スーパーおかんを持つ苦悩



よくできたお母さんを持つと、その子どもは大きなプレッシャーを感じやすくなります。
特に女の子は自分を見失い、お母さんと自分を比較して自己否定に走りやすいのです。
そんな時には自分を取戻し、自分にできることをやっていくことで大人の関係を築きやすくなるのです。

私たちの人生にとても大きな存在を与えている両親。
中でもお母さんは「コミュニケーション」「対人関係」「感受性、情緒」などが育つ上でとても大切な存在で、かつ、大人の女性のシンボル(代表)となります。
私たちの心が育つ幼少期に最も近い存在であるが故に、最も人生に影響を与える存在になります。

さて、そんなお母さんが機能不全だったら当然のように問題となってくるのですが、その逆、とても良くできた、いや、出来過ぎたお母さんを持つとこれまたすごく問題になりやすいのです。
もちろん、お母さんが悪いわけではありませんが、子どもの心理にすごく影響を与えるんですね。


男性であれば、女性の基準がお母さんになります。
だから、お母さんがとても完璧な母親であれば、奥さんとなる存在に多大なるプレッシャーを与えることになりますよね。
「うちのおかんは家事完璧だった」
「料理がめちゃくちゃうまかった」
「どんなに遅く帰って来ても優しく迎えてくれた」
「自分の身の回りのことをちゃんとしてくれた」
みたいなことを言われたら、奥様の皆さん、どう思います?
もちろん、そう言わなくても、そういう雰囲気を醸し出されたら?
(この辺の心理はうちの奥さんはとても詳しくご存知なのですが(苦笑))

自立心が強い男性の場合であれば、お母さんの影響を排除して彼女と向き合ってくれるわけですが、いわゆる「マザコン」あるいは「隠れマザコン」の場合はあちこちで比較されることになります。

※隠れマザコン=表面的にはお母さんを否定してたり、ケンカ口調なのだけど、何かと言うと母親の存在を気に掛け、あわよくば面倒を見ようする態度を取る息子のこと。

一方、女性であると、これが自分の人生に非常に大きな影響を感じてしまうんですね。

例えば、こんなお母さんの例です。
「私の母は仕事をしながらも家事も完璧にこなしていました。家に帰ってくればご飯をちゃんと作り、洗濯や掃除、アイロンがけまできちんとしています。裁縫も得意なので子どもの頃の服はたいてい母が作ってくれていました。性格も明るくて社交的なので友達も多く、近所のママ友たちからも慕われてましたし、頭も良かったので勉強もよく見てくれました。怒るべきところでは怒り、感情的になることも少なく、お父さんのこともしっかり支えていたんですよね。もちろん、おじいちゃん、おばあちゃんの面倒もよく見てました。」

そんなお母さんの元で育てられた彼女。自分が結婚したときに、いかに自分が何もできないかを思い知り、自分が妻として不十分ではないかと自分を責めるようになったんです。
彼女も話を伺えば、妻として母としてやるべきことはかなりやってます。
しかし、その基準があのお母さんなので、何をしても敵わないようあ、ダメなような気がしてしまうんですね。
家事にしても「もし、お母さんだったらもっと上手にやっているのに」とよく思いますし、特に子育てて何かしら問題が出て来た時には「自分が母親だからだ」とひどく自分を責めてしまいました。
家事や育児に疲れて寝てしまうこともふつうに良くあると思うのですが、彼女は「お母さんはそういうときもちゃんとお父さんを起きて待ってた。ご飯も温かいものを出してた」と思い、朝、ひどい自己嫌悪に陥ります。

お母さんが「正しい」ので、自分は事あるごとに「間違っている」状態になります。
お母さんが「素晴らしい」ので、自分はもちろん「出来が悪い」です。

お母さん自身が彼女にダメ出しをすることはありません。(そこも良くできた母親ですね)
しかし、その分だけ、さらに輪をかけて自分を責めてしまうのです。

そんな「比較」「競争」の罠にハマってしまうんです。
そこではすっかり「自分」を見失ってしまいます。
自分には何も価値が無いように感じ、お母さんばかりが光り輝いています。

だから、まずは「自分」を取り戻していくことが大切です。

私が持つ価値って何だろう?
それを一番知る人物はもちろんパートナーです。だって、あなたのお母さんを見てあなたを選んだわけではないのですから。

こういうお母さんを持つと自然と意識が「夫」よりも「母」に行きやすくなります。
それが夫婦間に見えない溝を作り、将来的に問題が起こる土壌になります。
つまり、戸籍上は夫婦だけど、精神的にはまだ嫁に行けてない状態です。
「夫」を信頼し、夫の愛をきちんと受け取ることがとても大切なものです。

そして、それはお母さんにはない、あなたオリジナルの魅力であることも少なくありません。

例えば、スーパーおかんに育てられると「何もできない」と思う出来事に良く出会いますが、同時に周りの人に「何かしてあげたくなる雰囲気」をあなたが醸し出していることにはなかなか気付けません。
おっとりしていたり、落ち着いていたりして、癒し系の空気を振りまいていることにもあまり気付けませんし、そこに価値を置けません。
また、主婦歴40年を越えたお母さんには適わないかもしれないけれど、主婦歴5年にしてはとても料理が上手だったとしても、あまりそれを受け取れません。

あなたにはあなたの価値があり、魅力があります。

さて、とても面倒見のいいスーパーおかんの元では、嫁に行けないという現象に代表されるように「大人になっても心は実家暮らし」になりやすいんですね。(これは男性も同じです)
もちろん、1人暮らしをしていても、結婚して家を出ていても。

大人になりにくい、あるいは、大人になりたくない心理が強く出て来るんです。
だって、お母さんが面倒を見てくれてるわけですからね。

いつまでも自分は幼い子どものような気がしていませんか?
全然大人として自分が不十分な気はしていませんか?

そこに最大の誤解があるのかもしれません。

自分がもう立派な大人であることを、ちゃんと地に足を着けて認めて行くことがとても大切なのです。
その力は十分に備わっているんですね。

そして、1人の大人の女性(男性)として改めてお母さんを見てあげましょう。

その時、自分にできる範囲でお母さんに「与える」ことをいつもお勧めしています。
料理を作ってあげてもいいでしょう。
どこかに連れて行ってあげるのもいいですし、たまには実家に帰って、お母さんを休ませて自分が家事をしてあげてもいいでしょう。

そうすることで新たな「大人同士の関係」を築いていくんですね。

ここで大事なのは「お母さんと比べる」ことを卒業し「自分にできることをする」というレッスンをすることです。

スーパーおかんに育てられた、ということは、ある意味、最高の教育を受けて育って来たことに他なりません。
そのお母さんが教えてくれたことを、体現すること(それはお母さんとまったく同じことをするのではありません)を目標にしてみましょう。

お子さんがいらっしゃれば、それを子どもに伝えてあげるのです。

きっと完璧に家事をこなすお母さんの中に、子どもたちへの愛を感じてきたはずです。
だから、そうなりたいと思い、そうなれない自分を責めてしまうのです。
そう、そこには憧れや愛情がたっぷり含まれているのです。
そのことに気付いているでしょうか?

自分なりにできること、を愛を持ってしていくことがお母さんの教えだと思っていいんですね。

そして、もっと堂々とそんな素晴らしいお母さんを持てたことを誇りにしてみてください。
比較や競争ではなく、共存であり、共生ですね。

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