大嫌いな癖も今となっては懐かしい、むしろいとおしい。



失恋のしみじみとした思い出話しにある、元彼の悪い癖。
あ、悪い癖と言っても借金癖とか浮気癖とかではなく、そこから比べればまだ可愛らしいものです。
付き合ってる時はイライラの元。
でも、別れてしばらくするとむしろ、いとおしいくらいの思い出として胸に去来することもあるんです。


「最近付き合い始めた彼、とってもいい人なんですよね」

(この時点で、いい人じゃなくて、どっかイマイチなんだな、ということが窺い知れる切り口ですね)

「とてもスマートで大人で。前の彼がすごく子どもっぽかったんだな、ということがすごく分かるんですよね。この前の日曜日にちょっとオシャレなイタリアンに連れて行ってもらったんです。
店の選び方もなかなか良くて、ちゃんとエスコートしてくれたんです。すごく大切にしてもらって嬉しいんですけど、でも、なんか比較してしまって。
前の彼はこういう店に来ると固まってしまったなあ、とか。
それで、今の彼はやっぱり上手にパスタも食べるんですね。フォークの使い方も慣れてて。
すごくいいな、と思うんですけど、ポロポロこぼす姿を見て『ええー、もう、何してるのよ!』って怒ることってないんだな、と思うと今さらなんですが、本当に元彼と別れたんだって実感しちゃって切ない気持なんですよね。もちろん、今の彼の方が魅力的だし、前を向いてやっていこうと思うんですが、何か自信が無いというか・・・。」

元彼は何かとだらしなくて彼女があれこれ面倒を見てあげてたそうです。
だらしない彼、すなわち、母性を刺激してくれる彼であり、私がいないとダメ、と思わせてくれる彼、です。
だから、失った時は、自分が何もしてあげられる相手がいなくなるような、そんな思いになるのかもしれません。
また同時に今の彼がスマートでしゃんとしてる分、「私って必要?」って不安になっちゃうのかもしれないですよね。
今まで自分が決めてたデートコースも彼にお任せとなると、え?ほんとにいいの?って受け取れなくなってしまいそうです。

皆さんもありませんか?そういう経験。

時間にルーズだった。
すぐに分かる嘘を付いた。
家の片づけができない。
何度言っても服を脱ぎ散らかす。
メールを無視する。
すぐに怒る。
酒に呑まれる。
物をよく無くす。

そんな元彼の悪癖がなぜか引っかかる、という。

パートナーの欠点って逆にあなたが活躍する分野になりやすいんです。
「もう、ちゃんと洗い物は洗濯機に入れてよ!」と怒ってる彼女は、「彼の服を洗って干してたたむ」という形で役立つことができます。そこに居場所ができます。

だから、失恋した後に、
「そんなことどうでもいいとは思うんですけど、思わず『え?これからアイロンがけ、どうするの?』って言っちゃったんです。」

なんて思いを感じるのです。
些細なことのようで、日常に密着している分、寂しさが募ります。

そうした思いは意外なほど心にこびりついて離れないこともあるんですよね。
特にこうした感情は理屈では割り切れないので、元彼を引きずる自分をますます許せなくなって責めてしまったりするんですよね。

だから、変に拭い去ろうとせずに、自然と手放せるように、思い出した時にそのままの気持ちを感じてあげるだけでいいと思います。
切ないな、寂しいな、悲しいなって泣けるときは泣いていいんです。

カウンセリングでも「昨日は一日泣いてました」という話をお聞きしますが、泣けるって素晴らしいことです。
涙が心を浄化してくれます。

そうして少しずつ、未来に気持ちを向けて行きましょう。

さて、そこから見えて来るものがもう一つあります。
『欠点って直さなくていい』ということではありませんか?
よく『欠点は個性』という表現もします。

欠点は悪いところのように見えて、実はあなたのパートナーに与えるギフトでもあるのです。

だから、みなさんが自分のここがいけない、ここが足りないって責める必要はまったくないんです。

それよりも自分のいいところを見付け、そこを伸ばす方がいいと思うのです。

ラブ・カウンセリング
男と女の心理学


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