【罪悪感本・書評】自信を持って子育てをしたいと願うすべてのお母さんたちへ




『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』の感想を頂きました。
※リトリート仲間やお弟子さんたちの希望者に原稿(ゲラ)をお渡しして読んで頂きました。

「いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本」by根本裕幸
  ~自信を持って子育てをしたいと願うすべてのお母さんたちへ~

子育てというのは思い通りにいかないことの連続で、成果も見えにくいものだ。周りのお母さんたちは自分よりも立派にこなしているように見えるので、我が子についイライラしてしまう自分に自己嫌悪することも少なくない。

「私がお母さんでごめんね…。違う人がお母さんのほうが幸せだったろうに。」
「私だって一所懸命やっているはずだけど、上手くいかないのは自分のせいだ。」

こんな思いに苛まれながら、それでも母親であることから逃げられるわけもなく、我が子の寝顔を見ながらこっそり泣いたことのあるお母さんは山ほどいるに違いない。かく言う私もそのうちの一人だ。親として、また人としての未熟さを日々突きつけられ、自分を選んで生まれてきてくれた我が子に対してただただ申し訳ないという気持ちで押しつぶされそうになる。

その苦しさをもたらしている正体は、他でもない「罪悪感」であると、この本を記した根本氏ならすぐに見抜くだろう。罪悪感とは、自分が罰せられるべきであると思い込む感情のことで、自分を傷つけ、苦しめ、しあわせでない状況を引き寄せるのだそうだ。本書において彼はまず、そもそも自分が罪悪感を抱いていることに気づいていない人が多いということを指摘し、これまでの豊富な臨床経験から得られた多くの事例をもとにそのパターンを詳細に分類することを試みている。そしてそれを「愛」と「感謝」というキーワードをもとに癒していくことで、幸せを感じて生きられるようになるとして、罪悪感の癒し方すなわち私たちが愛とつながり自分をゆるすことについて、自身のカウンセリングのノウハウを交えながら実に多様な方法を提案してくれた。

 紹介されているのはどれも自分で簡単に始められる方法ばかりだが、中でも、愛で罪悪感を癒す方法はぜひ取り組んでみてほしいものの1つである。この方法は3つの質問で構成されており、時間をかけて自分の人生を振り返りながらじっくりと答えていくものだ。

 〇あなたを、心から愛してくれた人は、だれ?
 〇あなたのしあわせを喜んでくれる人は、だれ?
 〇あなたは、だれのためにがんばってきたの?

これら3つの問いをベースに、私は何度も何度も自分と向き合った。なかなか一筋縄ではいかないこのプロセスを支えてくれたのは、本書全体にあふれている根本氏の限りない愛であることは言うまでもない。さりげなく語りかける口調と、決して善悪を判断せず「そうせざるを得ない事情があったのだろう」という受容と理解に徹する彼の姿勢に包まれるうち、私はいつしか彼のカウンセリングを受けているかのような錯覚を覚えていった。
罪悪感は愛の量に比例する、愛が強いからこそ罪悪感もまた強くなる、と彼は述べている。そのアイデアのおかげで、私は、周りの人を幸せにしたい、その一心で頑張ってきたのだと気づくことができ、ひたすら嫌な人間だと思っていた自分の中にも愛がしっかりと流れていることを知った。また、誰からも愛されていないと思っていた自分が間違いなく周りの人から愛されていたと思えるようにもなった。

「こんな私でも、子どもたちは私を母と慕い絶対の信頼を寄せてくれている。
これが私だ。これでいい。自分をゆるします、ゆるします、ゆるします…。」

自分をゆるし受け入れることができた瞬間、生まれて初めて今日までよくやってきたと自分で自分を労い、周りの人や与えられた物への感謝の気持ちを本当の意味で理解することができたのである。

本書は子育てのハウツー本ではない。しかし、子育ての苦戦がきっかけで自分の生きづらさに気づいたお母さんたちの、何とかしてもう少しラクに生きられるようになりたいという切実な願いを真正面から受け止めてくれる本である。そしてそれは確実に皆さんの人生を豊かにし、ひいては子育てや家族関係に良い影響をもたらすに違いないことを、ここに断言しよう。少なくとも私は、たとえ悪戦苦闘の状況は変わらなくとも、我が子との絆をしっかり感じながら自分を信じて育児に臨む「母親としてブレない私」に手が届いた。そして、まだ完全ではないが、一部の罪悪感をすでに手放し、ひとまず自分らしく生きることを自分に許可できたことで、これからどんな「わくわく」と出会えるのか楽しみでならない。

また、ここでは詳しく触れないが、終盤のイメージワークに鳥肌がたったことも書き残しておきたい。彼のイメージワークを知っている方ならピンとくるだろう。文字として書かれている一言一言が、独特のテンポを帯びた穏やかなあの声となって私の脳裏に鮮やかに蘇る。感情が揺さぶられ、頂点に達し、やがて解き放たれる至高の体験を、本書を通じて再び味わうことができたのは幸運であった。じんわりと心地よい疲労感の中で私は確信した。彼のイメージワークは無上のエロスである、と。

根本氏は、罪悪感と上手に付き合えるようになれば、つまり罪悪感から愛へと意識を切り替えることができるようになれば、今すぐにでも、ありのままの自分でしあわせになることができると言う。しかし罪悪感にまみれきった人生を生き抜いてきた私たちは、自らの罪悪感を癒す作業にまだ慣れていない。慣れていないうちは必ずしも簡単な作業とはならないだろう。時には拒絶感や諦めに襲われることさえあるかも知れない。だけれども、じわじわと一歩ずつ、目を背けずに勇気を出して素直になったその先には、きっと今までよりも格段に変化した自分がいる―。皆さんもそう信じて、この本に、根本氏の大いなる愛に、その身を委ねてみてはいかがだろうか。

(弟子1期生 はるな)


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