30歳で家にべったりな姉を可哀想に思ってしまいます。



幼少期に頑張って大人をしていると、大人になってから幼少期に抑圧した欲求が噴き出ることがあります。
心配よりも信頼や感謝の思いを持つこと。そして、何より自分が幸せになることを選びたいものですね。

今回はAさんよりリクエストを頂きました!ありがとうございます。

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私は姉の事を可哀想だと思ってしまいます。
30歳になりますが、今まで恋人がいたとこもなく、友人付き合いも少なく、出かける時はいつも一人か、母親と一緒です。
平日は仕事ですが週末になるとパジャマのまま一日中スマホでゲームをして一歩も外に出ません。
家の事は何もできず、むしろやってもらうことが当たり前。出来ていないとまるで亭主関白な旦那さんか、こどもの様に怒ります。あまりに幼稚な理由過ぎて、こちらがポカンとする位です。父親の事も、なぜそこまで?と思う位邪険に扱います。父は普通の態度なのですが、話しかけられたり、ベタベタされるのが、父に対しては嫌なようです。
私は三姉妹の真ん中、姉は長女です。末っ子の妹が産まれて、母が大変な時も父は仕事で忙しくしており、姉は自分の事は勿論、私の面倒までみてくれていました。
その時に我慢していた、甘えたい、という気持が今になって強く出ているのでしょうか。父に対しても、何もしてくれなかった。という誤解があるのかもしれません。若くして結婚し、直ぐにこどもが三人産まれたので、朝から晩まで働かなければいけなかったと私は理解しています。
姉に、母に甘えるのはやめ、父に対する態度も軟化し、恋愛や友人付き合いももっと楽しんでもらいたいです。何か私にできることは無いのでしょうか。
(Aさん)
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ありがとうございます。
確かにとても悩んでしまう状況にいらっしゃるとお見受けします。
そして、そんなお姉さんのことを心配し、ご両親に配慮なさるAさんはとても家族思いで、優しい方ですね。(まずは、そんな自分の価値を受け取るところから始めましょう。そうすると、今後の進め方に自信や安心を持ちやすくなりますから)

> その時に我慢していた、甘えたい、という気持が今になって強く出ているのでしょうか。

と書いてくださってる通りだと思います。
お姉さんは子ども時代に無理やり「大人」になる必要を感じ、幼いながらに頑張って妹たちや家族のことをやってくださったんだと思います。
そういう意味ではAさんと同じように家族思いの優しいお姉さんだと思います。

しかし、子どもにとって自分も甘えたい、頼りたい、かつ、面倒見てもらいたい気持ちがあるのに、頑張って大人になるのはすごく辛いことでもあっただろうと思うんです。
それが妹たちも自立して行った際、どどどどどーっとその思いが噴出して今に至るのかもしれません。

そうした気持ちを理解されてるAさんはやはり優しく、思いやりのある方なんですよね。
だからこそ、やっぱり心配になるし、「姉ちゃん、それでいいのか?」という思いも出てしてしまうのも無理からぬことですよね。

実はカウンセリングでもこんな事例によく出会うのです。

「私の母は5人きょうだいの長女で、田舎で農家だったこともあり、子ども時代から家のことを一切任されて育ってきました。幼い妹や弟たちの面倒はもちろん、家事も一通りやってきたそうです。親が忙しかったので、弟の入学式に参列するなど親代わりに頑張って来たみたいです。だからなのか、結婚して子供ができると、今度は自分の番とばかり、一切家のことをしなくなってしまったのです。だから、私は幼い頃からご飯の準備を自分でしたり、掃除をしないので埃臭い家で生活をしたりしなければいけませんでした。そのせいか、弟は喘息もちになってしまったんです。」

これはAさんのケースとは少し違いますが、親が子どもに依存する、という図式です。

子ども時代に子どもらしいことをしていないと、大人になった時にそれを取り戻そうとしてしまうみたいですね。

お姉さん、反抗期もあまりなかったのではないでしょうか?
思春期に反抗することは、家族にとっては大変なのですが、精神的に大人になるための必要な儀式と言えるんですね。

甘えること、反抗することを抑圧されると、やはり大人になってからその思いが出て来てしまうものなのです。

さて、そんな状況において、何ができるのか?ということなのですが・・・一つは「信頼」だといつも思っています。

それだけ優しく、思いやりのあるお姉さん。
妹たちの面倒も見てくれたわけですから、決して頭が悪いわけでもないと思います。

だから、今の状況が決して良くないこと、周りに心配をかけているということ、きっとご存知だと思います。
つまり、分かっていながらも親に頼ったり、暴言吐いたりすることを決して「良いこと」とは思っていないと思うんですね。
つまりはとても罪悪感を抱えられてるのです。

だから、「姉は姉なりにちゃんと分かっている。でも、分かっていながらもできない状態にある」ということをまずはAさんは信頼してあげて頂きたいんですね。

そして、いつか必ず自分で気付いて行動していくこともまた信頼してあげてください。

その際、他の人、一般、ふつう、常識とお姉さんを比べることを手放すこともまた大切なことですよね。

30歳、女性、家にずっといる・・・これが幸せでない、とか、このままでは将来が危うい、とか思うのは(仕方のないことではありますが)、お姉さんを「型にはめてしまう」ことになります。

お姉さんにはお姉さんの人生があり、幸せがあります。
それはお姉さん自身に選択することができるものです。

お姉さん、とても感受性が強い方かもしれません。
もしかすると、とても頭のいい人かもしれません。
あるいは、とても個性的な性格の方かもしれません。

そういう方は下手に社会に出るとかえって潰れてしまうこともあります。
とても生き難い人生かもしれません。

しかし、そういう方は何らかの才能を必ず持っているものです。

その才能を信頼してあげることも大事なことだと思うんですね。

「お姉さんは今のままで完璧なんだ」と思って頂いていいと思います。
すぐには難しいかもしれませんけれど。

さて、そんなお姉さんに感謝できること、Aさんはたくさんお持ちですよね?
お姉さんが色々と面倒みてくれたり、相談に乗ってくれたり、甘えさせてくれたり。
そのお陰で今の自分がある、と思って見てはいかがでしょうか?

感謝の気持ちが湧いてくると思うんです。

もし、お姉さんがそこで長女として踏ん張ることなく、子供らしさを主張していたとしたら、今頃Aさんや妹さんはどうなっていたでしょう?

また、よくある話ですが、そういう頑張って大人になった子どもの一部は思春期に、いわゆる“非行”に走るんです。
そして、その時点で、幼少期に満たされなかった思いを満たそうとして、家族を傷つけたり、自分を傷つけたりするんです。

だから、お姉さんが子ども時代頑張ってくれたから、今、自分がこうしてちゃんと大人になれた、と思ってみると温かい目で見守ってあげられると思うんですね。

やはり、今のお姉さんで完璧なのです。

もちろん、ご両親はそのことで今、悩まれているかもしれません。
実際詳しくお話を聴いていないので断定はできませんが、そこでは親の強さを信頼してあげるのも必要なことだと思うんですね。

お父さん、お母さんのお姉さんを思う気持ち、です。

実は以前、息子さんが、同じような状況にある親御さんからご相談を受けたことがあります。
「自分たちがあの子の子ども時代、何もしてやれなくて、今、こうなってしまったと思うんですね。だから、いまさら遅いかもしれませんが、できることはしてやりたいと思っています。」

そうおっしゃっていました。
実はそのお母さんは少し怪我をされていました。
息子さんが投げたお皿で頭を少し切ってしまっていたんです。

でも、それもちゃんと受け入れて、親として責任を取りたい、とおっしゃるんですね。
そういう話を聴くたびに、親の強さを感じるんですね。

だから、Aさんには、ぜひ、そんなご両親の強さ、愛情の深さを信頼してあげてほしいな、と思うんです。

もちろん、ストレスも溜まるでしょうから、時にお母さんの話を聴いてあげたり、ご両親を喜ばせてあげるプレゼントをしてあげてもいいでしょう。

さて、私がこうしたご相談を頂く時、真っ先にお願いするのはAさん自身が幸せになることを選ぶことなのです。

今回はAさん自身のことはあまり書いてくださっていませんが、今の状況はいかがでしょうか?

仕事、人間関係、恋愛・結婚等、自分なりにしたいこと、できることされてますか?
お姉さんのことを過ぎると少し頭が痛くなるかもしれませんが、それでも、自分自身に喜びを与えてあげることはできると思うんですね。

まずはそこから、と思ってみて頂きたいんですね。

そして、「私がこんなに素晴らしい人生を送ることができたのは、ご両親はもちろん、お姉さん、あなたのお陰なんです!」とはちきれんばかりの笑顔で伝えられるように、自分らしい人生を歩んでいくことだと思うのです。

Aさん自身が幸せを感じている時、ご両親やお姉さんの状況に憂いを感じることはなくなります。

例えば、結婚式を迎え、多くの人の祝福を受けて幸せを感じている時、今までいろんな問題があった両親のことを許せること、ご存知だと思います。
今までケンカばかりしていたお母さんにも、そういう時は涙ながらに心からの「ありがとう」を伝えられるのです。

つまり、Aさんが幸せを感じられた分だけ、お姉さんやご両親を許し、祝福し、感謝することができるんですね。

そうすると、その思いがお姉さんの心に伝わり、お姉さん自身もまた自分らしい人生を進むことができるようになるのです。
「妹のお陰で」ね。

ですから、そうした家族への配慮をしながらも、まずはご自身の幸せに向かって行きましょう。
それが今できることだと思うのです。

詳しい状況を知らぬまま、勝手なことを書かせて頂きましたが、少しでも参考になりましたら幸いです。

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