コミュニケーションスキルがあなたを束縛する


スキルを身に着けることは効果的な反面、別のシーンでは逆効果になることを忘れてはいけませんね。

以前、あるビジネスパーソンの女性がご相談にいらっしゃいました。
ピシッとスーツを着て、いかにも仕事ができそうだな~、男性もそうだけど、女性が憧れる女性だよなあ、なんて印象の方でした。
実際、彼女は英語も操れるし、話も上手で、自分の状況を的確に、そして、分かりやすく表現してくださる聡明な方なのですが、そのご相談が「コミュニケーションがうまくできない」でしたので、私としてはびっくりしてしまったわけです。

実際、お仕事では何百人という人の前で自社製品をプレゼンしたり、また、取引先に営業さんと同行して新製品のアピールをしたり、そのために海外まで出向いたりして、会社内でも「成功してる女性」なんですよ。

そんな方がなんで?って正直思ってしまいました。

それが「プライベートになると何を話していいのか分からなくなってしまう」というご相談でした。

仕事では「何を話すべきか」は明確に提示されています。
商品の機能や仕組み、そして、その商品を使うことによる御社のメリット、そして、価格やサービスについて。
そして、そのプレゼンの仕方もビジネスセミナーや個人コンサルティングを通じて学ぶことができます。

しかし、そうしたスキルはビジネス上有効なもの。プライベートなシーンでは必ずしもそれが役立つとは限らないのです。
そんなお話を聞いて合点した私はいつもの調子で、

「つまり・・・ステージの上ではバンバン笑いを取れるネタを持っているのに、フリートークがものすごく苦手な芸人さんみたいなもんですか?」

と、高尚な話を一気に庶民レベルに落として彼女を苦笑させるという芸風を披露するわけです。「あ、すません。私、あまりテレビなどを見ないので、ど、どういうことか・・」と躊躇されるので、私は、

「プライベートでは“これ!”という方法ってないですものね。その場の雰囲気や空気を読んでアドリブで会話するんですものね。」

と伝えると、「あ、ああ、そうですよね」と少し引きつった感じで笑われたので、

「つまりは、会話のキャッチボールが苦手ってことでしょうか?質疑応答ではなく・・・」

といったところで、彼女は「は、はい。そうなんです。キャッチボールが苦手なんです。」とおっしゃって、うんうん、と頷かれました。

つまりは、そういうことなのですね。彼女がコンプレックスに感じてるところは。
すでに、この私とのやり取りにその一端が見えているかと思います。

また、こんなケースもありました。ある男性からちょっとご相談を頂くのです。

「根本さん、あの○○って雑誌知ってます?その恋愛特集みたいなのがあって『女性は話を聞いてほしい人が多いから、なるべく意見を挟まずに聞き役に徹しろ!』って書いてあったんですけど・・・実は、その時デートした彼女、けっこう無口なタイプだったんですよね。で、どうしていいか分かんなくなっちゃって」

で、結局あまり話が弾まないまま1回目のデートは終わり、その後、彼女とは自然消滅してしまったそうです。

確かにその記事に書いてあることは本当だと思うのですが、ケースバイケースなんですよね。

話が好きな女性は多いですが、全員がそうではなく、むしろ、聞き役の方が得意な方もいます。また、話好きな女性であっても、最初のデートの時は様子見をしてることも多いですから。

しかし、その無口な二人のデート・・・ちょっとお互いに気の毒ですよね。

コミュニケーションスキルやテクニックって巷に溢れてます。
中には「こういうときはこうしろ」的なマニュアルみたいなものもありますし、私の元には「こういうときはどうしたらいいですか?」って相談が相次ぎます(それは昨日の記事にもかきましたね)。

間違えたくない、失敗したくない、利益を得たい、思い通りにしたい、、、そんな思いがそうしたスキルやテクニックに走らせるのだと思います。
そして、中には本当に役立つケースもあるので、それも悪いものではないなあ、と思います。

ただ、そうしたスキルは「一つの基準」に過ぎないと思うんですね。

ある恋愛マニュアル本が流行った時、例によって私はその本を読んでもいないのに、クライアントさんからのご相談によってその内容にかなり詳しくなってしまったことがあるのですが(苦笑)、「その本に書かれてることの正解率はだいたい30%くらいだと思った方がいいよ」ってよく忠告していました。

「こういうケースでは当てはまるけど、こんなケースでは当てはまらないから。30%くらいって思っといた方がそのテクニックにこだわらなくなるでしょ?」と言ってたんです。

ある種のスキルを身に着け、それが成功すると、今度は私たちはそれに執着してしまう、という心理があります。

心理学ではそういう現象を「モニュメント」と呼ぶことがあります。過去の成功法則が今の自分を縛ってしまうことを指します。

ビジネスシーンで使えるスキルを身に着けたがゆえに、それをプライベートでも使おうとして、おかしなことになってしまうわけです。

彼女が身に着けたプレゼンの手法というのはいわば、攻守がはっきりしている野球みたいなもの。攻める側を守る側がきちんと区別されてるわけです。
それでまずは一方的に自分の話をし、そして、相手はそれを聞いてくれる、という状況にあるんですよね。
その後、先方から質疑や意見があって、今度はそれに応えていくわけです。
そうすると、いかに上手に自分の意見を自分たちに利があるように伝えていくか?がポイントになります。
つまり、相手ピッチャーの投げるボールをいかに打ち返すか?そして、いかにランナーを進めてホームに返すか?ということを攻撃時では考えればいいのです。

ところが、プライベートでのやり取りというのは攻守が目まぐるしく入れ替わるサッカーみたいなもの。攻めてたと思ったら何かのはずみですぐに守りに転じるわけです。
だから、「先日の買い物で得た戦利品」について話してたと思ったら、ある瞬間には「会社の気になる後輩」について話題が変わっていますし、次にどんな話が出てくるかは誰にも予測できません。

野球の技術は野球では通用しますが、サッカーで使おうと思えばおかしなことになってしまいますよね。
いきなりサッカーボールをバットで打ち返してたら即刻レッドカードです(笑)

だから、野球は野球、サッカーはサッカーで、違うルールがあり、違う楽しみがあるわけです。
そのスキルにこだわってしまうと、野球をするときは役立つけど、サッカーをやるときには使えない奴、になってしまうのですね。

スキルはあくまで技術の一つ。
数ある調理器具の一つくらいに思っておかないと、ついつい自分が浮いた存在になってしまうでしょう。

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