コミュニケーションの“正解”を選んでも幸せになれない



コミュニケーションを成り立たせるのはその場の空気感だったり、お互いの信頼関係だったり、距離感だったりするんです。
だから、正解を求めたり、いわゆる正解と言われるものを使っても幸せにはなれないのです。

私たちの悩みはほとんどが人間関係によるもので、その人間関係を円滑にするためにコミュニケーションを学ぶ、ということがすごく重要なわけです。
とはいえ、学ぶ、という意識はなくても子ども時代から勝手にいろいろと身につけてきたものがあります。

そもそもコミュニケーションってお母さんから学ぶことが多いんですね。
もっとも身近な存在で、かつ、一般的にはパパよりもママの方がたくさんしゃべるから。
だから、コミュニケーション・スキルの原型はあなたのお母さん、ということになります。

そこに、パパやらお姉ちゃんやら友達やらの影響が入り込んでくるのです。

もし、あなたのお母さんが「感情的でよくしゃべるタイプ」だとすると、あなたはそのお母さんと付き合うために「クールで思考的なコミュニケーション」を身に着ける可能性が高くなります。
とはいえ、もし、あなたにお姉ちゃんがいて、彼女がお母さんのそのヒステリーを受け止める防波堤の役割をしてくれていたとするならば(すなわち、お姉ちゃんがクールで思考的だったとするならば)、あなたは逆に「お母さんそっくり」と言われるほどの癇癪持ちになってる可能性もあります。

また、最近ではあまり多くないのですが、とても厳格なお父さんで食事中は一切しゃべることを禁じられてるような家庭で育った場合、あなたは「話をする」ということが苦手になるでしょう。
家族の会話が「お父様のお話をありがたく拝聴する」みたいな環境であった場合、あなたは言葉のキャッチボールが苦手となり、いつしか「無口な奴」と思われるようになります。

そんな風に私たちは育った環境によって「コミュニケーションの基本の型」を身に着けてきます。それはまるで格闘技が流派によって型が違うのと似ています。
その型をベースにあなたは世間を渡っていくわけです。

さて、ところがもう一つ大切なテーマがありまして、私たちは学校の勉強・試験というサイクルから「正解を探す」という癖が付いてしまっています。

私の元に寄せられる質問にはこの正解を求めるものがたくさんあります。

「こういう時はどう答えたらいいんでしょうか?(どう答えるのが正解ですか?)」
「あのとき、こういう風に言ったんですけど間違ってましたか?」

正解って無限にあると思っています。
少なくても100万通りくらい。

それに「一般的にはNGなんだけど、ケースによっては大正解!ってこともある」のがコミュニケーションです。

例えば、こんなケースを想定してみましょう。

とある講師がセミナーでお客様からの

「なかなか煮え切らない彼とちゃんと話をしようと思って、相手の会社まで行ったんです。そしたら、それ以来、ますます彼、反応なくなっちゃって」

という質問にこんな風に答えたんです。

「でも、めっちゃ男らしいやん!さすがやなあ」

しかも、その講師は心理学を教えていて、カウンセラーという肩書きで仕事をし、そして、本まで出してる偉い先生なんです。

さらにこんなことまで言います。

「でも、そんなことしたん?アホちゃう?そらあかんやろー(笑)」

それで会場は爆笑してるわけです。彼女も大笑いして、
「そうなんですよ、あたしアホなんですよー。でも、一生懸命やったんですよ!褒めてくださいよ!めっちゃ勇気出したんですよ!えらいでしょ?」
なんてしゃーしゃーとしてるんです。

じゃあ、この講師のコミュニケーションは正解なのか、不正解なのか?
そもそも「正解」なんてあるんでしょうか?そんな疑問も湧いてきますね。

このセミナー会場は彼女とのやりとりでとても温まり、いい雰囲気で終わりました。
根本さん、面白い、とか、すごい!とか、相変わらずストレートで気持ちがいいです!などのご意見を頂き、参加者満足度の高いセミナーだったと思います。(自画自賛ですけど)

でも、この記事を読んでくれてる方で、根本さんに会ったことない人だと、「ええ、根本先生ってブログではとても優しいのに実際会ったらこんな失礼なこと言うの?」って思われたかもしれません。
そしたら、ブログの読者に対してこの話をシェアするのは「NG」なのかもしれません。

そう、コミュニケーションってケースバイケース過ぎるものなんです。

私もセミナーに初めて来られた方で、おそるおそるその質問を投げかけてくださったら、私もそんな答え方はしません。

お気付きの方も多いと思いますが、その質問をしてくれたのは常連であり、ムードメーカーであり、また、私もよく知っている方だったから、そんなくだけた話ができたんです。

何が違うのか?って「信頼関係」なんです。

例えば、このブログもよく読んで下さってる方は時々「ウンコ」を連発していたり、武闘派女子が野山を跋扈する話をしていたりしても、ああ、面白い、いつもの根本さんだー、なんて思ってくれます。
でも、いきなりグーグル先生から飛んできて、今、絶賛お悩み中で、すごく答えを求めてる方がいきなりそんな文を読んだら気分を害してしまうでしょう。

「信頼」の度合いによって、OKもNGも大正解も不正解もいっぱいあるんです。

そして、もう一つ大切なのが「距離感」です。

心理的な距離が離れてると他人行儀になります。
だから、一般的には敬語になるでしょうし、初めて会って距離も近づいてないのにいきなりタメ口をきかれたら、むしろ壁を作りたくなるでしょう。

一方、心理的な距離が近いと多少砕けた言葉を選んでもそれがむしろ喜ばれますし、自然です。

先ほどのセミナーの話に戻りますが、もし信頼関係があったとしても、彼女と会うのが半年ぶりだとしたらやはりいきなりそんな話はできないですよね。
少しお互いの距離を縮めて、信頼関係がまだ成立していることを確認する作業が必要になります。

また、距離感が近くなると依存心や甘えも出やすいですね。
私も「彼女のはこの程度の話し方をしても許されるだろう」って甘えがなかったと言えばウソになりますね(笑)

「信頼関係」「距離感」に加えて、まだあるんですよ。

「その日の気分」(笑)

さらには「その場の空気感」。
ピーンと張り詰めた場所では、なかなかフランクな発言は難しいですね。

だから、コミュニケーションの正解を求めるとほんとうにややこしくなります。

「これが正解なのかな?」って不安になる気持ちも分かりますが、あるいは「失敗したくない」という思いも分かりますが、その思いが逆にコミュニケーションを壊してしまうのです。

「コミュニケーションの正解を探すと幸せになれない」
これ、覚えてくださいね。

じゃあ、どうすればいいのよ!と思うでしょう?

「そんなん知らんがな!」(笑)で、済ませてもいいですが、「感性」です。「感じるココロ」です。

※今回、なんか違うね?と思われた方も多いかもしれません。これから時々、コミュニケーションに関する話題を挟み込みながらブログ、メルマガを連載していきたいと思います~。

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