「話を聞いてもらう」以外で気持ちをすっきりさせるには?



誰かのために一生懸命になっていると、知らず知らずのうちに限界を超えて、自分を追いつめてしまうもの。
だから、「自分」に意識を向けさせる方法が有効だと思うのです。

今日もリクエストにお応えしたいと思います~!
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初めまして。Aと申します。
根本先生には数年前からネットを介してお世話になっております。
今は大学院生ですが数年前にはほぼ引きこもり状態にあり、生きるのがとてもつらい状態でした。
そんな中、自分の悩みをネットで検索(あまりいいこととは言われませんね)すると根本先生のカウンセリングサービスの記事にヒットする事が何度もあり、これは一連の悩みのパターン、ひいては人格のパターンを共有する何かがあるのでは…と思い、次第にファンになっていきました。
私が今何とか社会生活を送っていられるのも、根本先生が様々な問題に対して言葉をはしょることなく階段を一歩ずつ上がるような調子でゆっくりと解説してくださったおかげだと思っています。

今日は質問したいことがあってメッセージしたのですが、その前に私の心の経緯について簡単にご説明しなければと思います。
私の母は教師でとても厳しく、冗談も通じない人でした。対して私は芸術に興味があり気が弱く少々ぽやっとした性格でした。
幼少期から小学校高学年まではほとんど親からは無視に近い扱いを受け寂しい思いをしましたが、小学校6年になり突然母の教育ママ思想のターゲットにされてしまい、毎日厳しい叱責と罵倒に耐えながら私立の難関中学に入学しました。
しかしこの辺から解離が始まり、その後約5年を別の人格として過ごしました。
あまり良好でない精神状態と母の過干渉で高校生のころは成績どころではありませんでしたが、大学では好きな勉強をしたいと思い、親の意見と自分の興味を折半して建築学部に入学しました。
しかし興味のある分野の勉強ができるようになったと思いきや、それまでの癖で目の前の勉強が辛い労働や義務のように見えてしまい、好きな勉強なのに体が拒否してしまう、毎回締め切りに苦しむために先延ばしにするかような行動を取り楽しむどころではない(実際自分に楽しむ事を禁じていたのだと思います。)などの病的な態度が出てきて、19歳の秋頃から鬱状態になり、通学しながら3年半から4年程鬱に苦しみました。
鬱状態になって2年目くらいに心療内科に通い始め、今では病状も落ち着き、少しずつ勉強にも冷静に向き合う努力ができるようになりました。
しかし母との共依存関係は依然解消しておりません。

長くなりましたが、ここからがお尋ねしたい問題です。
私は学校の友人達に心を打ち明けることができず、中高の友人達も解離していた状態でつきあっていたので、悩みがあっても事情が事情だけに本音で相談できる相手が周りにいません。
カウンセリングには行っていますが、私はなかなか心の中をさらけ出せない性格らしく、肝心なことを相談したあとはすごく落ち込んでしまったりします。あるいは、とても苦しくて話したいと思っていても予約がだいぶ先にあったりします。
悩みが小さいうちに誰かに聞いてもらってすっきりしたいと思うのですが、家族に話すと「あんたが悪いんやろ」「薬飲みなさい。」「ああいえばこう言う!口答えばっかりしなや!」という反応しか帰って来ず、悩みを相談したはずが逆に伸されてしまいます。
そして家族には相談できない、でも他に言えそうな人もいない…と悩んでいるうちに悩みや疲労がどんどん大きくなって、その後何週間か引きこもり状態になってしまいます。精神力が限界に達した所で引きこもって長時間の睡眠を取り、何とか充電するといった感じです。
しかし今は就職活動をしているので気楽な大学生活期とは違って勝手に引きこもることもできません。何とかして「人に話してガス抜きをする」「倒れ込むまで我慢してから長時間充電期間を取る」
以外のケア方法を習得しないと持続可能な社会人生活を送れないと思っています。
無理な相談かもしれませんが、何とかこれらの条件をクリアするようなセルフケア術をお教えください。長くなってしまいましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
(Eさん)
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お母さんのことが大好きなんですよね、きっと。
ずっとその愛情を求めて育ってこられたんじゃないかな、と思うんです。
そして、何とか期待に応えようと頑張って来られたのが今の姿なのではないでしょうか?

つまり、お母さんから愛されるために、精神をかい離させてでも勉強を頑張ったし、その望みを叶えるために難関中学にも、建築学部にも大学院にも入ったし、そして、今、いよいよ社会に出られるところ、という。
さらには、親しい友人を作らないのも、悩みを話さないようにするのも、倒れ込む寸前に睡眠を取って充電する、というのも、その目的のためだとしたら驚かれるでしょうか??

そんなめちゃくちゃ頑張ってきた自分にどれだけ「良くやったね」って声をかけられるかだと思うんですね。
感情的に求めてるのはお母さんからの評価や愛情だと思うのです。

これだけ頑張り屋さんのAさんは究極のところ、お母さんからの「よく頑張ったね」の言葉が欲しくて今までやってきたんじゃないかと思うんです。

ちょっと想像してみてください。
あの超厳しい教育ママで過干渉なお母さんが「Aちゃん。もう好きに生きたらええのよ。あなたはほんまによう頑張ったんやから。もうお母ちゃんの元を離れて自由に生きてええねんで。」って優しく言ってくれるんです。
どんな気持ちがするでしょう?

「今まで、ゴメンな。色々と厳しいこと言うて。でも、ほんまにあんたはお母ちゃんの言うこと聞いて頑張ってくれた。ありがとう」って言われたら。

なんでこんなにも頑張ったかというと「寂しかったから」だと思うんです。
子どもの頃、無視されてたわけですから。ものすごく寂しかったんじゃないでしょうか?
それが小6の時に急にこっちを振り向いてくれたんですよね。
そしたら、子供心としてはまずは「嬉しい」んですよ。
そして、次に思うのは「もうあんな無視されたり寂しい思いをするのは嫌だ!」なんですよね。
だから、こんなにも頑張ったんじゃないでしょうか。

「寂しかったね」
「寂しいよね」
「すっごく寂しいよね」
「よく我慢したよね」

そんな言葉をご自身にかけてみてはいかがでしょうか?

こうした言葉かけもセルフケアの一つです。
人に話すことが苦しいのも、心を許せる相手がいない、という点もありますが、それがお母さんを裏切るようで申し訳なく思っているのかもしれないし、また、それくらいお母さん以外には自分を愛させないように(助けさせないように)しているのかもしれません。

セルフケアの方法って言えばたくさんあるんですよね。
・呼吸法+ストレッチ(ヨガ)
・温浴療法
・整体、鍼灸に通う
・自然に触れる(森、海、川、神社、お寺)
・瞑想する(直感で瞑想CDを選んで聴く)
・体を動かす(週に2,3回以上は)

パッと思い付くだけでもAさんにはいいんじゃないかなあ、という方法がこれだけ浮かびます。
でも、今、新しいことを採り入れる余裕ってあるのかな?

呼吸法がいいからやってみて、と言われてできるだけの心理的余裕があるのかな?

もし、あまり無いようでしたら、騙されたと思って、今日のブログを何度も読み返してください。
そして、「 」(カギかっこ)の中の言葉を実際声に出して(呟くくらいでいいですよ)言ってみてください。
これを繰り返すだけでも心が解れていくと思うんですけどね。

そうそう、あとね、日記もお勧めです。心の日記。
でも、毎日書くものでもなく、また、できごとを書くものでもありません。
そのとき感じている気持ちだけを書いていくものなんです。

それをお手紙方式にするのも有効かも。
もし何なら「根本さんへ」って私宛の手紙にして書き続けてもいいでしょう。
それだけでもココロの荷物を少しだけ「手放す」ことができます。
実際私に会うことがなかったとしても、それは有効な手段となります。

そして、少しずつ心に余裕を持てるようになったら、またどうなりたいのか?どう生きたいのか?を考えていきましょう。

文章を読む限り、Aさんがとても賢く、優秀な方だということは見受けられます。
それだけお母さんの期待に応えられるだけの力を持ってるわけですから。
ただ、賢すぎて先読みしすぎて、それがまた自分の首を絞めてることも多いのでしょう。
だから、肩の力を抜いて、楽に周りを見られるようになったらその聡明さをもっと生かせるんじゃないかなあ、と思うのは僭越でしょうか。

あ、そういえば、修論はもう見通し立ちました?
修了も大事ですよね~(笑)

男と女の心理学 
根本本。
根本本

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