自立系武闘派女子の子育てあるあるについて~抱え込み症候群/完璧主義/超自立モード/旦那サンドバック化問題~



自武女な方が子どもを産み、子育てという難行に挑むと情熱が過多ゆえに頑張りすぎてしまい、ストレスを溜め込んで様々な問題を作りやすくなるものです。
結局は子どもを産んでも問題は継続し、誰かに頼るとか一人で抱え込み過ぎないとかしっかり休むなどの意識が大切なのです。

根本先生
ご無沙汰しています。

現在5ヶ月の息子を育てています。
最近子育てで余裕がなくなると特に旦那に八つ当たりしてしまいます。
小さい子供がいると当たり前ですが子供中心で、ママとしての時間のみで、自分のことを考える時間がほぼありません。
そんな中旦那に「育児大変なのをわかって欲しい(家事も育児も手伝ってはくれますがそう思ってしまう)」「自分だけを見て欲しい」「褒められたい」「あなたばかり外に出てずるい(仕事できてずるい)」「もっと感謝されたい」と感情をぶつけてしまいます。

そうなってしまうと旦那は口を摘んでしまい、自分の意見も言えずただ耐えるだけ。このままだと夫婦の仲が取り返しにならないところまで行きそうで怖いです。

子供の時にどんなに頑張っても親から注目されなかったので、その当時の自分の気持ちが出てきているというか、大人になれない自分がいるような気がします。
旦那を傷つけている申し訳なさと、自分の無力さ未熟さを痛感しています。
どうしたら前に進めるでしょうか?
(Nさん)

お久しぶりで御座います。早めに気付いてよかったですねー。

とにかく育児のストレスってのは想像を絶するものですからストレスが溜まり、旦那をサンドバック代わりにしてしまうのはごくごく自然なことと言えるでしょう。

最近は優しい夫でありイクメンも増えているので良質なサンドバックになってくださる方もいらっしゃいますね。(まことに尊敬申し上げます。)

とはいえ、場合によっては夫婦仲に亀裂が入ったり、レスになったり、家に帰って来なくなったり、離婚を切り出されたり、女を作られたりする危険性もありますから、「いつもサンドバックになってくれてありがとう(はあと)」くらいは伝えてあげたいところです。

さて、

>子供の時にどんなに頑張っても親から注目されなかったので、その当時の自分の気持ちが出てきているというか、大人になれない自分がいるような気がします。

ということに気付かれたのはさすがの一言なのですが、基本的に子育ては「自分がどう育てられたか?」が基準になるものです。

最近はネットなどで情報を得られることも多く「こうしたらいい」「これはあかん」みたいな子育てノウハウが氾濫していますが、それを採り入れるにしてもベースは自分の体験なんですよね。

簡単に言えば次のようなものです。

「自分の親がしてくれて嬉しかったことは子どもにしてあげたい。」
「自分の親がしてくれたけどイヤだったことは子どもにしない。」
「自分の親がしてくれなかったことで辛かったことは子どもにしてあげたい。」

だから、「親から注目されなくて辛かった」という経験を持つNさんは、少々過剰になるほどに子どもに注目しやすい(執着しやすい)かもしれません。

とはいえその塩梅など分かるはずもなく、もちろん、正解などありませんから、「そっか、自分は子どものことを気にしすぎるんだな。」という風に思っておくだけで良いと思ってます。

そもそも上記「 」内にあるような思いもすべて子どもへの愛から生まれたものです。

子どものことがいとおしくて、それが当たり前になっているんですけど、今のNさんの子ども、旦那への態度の奥深いところには「愛」があるのです。

自分ではそう感じられないときもあると思いますが、とりあえずそう思い込んでおいてください。

さて、そもそも武闘派であるNさんはじめうちの読者様が人間の子どもを産むとそれまでの生き方がモロに子育てに出ちゃうわけですね。

仕事をガンガン頑張ってやってきた人はもれなく子育てをガンガン頑張ります。

ところが会社ってところは一応就業規則があり、また取引先も営業時間なるものがありますから、一般的には深夜に商談をすることはマレだと思います。

でも、お子様という取引先は御社以上にブラックでございまして、夜討ち朝駆けはもちろん、24時間年中無休で稼働しているわけでして、その主要取引先であるママにとっては大変悩ましいところなのです。

だから、ハードワーカーのまま子育てに突入すると会社員時代に輪をかけてハードワーカーになっちまい、ストレスを増大させることは想像に難くありません。

また自立系な方々は「人に頼る」「人をアテにする」「人に任せる」などのことが苦手なので、「子育ては夫と二人三脚で」という方針を立てたとしても、実際は「一緒にこれやろう」「あたしはこれやるからあなたはあれしてね」という穏やかなものではなく、「あれやれよ」「これなんでしてねーんだよ」というブラック企業の上司になりやすいものです。

いわばお子様という取引先の担当者がママであり、その担当者を補佐する後輩ポジションにパパが入るような感じですね。

そして、出産前から武闘派らしく夫氏を調教してきたものですから、彼もまた「触らぬ神に祟りなし」というポリシーを身に着け、大人しくサンドバックになっているのです。

その結果、愛情が深い分だけ会社員時代以上に育児を背負い込み、完璧主義になり、余裕をなくし、暴れまわることになるんです。

なので「基本、あたしはハードワーカーだから、子育てにおいても頑張りすぎる傾向がある」というステッカーを大量に作ってベビーベッド、ベビーカー、ベビースリング、おもちゃ類、哺乳瓶はもちろん、おむつ一枚一枚に貼り付けておきたいところです。

そういうわけでそのような自立系武闘派ママの皆さまには「ひとり時間を作りなさい」と厳命することになります。

2,3時間でもいいのでメイクをしてスカートを履いて外に出るんです。

その間はパパやジジババに任せてもいいですし、ベビーシッターを雇ってもいいですし、自治体の子育て支援のシステムを使ってもいいでしょう。

特に「自分の無力さ未熟さを痛感」するくらい完璧主義になってるわけですから、「子育てを離れる時間」というのは必須だと思ってください。

もし、その時間が作れないと思われるのであれば、「癒着」という文言を頭にチラつかせてみるとよろしいかと思います。つまりは子どもとの心理的距離が早くも近すぎるというわけです。

で、そうした時間を定期的に作ってもまだまだストレスが解消されん!ということもたいへんよくありまして、それはやはり「抱え込み症候群」という症状が疑われるところです。

先ほどもチラッと書きましたが、自分が子ども時代にどういう思いで育ってきたかは自身の子育てに直結するものです。

そして、夫もまた自分が育てられたかによって自分の子どもをこう育てたいという思いを持ちます。

となると、当然ながら武闘派妻とその被害者である夫の子育て論は食い違うものです。

そもそも家庭環境が両者で違うのはもちろんですし、両親のキャラ、きょうだい構成などの影響も大きく受けるものです。
また、男の子と女の子で母親の接し方が違うこともありますし、都会育ちと田舎育ちでもギャップが生まれるものです。

そうするとその辺も含めてきちんと話し合い、「私たちはどうするか?」について方向性を一致させる必要があるのですが、ふつうはそんなことはせず、腹を痛めた手前、子育ての主担当は妻、副担当が夫となることが多いものです。

そうすると「妻が育ってきた家庭環境」をベースにして子育てをすることになることが多くなるものです。

その結果、より一層責任を痛感し、「あたしが何とかしなければ!!」という風に思ってしまうんです。

※さらにそこに「実母」「姑」といった存在が絡むこともあり、余計に複雑化することがあります。

だから、「ああ、自分は子ども時代にこういう風に育てられ、ここで喜び、ここで寂しい思いをしてきたから、それがそのまま自分の子どもに出ちゃってるんだなあ」ということを振り返る時間を作りたいものです。

つまり、自分の子育てのやり方にどれくらい自分の子ども時代のトラウマが影響しているかを知りたいんですね。

それを知るだけでも少し抱え込みが楽になるものと思われますし、夫のサポートも得やすくなると思います。

また、特にそれまでバンバン企業で働いてきた方などは特に「社会から分離している孤独感」を覚えやすいものです。

夫は相変わらず外に出て社会と接してるのに、自分は家に引きこもってるような状態ですから無理もありません。

5か月児であれば図書館や市区町村がやってる「読み聞かせ」とか「リトミック」などに出かけることもあり、またご近所にママ友などもでき始めて少しはマシになるかもしれませんが、それでも会社員時代とは世界が変わってしまいましたよね。

それで夫に「あんただけ毎日会社に行ってズルい」という思いを抱きやすくなりますし、相変わらず「大人」として生きてる夫に嫉妬することも珍しくありません。(もちろん、それが原因で2,3発サンドバックに蹴りを入れることになるのですが)

そもそも子育て5か月目ってのは、社会人5か月目みたいなもんだと思ってください。

しかも、すぐ上に先輩はおらず、マニュアルも引き継ぎもロクにないまま一方的に仕事を任されてる状態だと。

さらにはノルマの厳しい超ブラック企業に就職しちまったようなもんだと。

※ちなみに子育てにおけるノルマとは自分自身が設定した「こうあるべき」というものです。

そりゃあ、うまくできなくて当然だと思いませんか?

右も左も分からない状態で必死に自分で調べて考えて“仕事”してるんだから偉いと思いませんか?

そんな就業規則もクソ喰らえの職場で昼も夜もなく働いてるとしたら「生きてるだけですごい」と思いませんか?

だからこそ、ママの休日って必要だし、「プライベートな時間」を作ることは必須なんです。

そして、それと同時に「夫婦の時間」も大切にしてほしいと思うのです。

どうしたってストレスが溜まりますからそれを夫に聞いてもらうのは大事なことでしょう。

自立して一人で抱え込んで頑張って子育てしてるんだから、夫に甘えてよしよししてもらう時間も必須でしょう。

また、一人の大人であることを忘れないために「子どものこと以外の話題」を話すことも難しいけど心がけたいところです。できれば旦那の仕事の話を聴いてみたり、夫婦の将来について話をしてみたり、「今度いつディズニー行く?」なんてのもいいでしょう。

気分は乗らないかもしれないけれど夜の生活を楽しもうとするのも自分が大人であり、女であることを忘れないための大切な営みです。

要するに子育てに従事するようになるとそれまでの自分の問題がよりクローズアップしてくるものです。

うちのクライアントさんの中には「ママのひとり時間」をカウンセリングに充ててくださる方がいらっしゃいまして、ジジババに預けたり、一時保育やシッターさんを利用したりして「自分と向き合う時間」を作っています。

そこでは子育てを通じて「その問題って子どもが生まれる前からなかった?」なんて話をし、「しっかり者の長女をやってきたから子育てもしっかり者のママになろうとしすぎてない?」とか「両親が自分よりも弟優先だったから、娘に肩入れしちゃうのも無理はないよね」とか「共働きで寂しかったから側にいてあげたい気持ちも分かるけど本音は会社に戻りたいんじゃない?」と言った話をしています

武闘派らしく人に頼るのが苦手だなあ・・・と思ったら「夫や親に頼るトレーニング」を始めてみるんです。

いつも頑張りすぎてしまうなあ・・・と思ったら「手抜きを覚えるトレーニング」をやってみるんです。

とはいえ、どうしても子ども優先になって自分の時間を作る意識が持ちにくいし、何なら自分の問題を見るなんて面倒だから子どもに逃げたい気持ちもあるじゃないですか。

でも、基本的に「ママが見本」になるのが子育てなので、将来、子どもにどう育ってほしいか?をまずは親として見本になることが大事だと思います。

自己肯定感が高い子どもになってほしかったら自分の自己肯定感をあげとかなきゃいけないですよね?

自由に好きなことをして育ってほしいと思うのに、ママが不自由で好きなことを我慢してるんだったらそれを教えられないでしょう?

「自分の子どもにどう育ってほしいですか?」という質問の答えは「ママが今、真っ先に取り組むべき課題」なんです。

さて、それくらい頑張ってしまうのも子どもへの愛情がベースということで、だからこそ、より愛情を与えられるようにママが少しでも元気でいることを優先したいものです。

そのために「使えるもんは全部使う」くらいの意識でいいでしょう。

そして「少しでも笑えるように、笑顔が増えるように」できることをやっていきましょう。

子育てってのは武闘派女子が泣いて喜ぶ「修行」で、ものすごくメンタルが鍛えられますし、かつ、自分自身の課題に取り組めるわけですから。

ということで自分が思っている以上の難行に取り組まれてると自覚してくださいませ。

「子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる」(実務教育出版)

*「ついつい抱え込んでしまう人がもう無理! と思ったら読む本」(リベラル社)

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