[222]価値観や意見の違う相手でも我慢や犠牲なく成り立つ関係ってありますか?



<リクエスト>

「お互いに話合って、2人のビジョンをつくっていく」という意味が、私にはよくわかりません。

パートナーシップはもちろん、家族間や友人の間の関係でも、意見や価値観の違う人間が話合ったところで、結局はわかりあえないと思ってしまうのです。

わかりあえたんじゃなくて、どちらか一方がもう片方の意見を飲んだ(=妥協した)といったイメージです。どちらかがどちらかに合わせてる、もしくは丸めこまれたから意見がひとつになっているような気がしているだけで、それは我慢や犠牲に上に成り立っているんじゃないかなって思うんです。

我慢や犠牲じゃなく成り立つ関係って、本当にありますか?

あってほしいけど、きっとないんだろうなっていうのが、30数年生きてきてたどりついた結果です。我ながら暗いなーと思うのですが・・・。

(のんさん)


<根本からの回答>

あります!鍵は“対等性”ですね!

確かに、そう感じてしまうこともあろうかと思います。
おそらく、のんさんの人生が妥協だったり、相手の意見を飲まざるを得ない状況の連続だったりしたのかなあ、と思うんです。
それはだいぶ押し込まれて辛いですね。

元々暗かったというよりも、暗くなるほかなかったのかもしれません。

もし、自分自身やその周りに事例がなければ、なかなか納得し難いもの、イメージし難いものだったりするんです。

例えば、こんな会話があったとします。

「ねえ、もし、子どもが生まれたら、どんな子に育てたい?」
「そうだなあ。男の子だったら、やっぱりスポーツをさせたいよな。勉強も大事だけど、やっぱり体を動かすことをまずは教えたいな」
「じゃ、やっぱりキャッチボールとかしたいって思うわけ?」
「そりゃ、思うよねー。実際はそんな広場なんて今の時代ないわけだけど、夕焼けをバックに親子でパシーンパシーンってミットの音響かせてるのってロマンじゃね?」
「あははは。笑える。しかし、やっぱり男の人ってそういうこと考えるんだ。じゃ、女の子だったら『娘さんを下さい』って来た彼氏をぶん殴ったりするわけ?」
「俺はそんなことはしないね。娘のためだって、堂々と応援するな」
「でもさ、よく娘が連れてくる男は父親の気に入らない奴ばかりって言うじゃん。」
「うーん。そしたら、一発くらい殴らせろって感じになるかな。でも、その頃には父親のことなんてどうでも良くなってたりしてなあ」
「私の場合はそうだったけどさ、でも、あなたの場合は優しいから大丈夫じゃない?むしろ、娘の方が『パパと結婚する』とか言うタイプなんじゃないかと思うのよね」
「え?そうか?でも、『娘は世界で2番目に大好きなんだ』って言いたいけどな。一番はもちろん、お前でさ」
「そうなったら嬉しいけどさ。そんな無理しなくてもいいんじゃない?素直に、こいつが一番かわいい!ってバカ親になって欲しいけどね」
「まあ、間違いないだろな。結婚するまで子どもなんて可愛くないと思ってたんだけど、いざとなれば違うもんだな。そういうお前はどんな子に育てたいんだ」
「ありきたりだけど、その子の希望というか、したいことさせてあげたいなあ、と思うんだよね。適正というか。親の押し付けじゃなくて。」
「確かに、それは大事だよな。お前天然なとこあるけど、けっこうしっかりしてるからいいママになるんだろうな。」

ごくごくありきたりな会話かもしれませんけれど、この二人、おなかの中の赤ちゃんをさすりながら、将来のビジョンを描いていると思うんです。
はっきりと、ワクワクする未来が、そして、お互いに共通の世界を描けてるんじゃないかな、と。

もちろん、これは価値観が違うとか同じとか言うレベルの話ではないかもしれません。
でも、こうした他愛の無い会話の中から「信頼」とか「絆」というものが生まれていきます。
「この人の言うことなら信じられる」
「こいつが言うんだから間違いない」
という信頼です。

そうした信頼関係が築かれていくと、価値観がぶつかったとき、お互いに相手の話を聴く耳を持ち、相手のことを理解しようとする意志をはっきりと持つことができます。

「こいつの言うことなんだから、聞いてやろう」
「この人が考えてることなら、一理あるかもしれない」

そうすると、妥協という我慢や犠牲のやり方ではなく、「あ、それいいねっ!」という同意に至り易くなるんです。

また、意見が食い違ったときにも「解決しよう」という意欲はきちんとあります。
その意欲は幾度も話し合いを重ねることも可能とし、お互いの主張をうまく取り入れた解決案が無いかを探り合うことも可能とするでしょう。

一方が他方の意見を飲む関係というのは、対等ではなく、上下ですよね。
それは本当のパートナーシップとはいえません。
対等性がとっても大切なんです。
それは相手の欠点を知っていてもいいんです。尊敬できるところ、魅力に感じるところ、長所だと思うところをきちんと知っていて評価してあげること。
そして、相手も自分を認めてくれていることを知っていること。

そういう関係では、いわゆるWin-Winの関係が築かれ、お互いの意見をさらに発展させた、お互いが「これはすごい!」と感じられるアイデアへと至ることもあります。

それはまるでオーガズムに達したときのような高揚感と一体感を感じられ、そして、とても大きな喜びが得られる場面であり、お互いがお互いにとってかけがえの無い存在であることが実感できる瞬間でもあります。

こうした関係性はある意味では理想論かもしれません。
しかし、(いかに愛してもらおうか、という受身の姿勢ではなく)相手を尊重し、価値を見て、愛そうとする姿勢を持てば持つほど、実現の可能性は高くなっていくでしょう。

ただ、私の知る限り、こうしたお互いを尊敬できる対等な関係性では、うまく行くときの高揚感や一体感も素晴らしいものがありますが、ひとたびケンカになれば、戦争の如く激しい結果になることも少なくありません。
つながりが深ければ深いほど、ケンカも激しくなる・・・と言うのが実感です。

まずは、イメージだけでも感じていただければ幸いです。

=今日のミニレッスン=

将来、どのような家庭を築きたいのか?どんな関係性を築きたいのか?をできるだけ具体的に思い描いてみましょう。可能ならば、それをノートに書き写してみましょう。

男と女の心理学


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