毎月1回は全社会議を開いてあれこれ話をしたり、喧嘩をしたりしています。(堺筋本町・fujiya1935)



月に一回、全社会議と称して奥さんとランチに出掛けることにしている。
よってこの日は気分によって学校をサボる息子くんや反抗期の最盛期を迎え、堂々と遅刻する娘さんを無事学校に送り届けるところから我が家の朝は始まる。
好きなことを好きなようにする我が家のモットーからすれば、その辺は彼らを信頼する他なく、無理強いもしないので朝からその気にさせようと奥さんは大変である。

美味しいものが好きな夫婦なので大阪の名店をあちこちランチして回ろうと全社会議を始めて2年くらい経つがお気に入りの店に出会うと何度も通いたくなるので、回数ほど多くの店を訪れていない。

なかなか二人で話をする機会も少ないし、仕事の話もしなきゃいけないし、美味しい店が大阪には多いこともあって月に一回ではとても少ないのであるが、今のところはこれがベストと割りきっている。そのうち週に1回くらいは夫婦で出掛けられたらと思っている。

久々に二人で話をして溜まってるものが噴き出して喧嘩して店の雰囲気を乱すこともあったし、料理に夢中になって仕事の話をし忘れたこともある。

今月はfujiya1935さんに来た。4回目くらいの来店である。
モダンスパニッシュらしいのだけど、ミシュランにはフュージョン料理と掲載されているとおり、和食と洋食の境目が限りなく曖昧な素材と料理でいつも感動させていただいている。

白樺をあしらった白い店内では静謐な空気が流れている。
1階のウェイティングルームは外界と料理の世界をうまく遮断するように暗く、案内されて2階に上がればまぶしい光が浮世離れした気分を演出してくれる。

こういうお店に来るとまるで神社の境内で御払いを受けるように背筋が伸びる。
でも、緊張感でギシギシになることもなく、ほどよくリラックスできるのが楽しい。
言わば店のスタッフは神職みたいなものだ。

最近の私はすっかり神社にはご無沙汰なのだが、禁断症状がでないのはこうした店に出入りしているせいかもしれない。

生姜の香りがほどよい筋子のフラン。要するに、茶碗蒸しである。

蒸しパンがこの店のスタンダードなのだけど、今月は栗だ。マスカルポーネチーズがいいアクセントになる。

実りの秋を象徴する玄米と秋トリュフのリゾット。
素揚げしてるので上に乗ってる籾もアクセントとして食べられる。

子持ち鮎のコンフィ。スダチベースのソースも抜群だけどそのままでも十分美味しい。これはスペイン料理なのか?との疑問が一切拭われない(笑)

ワタリガニのリングイネ。泉州でこんなサイズのワタリガニが採れるとは初耳である。

メインは鴨。単にソテーしてあるだけでなく、ソースに少し漬け込んでいるからか柔らかくスッと入る。
付け合わせの柿が上品な酸味を伴って抜群なバランスを演出している。

デザートはこの2種。
温かい葡萄と冷たい葡萄のコラボレーションに、ブラムニーというお菓子用の酸っぱいリンゴのケーキ。
口直しにぴったり。

エスプレッソで〆。

デザートでシャバに戻ってきたような感覚がするくらい、非日常に行っていたようだ。

今回、ワインは泡、白、赤の三種類。
日本産のスパークリングウォーターと共においしく頂く。

ご機嫌な奥さまと泡。

今回、ちょっとしたサプライズがあった。
セミナーのスタッフをしてくれていたKちゃん夫妻も訪れていたのだ。
外国人のお客様が多いこの店の個室で食事をしていたらしい。
過酷な子育てをしてるKちゃんに、超絶多忙な旦那さん。喧嘩の絶えない情熱の塊のようなご夫婦なのだが、ひとときの休息(休戦)になったら幸いである。
こういう時間はほんとうに大切だからね。

私たち夫婦も今日は仲良く食事を終えられた。
なかなか二人で話をする時間がないから、やはり貴重な時間だと思う。

ウェイティングルームを通って外の世界に出ると、ほんとうに神社で御払いを受けたあとのような軽さがあった。やはり、ここのシェフも密かに神主か司祭ではないかと勘繰っている。


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