男性恐怖症で将来が不安~そこから見える意味とは?~



とても辛い状況で育ってきた裏には、それだけのものを受け入れられる器の存在があります。そして、それだけの才能や強さがあるからこそ、とも言えるのです。
そこに気付いて行くと痛みは恩恵に昇華します。まずは自分を愛することから学びます。

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28歳(女)ですが男性恐怖症で将来が不安です。理由として考えられるのは…父→DV、毎日役立たず、死ね!と言われてました。母→父の顔色を伺いながら生活してました。幸せなカップルを見ると「汚い」と嫌悪してました。小さい頃から男性と親密になることは大罪を犯した様な気持ちになり、男性に近づかれると気分が悪くなりますが、本音は触れて欲しい、いっぱい見て欲しいと言う気持ちになります。また母は私が女性らしい格好するのも嫌悪します。
兄→これが一番ネックかと…6歳上なのですが小さい頃は宝物の様に可愛がってくれましたが、成長と共に父のDVのストレスのはけ口、反抗期で私に暴力、睨み付ける様になりました。しかし当時の彼女には優しい笑顔で接してたのを見て、今迄で一番傷つきました。
それ以降の私の好きになる人は私には見向きもしない様な人です。「その子にはそんな優しい笑顔見せれるのに、私はダメなんだね…」と思い知らされた人生でした。また保育園の頃から母は16時に迎えにくると言ったのに残業などで20時位にきて、その間捨てられたんじゃ…と不安でいっぱいでした。
あと先にお母さんと帰る友達を見て自分を負け犬の様に感じてました。結婚していく友達を恨めしそうにみる感じの惨めさです…自分を女の子と感じた事がないのでそんな日がくればなぁと思ってます。
(Aさん)
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とても辛い子ども時代を過ごされてきたんですね。
思い出したくもないことがたくさんあったんじゃないかと思うのです。

しかし、それにしてもお父さん、お母さん、お兄さん。どれも胸が詰まるできごとばかりですね・・・。

こういうお話を伺うと、つい言葉を失ってしまう私がいるのです。
今、こうして落ち着いて振り返られるようになったのはいつ頃からでしょうか?
どうしても男性恐怖症にならざるを得ない状況だったんだろうと思います。

恋愛以外では今はどんな感じなのでしょうか。
仕事の人間関係は?
友人関係は?
今の親子関係は?お兄さんとは?
学生時代は?社会人になってからの人間関係は?
自分を傷つけるような関係を無意識に作り出していないでしょうか?

まずは色々とお伺いしてみたいことがたくさん出てきます。
そうしてAさんの人生についてある程度お聞きして少しずつ整理していきながら今後のことを話し合っていくのがベストじゃないかな、と思うんです。
今回はどうしても限られた情報で、多少の推測を織り交ぜながらのお話になってしまうこと、了承くださいね。

さて、「私の好きになる人は私には見向きもしない様な人」というのは、まさにそれまでの“裏切り”や“見捨てられ感”や“暴力”“存在否定”などから作り出されるものですよね。
「これ以上傷つかない相手」として、または「自分が愛されないことを証明する相手」として「見向きもしない人」はうってつけになります。
もし、親密になってまた裏切られたらものすごく傷ついちゃいます。だから、見向きもしない相手ならその痛みを回避することができます。
また、そういう相手を好きになることで「やっぱり私は愛されないんだ」という思いを証明することができますよね。

もちろん、そういう意志はないと思いますが、痛みからくる怖れが無意識にそういう相手を好きにならせるのです。
だから、男性不信や恐怖が和らいでいけば、出会う人、好きになる人も変わってきます。
これからも自分自身を癒し続けてあげるとそれは可能になって行きます。
自分を癒す、その一歩目は、自分を大切にする、自分に優しくする、ということです。
今日できる「自分に優しいこと」を一つでも継続してみてくださいね。
それだけでも変わっていくことが多いんです。

さて、Aさんのような方にお会いするとどうしても頭を過ぎることがあるんです。
どうしてこの家族を選んで生まれて来たのか?ということ。
この家の長女として、第二子として、この家族を選んだのはなぜか?ということがどうしても気になってしまうんです。
(私は心理学的な見地から「私たちは親・家族を自ら選んで生まれてくる」という前提でお伺いしています。)

Aさんも考えられたことがあるかと思うんです。
なぜ、ここに生まれてしまったのか、と。

でも、それを積極的な前向きな意味で捉えてみるとしたらどうでしょうか。

両親を救いたかったのか・・・
何かを学びたかったのか・・・

とても強い才能、能力、可能性、強さ等がなければ、この家族の一員になることを選ばないでしょう。
すなわち、その器がなければそこに生まれることはできなかったのですね。
とすれば、その才能を開花させることがAさんにとっての目標になるのではないかと思うのです。

もちろん、そこには自信をすっかり失ってしまってる自分がいるかもしれません。
しかし、人が本来持っている才能やエネルギーは隠れることはあっても無くなることはありません。
とすれば、きちんとそれを見付け、磨いてあげることにより、この家族に生まれてきた「意義」や「意味」が理解できるようになるのです。
もちろん、その時Aさんは今よりさらに人に与える存在になっているでしょう。
誰かを救う存在になっている可能性も高いですね。
もちろん、パートナーシップの問題も改善されていますね。
男性恐怖症は相当軽くなっているでしょう。

さて、今どのような状況にいらっしゃるのかにもよるのですが、まずは自分の今、過去に向き合う時間を作って行きましょう。
可能であればサポートしてくれる存在と一緒に進めていくのが良いでしょう。

時には両親を嫌うこと、兄を憎むことを許すことも役立つかもしれませんし、逆に、彼らを感情的に理解することで心の負担を軽くできるかもしれません。
家族がAさんに与えた痛みが彼らの甘えであり依存であることが腑に落ちれば、自分が家族に与えて来たものの偉大さに気付けるでしょう。

辛い思いを大切にしつつ、自分を慈しみつつ、自分を愛しつつ、このプロセスを進めていけたらと思っています。

抽象的な表現ばかりになりましたが参考になりましたら幸いです。

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