怒りをちゃんと出すことの大切さ。



ある日のカウンセリングルーム。
その中からバコン、バコンと鈍い音が聞こえてきます。
時々「バカっ!」「悔しい!」「なんでなの!!」という声と共に。

 理不尽な別れ方をした。
 嘘を付かれていた。
 ずっとあいまいな態度で振り回された。
 私の気持ちを利用していた。
 不誠実な態度ばかりを取っていた。

そんなとき、当然、私たちは怒りを覚えます。
でも、そういうとき感じた怒りってなかなか解放できないんですよね。


そこで彼を捕まえて怒ったり、暴れたりできればまた違うかもしれませんが(でも、それをすると、また新たな罪悪感を抱えて苦しくなってしまうこともあります)、なかなか出せない怒りというのは強いストレスになってしまうどころか、自分の心をひどく傷つけるのです。

心理学では「怒りは感情の蓋」と捉えます。
その蓋の奥に本当の感情があるから、それと向き合うことが大切、と言うんです。

でも、その法則は特に「いい人」にとっては不都合な現実を作ります。

怒りを出せる人はその法則をぜひ意識してみて欲しいんですけど、なかなか怒りを出せない人は、この法則を使って怒りと向き合わないようにしてしまいやすんです。

さて、カウンセリングルームでは、そんな方のためにあるセッションを用意しました。

 目の前の椅子のところに彼がいると思って下さい。
 はい、どうぞ。(とクッションを渡す)
 ただ、このクッションを投げつけてみてください。

クッションにはちょっとかわいそうですが、でも、頑張ってくれました。
ある人は最初は淡々と「えいっ!」と投げていたのですが、だんだん力がこもって来て止まらなくなりました。
また、ある人は最初から涙ながらに「ほんとにどうして?」「辛い!」と言いながらクッションを投げていました。

ただ、それだけのことです。
しかし、なぜか、すっきりします。
その時、本当の気持ちが出てくることもあるのです。

 「まだ、好きなんですよね」

 「何かすっきりしてしまいました。もう大丈夫かも」

 「彼のこと、信用してた私がバカみたい」

その時にはもう怒りはずいぶんと収まっています。
そして、上に書いた「蓋」の向こう側にある感情が分かってきます。

ちなみにこのセッションの効果、人にもよるのかもしれませんが、意外と長続きするようです。

「じゃあ、自宅ではどうしたらいいの?」という方へ。

・家のクッションや枕を使って同じように投げつけてみる。
・新聞紙を丸めて、ふとんを叩いてみる。
・ノートに彼への怒りを書きなぐってみる。

などの方法はいかがでしょうか?

ちょっと騒音のため、自宅では難しい、という方へ。
・バッティングセンターへ行って打ちまくる。
・ゲームセンターで怒りを発散できるゲーム機を見付ける。
・カラオケでひたすら歌いまくる

そう、感情を吐き出してあげたらいいのです。

ラブ・カウンセリング
男と女の心理学


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