吐き出しているのは食べ物ではなく、そうでもしなければ出せない感情なのです。



摂食障害(過食嘔吐)についての質問を頂いたときのこと。
『お腹が空いているわけではないのにわざわざ食べ過ぎて、そして、トイレで嘔吐する。決していいことだとも思わないし、体も苦しいし、何とか辞めたいのだけれど』と。

「吐いているのは食べ物じゃないんですよ」

そんな風にお答えしました。
言えない気持ち、ずっと我慢してきた気持ち、怒り、悲しみ、自己嫌悪、罪悪感、不安、怖れ、絶望、やるせなさ、惨めさ、悔しさ・・・等々。
そういう感情を吐き出しているんですよ、と。


逆に言えば、それ以外の方法でそんな感情を吐き出すことができたとしたら嘔吐しなくても済むようになるでしょう。

心を開いて人に話す。
文章や絵、写真、音楽等で表現する。
ヒーリングを受ける。
自分を大切にする。
ゆっくり自分が休める場所を作る。

方法は無限にあります。自分に合う方法を探していきます。

摂食障害に限らず、例えば、ストレスが溜まってお酒に溺れるとき、ありますよね?
え?私だけ?(笑)
あるいは、ストレスから甘いものや食べ物を食べすぎるとき。

夜の繁華街では電柱のふもとで豪快にリバースをかましてる方、居酒屋のトイレで便器と仲良くしている方にもよく出会います。
気分が悪くて、しんどくて、なんでこんなに呑んだんだろう、と後悔して。
(その気持ち、よく分かります(笑))

でも、もしかしたらそうでもしなければ吐き出せない思いが胸の中に溜まっているのかもしれません。

試験、プレゼンや舞台の緊張から吐いてしまう方もいます。
有名な歌手の方が、コンサートの直前にトイレに駆け込んでしまう逸話を聞いたことがあります。
そこで吐き出しているのは怖れ、不安、緊張です。

ちなみに「過食」に関して言えば、愛に飢えている心理を表すとよく言われます。
「口」は愛情を受け取る器官。
だから、食べるという行為は愛情そのものを受け取る行為なのです。
食べ過ぎるのは、愛が足りない、寂しい、孤独、という心理を表します。

体に起こること(それが病気と言われるものであっても)、そのすべては正常な反応だと思います。
そうしてしまう、仕方のない理由があるんです。
そうせざるを得ない状況があるんです。

それを受け入れて行くこと、理解していくこと。
その症状だけを何とかしようとしても解決は難しいんです。

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