人は見かけによらぬもの。



笑顔を欠かさない元気な人。でも、その内側には深い苦悩がありました。
でも、周りに迷惑をかけたくなかったり、気を遣ったりして一人で抱えます。
それでも誰かに話せるようになるとますます笑顔が輝きます。

「周りの人にはそんな悩みがあるなんて思われてないでしょう?」
「そんな頑張ってるのに、なかなか分かってもらえないですよね?」
「あなたがそんなに自信がないなんて、きっと誰も気付いてないと思いますよ。」

人は見かけによらぬもの、と言いますが、この仕事をしていると、ほんとその言葉の深みを思い知らされます。



人に迷惑をかけたくない人は、自分の問題は自分で解決すべきと思っているので、そのことを周りに悟られないようにします。
そのためにいつも笑顔で振舞い、明るく物事に接しています。
自分もしんどいのに、人から相談を持ちかけられたら嫌な顔一つせず、真剣にその相談に答えます。

そうやって周りの人を守ってあげているのです。

その時、周りの人は仕事も順調で、パートナーシップも良好だと勝手に思ってます。
そして、そんな役割をこなすあなたを周りはとても素敵な人として逆に崇めていることもありますね。

だから、自然と解消していく問題ならばいいけれど、どんどんままならない状況になって行き詰っていっても、「今さら、人に話せない」状態になってしまいます。
そこで死の誘惑に駆られることだってあるでしょう。

だから、「ここ(カウンセリング)に来るのも、すごく勇気が要ったでしょう?」と伝えます。
そんな方が誰かに頼る、わけですから清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だったからと思うのです。

でも、さらにもう少し逆の、穿った見方もできるのです。

「でも、良かったと思いますよ。それくらい追いつめられて。そうじゃないと壊せないもの、崩せないものがいっぱいあったんじゃないかと思いますから」

例えば、こういう風に見える人って人一倍人に気を使うのですが、それを悟らせません。
でも、気を使ってることには間違いありませんから、ストレスも相当溜まってしまいます。

また、周りからその笑顔や生き方を評して「憧れ」みたいに見られてるとしたら、その“期待”を裏切ることなんてできません。だから、辛くても笑顔を作らざるをえなくなり、それもまた、しんどい状況を招きます

いつも元気でいる、前向きでいる、明るく振舞う、それが本心からならばいいけれど、そうじゃないときはほんと辛いですよね。

だから、そんな「一人では抱えきれない問題」というのは、そういうストレスやしんどい状況から自分を解き放ってくれる“恩恵”と言えるんです。

だから「良かったと思います」と言えるんです。
病気になる前に、関係が崩壊する前に、逃げ出してしまう前に、自分で命を絶つ前に、気付いた良かったね、と。

「外では今まで通りでいいですよ。急には崩せないだろうし、習慣もありますから。でも、ちゃんと自分のしんどい部分、辛い部分と向き合う時間を作ってくださいね。」と思います。

そして、「誰かひとりでもそんな自分を見せられる相手っていませんか?」てお聞きします。
大抵は親友がその役を引き受けてくれることが多いのですが、誰も思い浮かばない、という方もよくいらっしゃいます。

周りに気を使って、いつも元気な自分で周りを守っているタイプの人は、友達はたくさんできても、本当にしんどい部分を見せられる親友レベルの人はなかなか作れないものなんです。

ほんとは寂しいんですよね。そういう生き方って。
だから、少しずつ、内側からそれを崩していくアプローチを推奨しています。

普段は笑っているけれど、カウンセリングでは泣けるように。
普段は元気だけれど、セミナーでは落ち込めるように。

そうして、少しずつ自分の外側にそうじゃない自分を出していくことにします。
すると、人間関係により深みを感じられるようになるでしょう。

そしてきっとこう言われるようになります。

「最近、ますます元気だよね?」
「ほんと笑顔が前より輝いてる。なんかいいことあった?」

もちろん、自分が前よりもずっと楽に、自然になれたからですね。

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