ページ、1ページにきちんと目を通した後、妻にこう言うのです。

「ママ、この黄色いもの(酸素吸入器)は、いつ出るの?」

因みにママは飛行機が嫌い。(なのに太平洋を挟んだ恋愛を5年も続けていた猛者です)

故に、娘のその質問は妻にとっては
「酸素吸入器が出てくる」
→「緊急着陸時」
→「キャー、命の危機」
→「冷や汗・動悸」
と発想が進み、なんとなく逆切れ状態で「何かあったときに出てくるんだから気にしなくていいの」と突き放すことになります。

その頃、横にいるパパは、その様子を悠然と見つめつつ、「そっか、妻にはこのような弱点があったか・・・」と心のメモ帳に記入しておきます。いざ、という時に役立つように、です。

さて、時々上下逆に構えつつ「安全の手引き」を熟読し終えた頃、機内のテレビでは「安全ビデオ」が流れます。JALは昨年くらいから、よく出来たアニメーションを流しているのですが、身体を斜めにしながらも、彼女はしっかりとその画面に注目します。
そして、その時間帯は話しかけることも禁止です。怒られます。それほど、安全に関する意識が高いんですね。我ながらよい娘だと感心する瞬間です。

たまに角度により見えないときは、シートベルトを外して、パパの上に乗っかりながらもビデオに目を向けようとするのです。
すばらしくまじめなのです。(もちろん、ビデオを見るためにシートベルトを外すことが正しいことなのかどうかは、ここで論じるテーマではございません。)

さて、無事飛行機も離陸し、水平飛行に入る頃には、娘は新たに「JAL SHOP」という非常に危険な機内販売誌に手を伸ばしているのです。
何が危険かというと、その雑誌の角で殴られたら痛い、というほかに、内容がヤバイんです。

どう見たって女性向けのファッションアイテムが7,80%を占めており、美しいモデル達やCAさん達が紹介するバッグやコスメがところ狭しと美しい写真で飾られているのです。
しかも、旅に出ればサイフの紐が途端に狭くなるのが我々日本人。

もちろん、私の妻は機内に足を踏み入れた瞬間から、その雑誌を目を皿のようにして眺めているのですが、離陸後の機体の上昇と共に、心なしか私の血圧も上昇していくような思いに駆られるのです。

そんな中、まじめな娘はママが熱心に眺めている機内誌を見ながら、訳知り顔でふんふんと頷き、「ぱぷぅ、まむぅがコレ、欲しいんだって。買ってあげれば?」と何気なく10万円もする時計を指差したりするのです。

たとえ、10%引きだろうが、日本国内未発売だろうが、10万円はちょっと無理。
そこでさりげなく娘のリュックから、お菓子をいくつか出し、意識を一気に引き離す術を取らざるを得ないのです。

もし、そこまでが娘の戦略だとしたら、何と父の弱点を突くのが上手なんでしょう?

将来がとても楽しみです・・・。

日々のミニコラム
あわせて読みたい