親であることに期待があって、親の前では子どものままでいてしまう。



ちょっと今日はシビアかもしれない話を一つ。

見た目、話し方、生き方、どれもきちんとした大人で、仕事も生活もちゃんとこなしている方と仕事や恋愛、結婚などの相談を伺っています。

話の流れで家族の話になったとき、彼女(彼)の口調が変わり、うまく行っていない、という話をしてくれます。
そして、そのお母さんとの関係がなぜか、それまでの大人な彼女(彼)とは違う一面をのぞかせるのです。


「お母さんに話を聴いてもらおうと思ってもすぐに自分の話ばかりする」
「電話してきたと思ったらずっとお父さんやおばちゃんの悪口ばかり」
「何かを相談しても結局は否定ばかりするから、もう何年も連絡取ってないんです」
「子供の頃、学校で嫌なことがあってお母さんに相談したら、逆にあんたが悪いって言われてすごく傷ついたこと、まだ忘れてないです。」
「相変わらず嫌味ばかり言うんですよね。オシャレしても『あら、いい歳して』とかむかつことしか言わないんですよ」
「普段優しくしてくれないのに、自分が調子悪いと優しさを求めてきて、ほんと都合がいいというか」

お父さんに対してもしかり。

もし、あなたの会社に自分の話ばかりするおばちゃんがいたらどう対処する?
 →その人はそういう人と割り切って付き合う、とか。
 
もし、あなたの友達で誰かの悪口ばかり言う人がいたらどうする?
 →その友達はそういうところもあるけど、いいところもあるから付き合ってる。

もし、友達に相談したら否定的なことばかり言われたら、連絡取らなくなる?
 →その人に相談しないようにするだけで連絡取らないまでは行かないかも。

「親だから」ということで特別な期待を抱いているところがあるのかもしれませんよね。

相談したらきちんと受け止めてほしいし、
私に関心を持ってほしいし、
味方になって欲しいし、
優しくしてほしいし、
褒めてほしい、認めてもしい・・・。

意識レベルでは自分ではとっくに諦めていたりします。
何十年も付き合ってきたら、お母さんにそれを求めても無駄だな、と分かるから。

ところが、諦めたつもりで、潜在意識にその期待がまだ残っていると、なぜか、お母さんに対しては他の大人とは違う対応を取ってしまうようになるんです。

親と言えども一人の「大人の人」です。
しかも、不完全で、完璧ではない人。

昔、私たちが親に「完璧な人」と期待した分だけ、裏切られたような恨み辛みの気持ちがまだまだ残っているのです。
そして、あなたのインナーチャイルドが、未だにそれを求めているので、親の前では未だに子どもみたいな態度を取ってしまうのです。

この期待、やがて、あなたのパートナーや子供に向かうことになります。
だから、パートナーシップや子育てのためには、親への期待を手放すことが大切ですね。

まずは、親の前にいるときの自分の感覚を呼び戻していきます。
嫌な感じ、否定される感じ、認めてもらえない感じ、バカにされてるような感じ。

そこで自分が親にまだ期待があって、親の前では子供になってしまうことを認めます。
ただ素直に認める(受け入れる)だけでいいです。
「そうなんだな」と思うだけでいいんです。
それを嫌だな、とか、大人なのに、とか自己否定しちゃいそうになってもぐっと我慢(笑)
そっか、そうなんだ、まだ期待があったんだ・・・と多少は惨めになりながらも認めてあげましょう。

そして、親を一人のおっちゃん、おばちゃんとして意識していきます。
職場にいる、ふつうのおっちゃん、おばちゃん。
隣近所に住んでる、おっちゃん、おばちゃん。
かなり年上の友達。

そういう風に意識して、大人の付き合いを心掛けていくと関係性も徐々に変わっていきます。
大人の女性との関係性を築いていけます。

何年かぶりに電話して、相変わらず文句ばかり言うお母さんの話をふんふん平気で聞けた方もいました。
自分を否定してくるお母さんの言葉にムキにならずに、一歩引いて受け止められた方がいます。

すると不思議とお母さんの態度が変わり始めたそうです。

親子というのはいつまでたっても親子でいるところがあります。
もちろん、それで問題ない場合はいいのですが、そうでない場合は期待を手放し、大人同士の関係を築くことが子ども側の次のステップだと思うのです。

自分から親離れをして、親と大人同士の関係を築くんです。
相手は関係ありませんよね。
自分がそういう気持ちでいられたら、相手もやがて態度を変えざるを得なくなりますから。

一緒に買い物に行ったり、楽しくおしゃべりできたり、何かと言う時は力になったり。
大人になってからの親子関係は、時に親友みたいな感じになり、時には大きな味方になっていくことが可能です。

改めて、親との関係を見つめ直すことで、あなたのさらなる成長が見えて来るかもしれませんね。

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