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これは相手の問題だから、とか、関わらないでくれと言われたとか、何らかのきっかけが原因で我慢や遠慮が生まれ、それが踏み込まない暗黙の了解となって2人の間に壁を作るようになるのです。
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夫の仕事のことについては干渉しない。
お金の管理は妻に任せてるので口出しはしない。
晩御飯の洗い物は夫の仕事だけど、食事を作るのは私の役目。
夫の実家の状況については話題にしない。
妻の買い物については何も言ってはならない。
夫の怒りっぽいところは触らないようにする。
長年お付き合いしている関係だと、過去の出来事の積み重ねによって「暗黙の了解」がたくさんできるようになります。
「妻の買い物について苦言を呈したら『あなただって毎晩のように飲み歩いてるでしょ?それに比べれば安いものじゃないの?』と逆にたしなめられ、以来、そのことについては言わないようにしている」
「夫の実家で少し揉め事が合った時、私も協力しようと夫に申し出たら『それはこっちの問題だからお前は関わるな』とシャッターを下ろされ、ムカついたこともあって、以来、実家にも行かないし、その問題には触れないようにしている」
それぞれに何かしらのエピソードがあり、諦めたり、シャッターを降ろしたりして、触れないように、触れさせないようにしているのです。
パートナーとすべてを共有する必要はないかもしれませんが、そうして生まれた“暗黙の了解”はやがて“心の壁”となり、“分離”を生む要因になることも少なくないのです。
例えば、こんなケースがあります。
「夫が嫌がるから、夫の家族に対してあまり接しないようにしていたら『あの嫁はひどい奴だ。息子も騙されたものだ』と言われていた」みたいな、あらぬ誤解を生んでいてトラブルの元になりました。
そんなこと言われたら、「じゃあ、仲良くしましょう」とは思えないですよね。
夫への不信感も募りますし、勝手に自分を悪者にする夫の実家の理不尽さにも不平を言いたくなります。
また、「夫の金遣いが荒いのだけど『誰が稼いでいるんだ』と何度も突っぱねられるので、いずれ諦めてしまった」としたら、それは我慢であり、犠牲です。
不満がずーっと溜まって行き、やがては何らかの形で爆発せざるを得ないでしょう。
他にも「遠慮」と称してお互いの間に不可侵条約を結んでしまうのも、やはり関係性が壊れる要因になるんですよね。
気遣いと言えば聞こえはいいけれど、接点を遠ざけることで繋がりが切れてしまいます。
例えば、共働きで「お財布3つ制度」(お互いの収入から一定額を支出して家計に当て、残りの収入はそれぞれが管理)を採り入れていた夫婦がいたんですね。
奥さんは貯金もしつつ、家計も管理しつつだったのですが、任せっきりにしていた旦那が気が付いたら借金を作っていたことが分かったんです。
一緒に住んでるので「なんかおかしい」と気付いていたのですが、彼を信頼しようと思い踏み込まなかったんですね。
(その信頼は本当の信頼ではなく、関わらないようにする遠慮のことでした。時に遠慮は無関心になってしまうんです。)
こうした暗黙の了解が作る壁は自分の姿を隠し、相手の姿も見えなくなります。
そして、大抵は、そこでこの壁を破らなきゃいけない問題が起こるのです。(借金が分かる、離婚・浮気の問題、ケンカなど)
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この暗黙の了解が生み出した問題って、諦めや相手任せにしていた関係で「相手のせい」にしやすいのが特徴です。
「なんで借金なんて作るのよ、ちゃんと自分で管理できるって言ったくせに」と一方的に相手を責める、相手の責任にしてしまうのです。
でも、何かしらの事情はありましたが、暗黙の了解は相手一人ではできません。
自分も遠慮、犠牲、我慢等の方法で加担していることを忘れてはいけません。
問題が起きたということは、その壁が崩れたという証。
何年か、何十年かぶりに、相手のその領域に踏み込むチャンスなのです。
関係性を再構築するためのヴィジョンとコミットメントが要求されます。
犠牲や遠慮があったとしたら、そんな自分の価値観を変えるための勇気が必要とされます。
しかし、パートナーシップで起こるこうした問題はすべてお互いの関係性を深めるためのものです。
この問題を逆手に取り、いい関係性を築くきっかけにできたらいいのです。
ただ、長年の積み重ねで一朝一夕にはうまく行きません。
話し合いをしたり、相手の価値観や考え方に寄り添ったり、自分の考え方を改めたりしながら、少し時間をかけて取り組んでいきましょう。