「夫と離婚する」をファンタジーにせずに現実にするには「覚悟(コミットメント)」と「手放し」、そして、「ヴィジョン」が必要です。



夫のこういうところがイヤだから、という理由で離婚を考えることは悪くないのですが、それだけだと中途半端になって「離婚するする詐欺」にハマってどんどん苦しくなってしまいます。
でも、離婚を決断するのはなかなか勇気がいるものでして、そのためにどんな心構えで、何をしていけばいいのかを考えたいと思います。

根本先生、初めまして。
いつもメルマガ楽しみに読ませていただいています
先生のお弟子さんから、先生を知り、先生の本をたくさん読み、癒され、心を保って生きていこうとしている39歳自武女です。

一年前くらいにバツイチ年下独身男子との不倫が始まり悩み、お弟子さんのカウンセリングを受けて、劇的に関係性が変わりました。
私には子供も夫もいます。

夫は歳が離れていて、相手を操作したいタイプで、価値観や、モラハラと受け取れる発言の多々が理解できなくなり、離婚へ動いています。

離婚するきっかけが、彼とのことがゼロとは言い切れないけど、ただこのまま動いていいのかな、という不安を抱えています。

結婚して13年目になるのですが、本当にこれで大丈夫?子供は不幸にならない?みたいな、不安定でぐちゃぐちゃな感情のまま離婚して、後悔したくないと思うこともあって、私はなにを振り返って、自分を癒し、離婚に向けて動くべきなのだろう?と。
自分の気持ちの決着の付け方に葛藤しています。

はっきりしていることは、夫とやり直す気はなく、今は同居人のような存在です。
愛していない人と一緒に暮らすことが苦痛で、消え去りたくなります。

彼とうまくいっているはずなのに、いきなり全部ぶち壊したくなって、LINEブロックしそうになったり、わざと返事しなかったり。
そんなわけないのに、私は彼に愛されてない!って突然襲われたり。

なにより、世の中に、この人が私の大事な人です!と言えない関係性がはがゆくて。
私は彼と、この人が私の大切な人って、隠さずに言い合える関係になりたい。
周りなんて気にしないで、たくさんたくさん愛したい!って思ってしまうのです。

でもこれが、不倫の魔物だったりするのかも、と自分を信じられず、やっぱり願っている未来がやってこないんじゃないかと思って怖いです。

こんな私もいるよ、ということで、よかったら、ネタに使っていただけたら嬉しいです。
(Mさん)

離婚は別に構わんと思うのですけれど、「夫は歳が離れていて、相手を操作したいタイプで、価値観や、モラハラと受け取れる発言」をする夫氏が素直に離婚を受け入れてくれるかどうか?ってのが気になるのですけれど、今はまだ離婚の素振りは見せてないのですよね?夫氏の性格的にその辺はどうでしょうか?

夫氏が強硬な態度をとるようであれば、長期戦覚悟で挑む必要がありますし、事前にある程度の準備(身近な人への周知、経済的自立、子どもの学校問題、改姓するかどうか、新しい住居、モラハラ発言の録音・録画などの証拠集め、弁護士への相談等)をしておいて、万全の態勢で臨むことが必要かと思います。

特に絶賛不倫中ということで、それを押さえられると不利に働くと思いますので、その辺をうまく隠しつつ、用意周到に準備することが求められます。

こうした手続きはとても面倒だし、決めなきゃいけないこともたくさんありますし、周りの人を味方に巻き込もうと思えば不退転の覚悟を決めなきゃいけないわけですが、このプロセス自体が離婚へのコミットメントを高めてくれるのも確かでして、もし「いやー、そこまでするにはめんどくさいですよー」ということであれば、そこまで離婚の意志は強くないと思った方が良いわけです。

>離婚するきっかけが、彼とのことがゼロとは言い切れないけど、ただこのまま動いていいのかな、という不安を抱えています。

離婚のきっかけになるのが彼氏の存在というのはあるあるですし、要するに夫婦関係が破綻しているからこそ不倫になったのですから、そもそも夫氏への気持ちがそれ以前から離れていたことは確かでしょう。

その彼氏と出会ってからMさんの心に起きたできごとはまさに「目覚め」みたいなものだったろうと思います。
「やっぱこいつ(夫)とは一緒にいたくない!」とか「愛する人をちゃんとしっかり愛したい」と思えるようになって、幸せ!を感じたくなったんだろうと思います。

つまり、今までの結婚生活が決して幸せじゃなかったということに気付いたわけですよね?

けっこう「幸せだと思い込んでいた」とか「これがふつうの結婚生活だと思っていた」みたいな妻は多くて、不倫まで至らぬとも職場等で気になる人が現れて世界が色鮮やかに見えるようになって「あれ?あたしって・・・もしかして・・・幸せじゃなかった?」と気づく例は非常に多いです。

そして、今まで「こんなもんだろう」と思って封印していた「女」が復活しまして、「こんな生活いやだー!このまま年を取っていくのはいやだー!」と夕日に向かって叫びたくなるものですね。

そこから新たな人生がまた始まるのです。

ただ、そうは言ってもいきなり「離婚」に踏み出せるのはなかなか難しく、夫氏をケツに敷いてかかあ天下を謳歌していた妻でも「うーん、ほんとうにそれでよいのか?」と立ち止まるものですし、お子さんがいらっしゃればなおさら「うーん、子どもたちはパパのこと好きだしな」とブレーキを踏んでしまうことになるのです。

まあ、それまで思いもつかなかった「離婚」というイベントが降ってわいたわけですから、「夫と一緒にいたくない!」と思ったとしても、それを現実化するには様々な葛藤が生まれてくるものです。

さて、不倫をきっかけに離婚の文字がチラつくようになった妻にとって気を付けたいのは「現実を無視して感情だけで突っ走ってしまうこと」です。

結婚生活がつまんない!→気になる彼ができた!→お付き合い始めた!→よっしゃ離婚じゃ!!と感情だけで突っ走るとたいてい失敗します。

なぜかというと地に足が着いてないからですね。

そもそも不倫関係というのはファンタジーを作りやすく、「彼と一緒にいるときはとても幸せ」ですし、どこか「不遇な恋をしているヒロイン」の気分になることもありますし、「彼と一緒にいるときと家にいるときの気分のギャップがものすごくデカい」わけですし、さらには「子どもに対して罪悪感も出てくる」ということもあるものです。

そして、未来に対してはファンタジックな妄想はできるものの、現実問題とすれば「子どもは大丈夫なのか?生活はできるのか?教育費は心配しなくてもいいのか?」なんてことも出てくるし、「彼氏は子連れの自分を受け入れてくれるのか?」という新たな疑問も出てくるわけです。

そうした現実を考えるとちょっと辛いし、怖いので、思い切りそこに蓋をして「準備中」の札を掲げ、非現実的と言いますか、アンダーグラウンドの方にどっぷり浸かってしまうようになり、そうして現実逃避している自分に新たな嫌悪感を抱くことも珍しくありません。

要するに感情がぐちゃぐちゃになっていくのですね。

もちろん、覚悟がまだ定まらぬ状態で夫氏に離婚を匂わしたりして、夫氏を逆上させてしまい、「うわ、こんなんじゃ離婚なんて絶対できない」と絶望してみたり、子どもにそれとなく離婚を匂わしたら全否定されて「やっぱ子どものことを考えると離婚なんてできない」と考えるようになったりするものです。

もちろん、そこに両親や義両親の存在が影響したり、中には「今の家、あたしの希望を全部叶えてもらったからここを離れることを考えると引き裂かれるような気持ちになる」とか「一緒に仕事をしているので、離婚なんてしてしまうと最悪、仕事を失うかもしれない」という思いが出てくることもあります。

そうすると不倫というのが格好のアンダーグラウンド(現実逃避)になるので、彼との恋愛は大いに盛り上がるのですが、その一方で、虚しさや寂しさ、自己嫌悪が強まるのも事実です。

>彼とうまくいっているはずなのに、いきなり全部ぶち壊したくなって、LINEブロックしそうになったり、わざと返事しなかったり。

こういう思いが出てくるのはそれくらいMさんが情熱の女であるという証拠であり、早くもそれなりにフラストレーションが溜まっている証でもあるのでしょう。

なかなか思い通りに行かない現状を彼にぶつけようとしているのかもしれません。

まあ、そりゃストレス溜まりますよね。笑

そもそも夫もいるけど彼氏もいる、という状態そのものがMさんにはフィットしてないのだろうと思います。

◎セミナー動画:応用心理学講座「旦那もいるけど彼氏もいる問題~分裂したマインドがもたらす現代社会の問題~」
https://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/46448

私からすると、見ていくべきポイントはいくつかありまして、とりあえず、
・なぜ彼氏を必要とするマインドができあがってしまってたのか?
・夫氏との関係においてどんな不満を抱えてきたのか?
・本来のMらしいパートナーシップとは何なのか?
あたりを明らかにしていきたいところですね。

そうして「やっぱり離婚だな」ということになれば、そちらに向かえばよいですし、「うーん、正直、離婚ってのは自分のキャラにはないな」ということであれば、夫氏との今後を改めて考え直していけばいいのです。

さて、

>夫は歳が離れていて、相手を操作したいタイプで、価値観や、モラハラと受け取れる発言の多々が理解できなくなり、離婚へ動いています。

という夫婦関係というのは案外多いものでして、始めの頃はずいぶんと大人に見えた夫氏も、結婚生活を重ねていけばだんだん対等に見えてくるものですし、さらには立場が逆転するような状況になっていくことが多いです。

特に子どもを産んでからは「表向きは亭主関白だけど、内情はかかあ天下」みたいな状況にもなりやすいものですね。

とはいえ、長らく続いた「夫が上、妻が下」という関係を崩すのはなかなか困難でして、夫氏は年上のプライドもあれば、妻を下に見ている習慣もありますから、妻の台頭を認めるのは相当抵抗があるでしょう。

だから、妻が意見すると頭ごなしに否定して怒鳴り散らす、なんて夫氏も少なくないわけで、そうすると妻が離婚を言い出そうものなら力づくでも抑え込もうとする姿も想像に難くありません。

ただ、ここをはっきりさせないと子どものことも含めて何ら決められないわけですから、まずは離婚することに肚を括ることがMさんに求められているわけですね。

実際にこうしたカウンセリングを行う際は、冒頭にお話したような準備がどれくらい進んでいるかを確認したり、クライアントさんのキャラを考慮したり、夫氏の性格や夫婦関係をあれこれ聞いてどういうアプローチがいいのか考えていくものですが、そうしたプロセスを進んでいく上でも、覚悟、というのは非常に重要なものになります。

そこではよく「自分の本音を試す」なんて無粋な言い方をしておりまして、「離婚の準備を着々と進められるのであれば、あなたの本音は離婚ですね。しかし、いろいろと理由を付けて準備が進められないのであれば、あなたの本音は離婚を望んでないということになります。」なんて厳しいことを伝えるものです。

そもそも離婚というのも「後ろ向き」なものと「前向き」なものがあります。

「夫がイヤだから」「今の生活が辛いから」「このままでは嫌だから」というネガティブな理由で離婚するのが「後ろ向き」です。

現状を否定して離婚するものですから、その場合は明るい未来が描けていません。

だから、実際に離婚に必要なエネルギーが不十分なので途中で頓挫したり、離婚に成功したはいいけどその先の生活が苦しくなったりして、あんまり良いことはありません。

もちろん、離婚を考えるきっかけはネガティブなわけですけれど、それを徐々にポジティブな方向に転化していく必要があるのです。

それが「前向きな離婚」ということになりまして、離婚した後の未来に希望や喜びを見ることがとても大切なのですね。

もちろん、夫と離婚して彼と一緒になる、という未来もあるわけですけれど、それは彼によりますし、離婚してから考えることなので、それを希望にすることはあまりお勧めではありません。

実際、離婚した途端、彼氏に興味がなくなった例なんていくらでもありますし、また、離婚したはいいけど彼氏も逃げたなんてことも珍しいことではありません。

「離婚するための触媒みたいな存在だった」と発言された元妻もたくさんいますね。

つまりは彼氏抜きでの未来に希望が持てるか?喜びを感じられるか?何ならワクワクしてくるか?というのがものすごく重要なのです。

つまり、離婚によって得られるものって何なのだろう?離婚によって得たいものって何だろう?ということを考えたいのです。

私のクライアントさんにも離婚される方ももちろんいますけど、必ず前向きな離婚になるように心理的な準備をしていきます。

だから、離婚後は「憑き物が落ちたようにすっきりした顔つき」になる方が多いですし、これからの未来に希望を持ってニコニコしている方が多いのです。

だから、そんな夫氏から解放されることによりMさんが得られるワクワクする未来を描いていきたいのです。

それがあって初めて離婚に前向きに取り組めますし、何なら裁判をやってまでも離婚をしたいという思いを作ることができます。

そのワクワクした離婚後の未来を描くものはやはり「欲求」だと思うのです。
その「欲求」がヴィジョンになるんです。

>なにより、世の中に、この人が私の大事な人です!と言えない関係性がはがゆくて。
>私は彼と、この人が私の大切な人って、隠さずに言い合える関係になりたい。
>周りなんて気にしないで、たくさんたくさん愛したい!って思ってしまうのです。

これは彼在りきの未来ですけれど、最後の一文は離婚後の恩恵と言えるでしょう。

愛する人を思い切り愛したい、という未来はやはり魅力的ですよね。

他にはどんな「欲」があるでしょうか?

レスがきっかけで離婚した方はもちろん「愛する人とセックスを思い切り楽しみたい!」というヴィジョンが与えられます。

モラハラ夫からの離婚では「誰かを怖れることなく安心して毎日を過ごせること」がヴィジョンです。

コントローラーな夫から離れられたら「自由」が手に入りますし、「自分らしい毎日」にワクワクできるでしょう。

経済的理由での離婚なら「地に足の着いた安定した日々」がヴィジョンになるかもしれません。

ヴィジョンには不安も付きまとうものですけれど、その不安や怖れを上回るワクワク感が離婚へのモチベーションになってくれるわけです。

だから、離婚後の世界を楽しみに待てる、何なら、早くその日が来てほしい!と熱望できるほどの未来を描いていきましょう。

そのために私が取り組むことは「夫からの卒業」と題しまして、様々な手放しを行っていくことです。

夫氏そのものを手放すことはもちろん、今の生活、妻という立場を手放して行きます。

離婚する覚悟がまだできていない状態で「夫を手放すワーク」をやってみて、それで自分の気持ちがどう動いていくかを見ていくこともします。

つまり手放しをすることで「先取り」するわけですね。

また、今の生活を手放すワークというのもけっこう効果的で、それはまるで「すごく楽しかった高校生活を卒業する」という儀式になることもあります。

夫には執着してないけど、今の生活には執着している、という都合の良い自分もいるものですから、やはりこっちも大事ですね。

Mさんが離婚を考えるようになったということは、夫婦関係においてMさんが自立してきたことを表していると思います。

結婚当初は依存の立場だったけど、だんだん力を付けて自立してきたわけですね。

そうすると元々自立の立場を取っていた夫氏と対立するのは必然ですが、向こうは13年も自立の立場を貫いているわけですから、そう簡単にその席を譲ってはくれません。

そうすると生まれたてほやほやのMさんと、その道13年の夫氏の対立になるわけですから、やっぱ敵わないわけです。

ただ、そうしてMさんが自立してきた以上、放っておけば何にせよ紛争は避けられないわけで、今回の不倫にしても、Mさんが仕掛けたゲリラ戦として解釈できるほどなのです。

だからこそ、ヴィジョンがとっても大事ですし、夫氏との今後をじっくり腰を据えて考えることが今できることだと思うんです。

彼氏の存在があるとファンタジーに引っ張られやすくなり、ついついアンダーグラウンドの住人として収まってしまいそうなのですが、現実を見ながら「次の一手」を着々と進めて参りましょう。

◎オンライン:6/22(土)14:00-17:00 本気の手放しワーク・オンライン
https://nemotohiroyuki.jp/event-cat/52830

◎7/20(土)東京、8/10(土)大阪:1DAYリトリートセミナー~ライフワークやパートナーシップと向き合い、自分を深く知る1日を~
https://nemotohiroyuki.jp/schedule-cat/50757

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