失う恐れは過去のハートブレイクが引き起こすもの。



ラブ・カウンセリング

私たちは人間関係の中で傷つき、人間関係の中で癒されていくものですが、でも、あまりに強いショックを受けると、癒されるのに時間がかかってしまい、後遺症のように引きずってしまうことが少なくありません。

大好きな人との別離。
信頼していた人からの裏切り。
誰かからの一方的な攻撃。

等々、数え上げればきりがないわけです。

カウンセリングで、今起こっている問題を伺っていくときに、「今」だけにとどまっていることはほとんどありません。

どうしても、「今」を作っている「過去」に目を向けたくなるんですね。


例えば、大好きな人。その人を好きになればなるほど、失う怖れも強くなりがちです。
大好きって自覚はないけれど、でも、ひたすら失うのが怖くなったりもします。

そこで、私たちは「なぜ?」と考えるんです。
なぜ、そんなに怖いんだろう?

そうすると、「過去に大好きな人を失った経験があるんじゃないか」などと予想したりします。

そして、過去の経験をお伺いしたりもします。

そういうときに「はい。20歳のときにとっても大好きな先輩がいて、告白したら付き合ってくれて、ほんとうに幸せだったんですが、3ヶ月で理由も分からず振られてしまったんです」とおっしゃってくださったら、分かり易いですよね。

そっか、まだ、その痛みが残っているのか・・・

じゃあ、その心の痛みを手放していきましょう。その先輩を改めて手放していきましょう。と提案していきます。

もちろん、その失恋から10年経っていようが、20年経っていようが関係ありません。

心に時間という概念はありませんから、「今も痛い」ならば、「今も続いている」と考えるわけです。

※因みに、人の心を理解しようと思ったら、この時間の概念はできるだけ外して考えるといいんです。10年前のできごとでも、ついこの間のように感じられるとしたら、それは心にとっては「ついこの間におきたできごと」なんです。頭で考えると「10年も昔のこと」と思ってしまいがちですが。すると、誤解が減りますね。

でも、「大好きな人を失った経験」にピンと来ない場合もあるんです。

「いやー、特にいないけどなあ・・・。失恋はしたけれど、みんな、今ではいい思い出だし、中には友だちになってる人もいるしなあ・・・」などと。

そういう場合は、少し意識を広げていきます。

恋愛ではなく、友だち関係ではないだろうか?
親友と急に仲違いしてしまったこととか、友だちにいじめられた経験とか。

でも、ピンと来ないなあ、という場合には、幼少期の親子関係に原因があることがやっぱり多いんです。

子ども時代って実はハートブレイクの塊です。

両親が揃っているから大丈夫とかは思わないでくださいね。
しかも、「うちは両親、とっても仲良しだったから」としてもね。

それこそ、時間の概念と同様、私たちの「思考」が邪魔してしまうのですが、例えば、子ども時代にこういうできごとがあったとしましょう。

「お父さんはいつも仕事が忙しくて、なかなか家には帰ってきませんでした。でも、あるとき、お父さんから『今日は早く帰れるから、一緒に遊ぼう』と約束してくれました。でも、その日も急な仕事が入ったようで、結局自分が起きているうちにお父さんは帰ってきませんでした。その日はとても寂しくて辛くて、『私のことなんてどうでもいいんだ』と泣いて寝ました。」

この程度のこと、と言うと失礼ですが、実際はとってもよくある話だと思うんです。

でも、このとき、子供心に「自分のことはどうでもいい」「お父さんは私よりも仕事を大事にする」という意識がインプットされてしまったりします。

もちろん、その後に癒されていくこともありますが、お父さんと遊ぶことを楽しみにしていた分だけ、そのハートブレイクも大きいですし、大きい分だけ“抑圧”も強くなります。

つまりは、そのハートブレイクの痛みを心の中に無理やりしまいこんでしまうわけです。

そうすると、表面上は痛みは感じませんし、記憶からも消去されていきます。
1度ならず、同じことが何度かあれば、心は麻痺してしまったりもします。

そうすると、意識レベルではなく、潜在意識や無意識のレベルにその感情はとどまるようになるんです。

そして、大人になって彼ができました。
でも、その彼のことが好きになればなるほど、不安も募ります。捨てられるんじゃないか、振られるんじゃないか。さまざまな思いが強くなります。

その不安が嫌で、恋愛を遠ざけたり、あまり好きにならないように努力したりする人もいますよね。「惚れたら負け」なんて考えてしまうのは、その典型です。よほど、強いハートブレイクを経験されたんだろうな、と思うのです。

でも、まさか、その原因の一つが、幼少期のお父さんとの約束にあったなんて、夢にも思わないわけです。
しかも、当時から、現在までに「思春期」という時期を挟んでいるので、お父さんのことが、そんなにも好きだったなんて、認めたくも無いかもしれません。

でも、心の中にはちゃんと保存されているんです。
しかも、当時のまま、冷凍保存されているかのように。

私たちはそうした過去を取り出して、溶かし、手放す仕事をしてるわけです。

どうやってやるの?というと、感情は感じれば感じるほど手放せます。
悲しみを感じれば感じるほど、その悲しみは去っていきます。

だから、「感情はちょっと大げさなくらいに感じたほうがすっきり手放し易い」なんて言ったりもします。

あとは、その感情を感じやすい環境を作っていくことなんです。
無理やり思い出そうとするなど、記憶に頼る必要はありません。

潜在意識や無意識は感情的、感覚的なものですから、正確な事実じゃなくても、そのように感じられたらそれでよいわけです。

先ほどの女の子に、こんな話をしていきました。

ちょっと想像してくださいね。5,6歳の小さい女の子。
なぜか、とっても寂しそうな顔をしています。目には涙を溜めています。
どうしてなのでしょう?どうしてあげたいと思いますか?

これはとあるセラピーの導入部なんですが、皆さんは一人になれる時間を見つけて、イメージを膨らませ、その?の答えを探してみて下さい。

心の中にしまわれている見知らぬハートブレイクが少しに癒されるかもしれません。


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