スタッフから業務の改善を相談されると自分自身が否定されたように感じてしまう経営者の問題について。



事業=自分自身になっている分だけ、業務改善の提案は自分を否定されたように感じてしまうものです。
そこでは従業員をもっと信頼したり、その愛を受け取ったりすることが求められてるのですが、そこに抵抗を覚えるのも「罪悪感」が強いからかもしれません。

初めて相談させていただきます。主にVoicyで楽しませていただいています!

私は個人事業主としてスタッフが数人いるお店を経営しています。
自分の好きなことを表現する場として、忙しいながらも毎日充実しています。

ただ、周りからの意見を全て自分を否定する言葉として受け止めてしまうことに悩んでいます。
例えばスタッフから「ここはこういうやり方に変えた方がいいんじゃないですか?」という業務の改善を相談されるのも、まるで自分自身を否定されているような気持ちになり、胸が苦しくなります。
こうやって書くとバカバカしく思いますが、実際にそういうことがあるとしばらく落ち込むくらいのときもあります。

スタッフとの面談も、本来なら自分がスタッフを評価する側のはずなのに、どんな改善を求められるのかと恐怖心が出てきてしまいます。

表向きは、しっかりと意見を汲み取るようにして、いい、悪いの判断は冷静にしています。

スタッフだけではなく、取引先などもそうで、主に仕事でそういう思いになることが多く、どこかで毎日「今日は何を言われるか」と構えてしまっていて、苦しいです。

関係無いかもしれませんが、好きなことに周囲を巻き込んでしまっている、迷惑をかけている、という想いもどこかにある気もしています。

なぜか夫や友人にそう思うことは少ないように思います。

自分の中で何が起こっているのか、アドバイスをいただきたいです。
よろしくお願いします。
(Yさん)

経営者が従業員に気を遣いすぎてしまう、、、というのは意外とよくある話でして、特に初代のオーナー社長さんに多いと思います。
(私もそういう立場ですので気持ちはよくわかります。こわいですよね?気に入らないことがあったら何されるか分かんないですもんね!圧がすごいよね!・・・・え?ちがう?)

やりたいこと、好きなことを仕事にするのって始めは一人じゃないですか。
でも、ひとりでは回らなくなったらスタッフを雇うのですけれど、その時点から気を使い始めちゃう人もいます。

「自分がやるべき仕事を人にやらせるのっていいのかしら?」
「自分は好きなことやってるけど、スタッフはそうじゃないんだよね。なんか申し訳ない。」
「自分の苦手な仕事をやってもらうのってなんか申し訳ないな」

Yさんが感じていらっしゃるように「周囲を巻き込んじゃって」「迷惑かけてるんじゃないか?」という思いももちろんあると思います。

Yさんはとてもいい経営者さんだと思います。

スタッフの離職率は低いでしょうし、職場の雰囲気も良いと思いますし、だとしたら売上も好調なんじゃないでしょうか。

でもまあ、意外かもしれませんけど、ひとりで抱え込み過ぎているのかもしれませんね。

経営者なので事業にエネルギーをぶち込むのも無理はないですけれど、「自分のモノ」という意識が強すぎるのかもしれませんね。

「自分の好きなことを表現する場」っていい言葉だなあ、と思うのですが、そうしてやりたいことをやれてるのはめちゃくちゃ素晴らしいです!

やりたいことをやりたいようにできるってのは誰もが理想とするところですから。

で、そうすると「自分のやりたいこと」=「自分のモノ」=「自分自身」という図式が登場するようになります。

今のお仕事に対して思いが強すぎて、仕事=自分になっちゃってるというか、作品・商品=自分になっちゃってるというか。

だから、商品を否定されるとまるで自分自身を否定されたように受け止めちゃうんです。

それくらい仕事に対して情熱を持っている証拠ですし、それくらい大切なものだからなのですが、それはまるで「商品と癒着してない?お店と癒着してない?」と言えるほどになることもあります。

そういえば昔、とある経営者さんが「離職者が出るたびに俺のことを否定されてるように受け止めてしまう」とおっしゃってました。
元々離職率が高い職種で、彼のお店はそれでも低い方らしいんですけどね。

また、別の社長さんは「商品の売れ行きが思ったほどじゃないとすぐに自分がダメだからだと思ってしまう」と言ってました。

自分で事業を立ち上げた社長さんは当然ながらその事業への思い入れは強く、大好きだったりするので、その事業=自分自身という風に見ちゃうんですよね。

Yさんも自覚があるかと思いますけど、今のお店=自分自身、になっているんじゃないかと思います。

で、それは悪いとも言えないのですが、そうすると今のお仕事を「ひとり占め」しちゃうようになるんですよね。

だから、従業員から業務の改善を提案されると「お前は間違っている!お前のやり方はおかしい!お前はウンコだ!」と言われているように感じちゃうんです。

つまり、今の業務のやり方を否定されることが、自分自身を否定されてるように感じちゃうのです。

そうすると間違いを指摘されたり、良かれと思ってしてくれた提案を否定的に受け取ったり、何気ないお店の評価を気にしちゃったりするようになると思いますが、Yさんの場合はどうでしょう?

GoogleMapや口コミサイトの評価はあんまり気にしませんか?
お客様アンケートの反応はあまり気にしませんか?

むしろ、アンチコメントが来るとワクワクしちゃったりします?

そうなりますとYさん自身の自己肯定感というのが試されてる場でもあるんです。

そうすると元々Yさん自身が自己肯定感低めなところがあるのかな?と思うんです。

従業員が提案しているのは業務の改善なのですけれど、それを聴くと自分自身にダメ出しされちゃってるように感じるんですから。

「何か自分は間違っている。」

そんな思い込みがあるのかもしれません。

けど、従業員から業務の改善提案が出るってことは・・・ものすごく有難いことですよね。

従業員にしてもわざわざ改善提案とかして波風立てるようなことはせず、不満に思うことがあっても黙って言われたことをやってれば給料がもらえるんですから、その方がいいと思う人だっているはずです。

今の仕事を自分事として捉えてくれていて、この店のことが好きだから、もっと良くなればいいと思ってくれているからこその提案ですよね。

つまり、従業員にとっても「今のお店=自分」として多少は捉えてくれてるってことですし、愛を持って仕事をしてくれてるってことなのです。

もちろん、そこには「正しさの争い」や「やり方の争い」、そして、競争心、嫉妬心などの感情が蠢く場合がありますからきちんと耳を傾けなきゃいけないんですけどね。

そうすると、「自分のお店=自分」としてYさんが捉えてしまっていると、ときには自分の店を奪われるような怖れを抱いたり、自分自身を否定されたかのように感じちゃったりするのです。

ということで感情レベルで見ていくならば「罪悪感」がやはりカギになるわけですね。

>好きなことに周囲を巻き込んでしまっている、迷惑をかけている、という想いもどこかにある気もしています。

という話はまんま罪悪感ですから。

好きなことをしているのに従業員や取引先に対して罪悪感を覚えてしまうというのはほんとあるあるなんです。意外かもしれないけれど。

でも、そこには先ほど書いたように従業員だってYさんの店を愛する気持ちがあるわけで、それを受け取れていない自分がいるんです。

だから、仕事をしてもらうのも申し訳ないような気がしちゃうのですけれど、彼らにも彼らで選択肢が与えられてるってことは忘れちゃいけません。

つまり、Yさんのお店で働くことは彼らの意志のはず。
だから、辞めようと思えば辞められるはず。

もちろん、Yさんのお店を愛することも彼らの意志です。

つまり、そうした愛をYさんは受け取れない状態にあるんですよね。

だから「一緒に作っていこう」「一緒にもっといい店にしていこう」という思いになれないのです。

でも、Yさんの性格上、トップダウンですべて決めて命じることはあんまり得意じゃないと思うのです。

むしろ、そうした意見を吸い上げながら一緒に作っていく方が楽しいと思うのですよね。

だから、ちゃんと従業員や取引先からの愛を受け取ることは喫緊の課題と言えるのかもしれません。

言い方を変えるとちょっと頑張りすぎているというか、肩ひじ張りすぎてるのかもしれませんよね。

たぶんこれからはもっと従業員に「信頼して任せる」ということをやっていくといいかもしれません。

こうした葛藤は同じくひとりで仕事をするところから始めた私自身も大いに共感するところがあります。

自分ひとりでは到底できないことをスタッフにお願いしてやってもらうわけですから、そこは罪悪感ではなく「感謝」でまとめたいですよね。

そして、そこでは従業員を「信頼」することが求められるわけですし、繰り返しになりますが、「愛」を受け取ることだってすごく大事です。

(なお、これを読んだうちのスタッフから「お前のことだよ」と冷静に突っ込まれるんじゃないかと先ほどから冷や汗をかいております。)

そうして、愛を受け取り、感謝し、信頼して任せることができるようになるとYさんはもっとやりたいことに集中できるようになるはずです。

ということで、もっと今のお店(事業)を独り占めせずに周りを信頼してシェア(分かち合い)していきましょうね!という話なのですけれど、そのためにもそろそろ次のステージに向かうのかなあ?と。

だいぶ軌道に乗ってきたんとちゃうかな?と思ったんですけどどうでしょうか。

そろそろヴィジョンを描いて次に進む時期なんじゃないかと。

多店舗展開するのか商品数を増やすのかYさんは現場を離れて制作の方に入るのか後進を育てていくのかあるいはより質を高めるべく研究を重ねるのかは分かりませんが。

さらにやりたいことを見つけることも必要な時期なのかもしれないなあ、と思いました。

ま、とりあえず罪悪感より愛・感謝を選びましょ!ということで、今日はこの辺で締めたいと思いますっ!

「いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本」(ディスカバー21)
*セミナー動画:『私の幸せを阻む「罪悪感」を「愛」で癒して「私」を自由に解放するワークショップ』
*心理学講座動画:『罪悪感と癒着の心理』
光の瞑想~疲れや罪悪感などを癒すイメージワーク~

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