きつねうどんと鍋焼きうどんに見る人生。(欲しいものを欲しいと言えますか?)



あなたは職場の同僚と4人でランチに出かけます。
その4人は同じ部署のメンバーですが、それぞれが別の業務に携わっている先輩、後輩です。

「いつものうどんでええか?」と先輩が切り出します。

「はーい。いいですよ」とみんな同意。そこで、会社近くの馴染みのうどん屋さんに出かけました。

通用口を出て店までものの1,2分で着きますが、その間に朝から忙しくしていた先輩が、「俺、今日、めっちゃヤバいわ。部長から言われた文書がまだできてへんから、はよ戻らなあかん。さっさと済ませて戻るわ」と言い出しました。


すると後輩の一人が「ほんま、朝から大変そうでしたもんね。僕も仕事溜まってるんで、はよ戻りますわ」と合わせます。

そのやり取りを聞いていてあなたは内心ヒヤッとして、イラッとします。
「先輩、まじっすか?後輩、なんでお前、そこで合わせるねん」

なぜならば、あなたの口は「鍋焼きうどん」を求めていたからです。
鍋焼きは旨いけれど、時間がかかります。

もう一人は、と顔を見ると何も考えていなさそうです。
「こいつ、いつも『じゃあ、僕も同じので』って言う奴やわ」

そして、あっという間に店に着きます。
一足早く出てきたので、すんなりテーブル席を確保できました。

おばちゃんが「毎度、今日は何にすんの?」と声をかけてきます。
先輩が「今日、俺、すぐに戻らなあかんねん。きつねでええわ」と切り出しました。
すると後輩が「僕もきつねで」、そして、もう一人の同僚が「僕も同じので」。

さあ、あなたの番です。

そこで「鍋焼きうどん」をオーダーする勇気、ありますか?

「まあ、鍋焼きは今度でええか。」と思って、「僕もきつねで」と言っちゃいますか?

それとも「僕は鍋焼きで!」と言いますか?

あなたが何のてらいもなく「鍋焼きうどん」をオーダーしたら、きっと「空気読めへん奴」との称号を獲得する可能性が高いですね。

4人で店に来たということは、暗黙の了解で4人一緒に店を出る、ということですから、あなたが鍋焼きうどんをオーダーすると、他の3人はきつねうどんを食べ終わった後も、あなたを待つことになります。
場合によっては、皆がきつねうどんを食べ終わったころに「お待たせ~」っておばちゃんが熱々の鍋を運んでくるかもしれません。

だから、先輩から「なんでお前、鍋焼きやねん。俺、早く戻るって言うたやろ」とクレームが付く可能性もあります。

少なくても場の雰囲気は乱れそうです。

そんなことを考えて「じゃあ、僕もきつねで」と言った場合、あなたはどんな気分でランチタイムを過ごすことになるのでしょう?

「熱々の出汁を啜りたかったなあ。あの半熟の卵をじゅるって吸い込む瞬間を待ち望んでたのになあ」

と思いながら、甘く味付られた揚げさんを啜ることになります。

「まあ、これもうまいからいいか」
「きつねだって、まずくないからな」
「お腹に入れば一緒やし」
「鍋焼き食いたかったら晩飯にしたらええ」
「俺も仕事あるし、戻って早めにやって、今日は早く帰ろ」

頭の中でそんな風に自分に言い聞かせます。

それって全然、楽しくないですよね?

息抜きでもあるランチタイムが全然いい気分で過ごせませんよね!

もちろん、これは単なるランチタイムの話ではありません。

あなたの人生に関するお話。

そして、リーダーシップに関するお話です。

そこで、こういうコミュニケーションはいかがでしょうか。

「先輩。ほんますんません!どうしても、僕、口が鍋焼きなんですわ~。朝から半熟卵じゅるって思いながら仕事してたんです!だから、今日は付き合い悪いですけど、一人残りますんで、皆さんで先、戻っといてもらえません?」

で、先輩が、「そらしゃあないな(笑)別にみんな同じもん食わんでもええやん。俺ら先戻るし」と笑いながら言ってくれたら大成功。

あなたも欲しいものが手に入りますし、その場の雰囲気も乱れず、和気あいあいとしたものになります。

「俺もそういうときあるしなあ。分かるわあ。そんなん聞いたら、俺も鍋焼き食いたなったわー。今日はあかんけど、明日は鍋焼きにすっかなー」なんて盛り上がるかもしれません。

しかも、後輩が「あ、すいません。実は俺は口が味噌煮込みやったんですわ。変えてもいいですか?」なんて言い出すかもしれません。

これがリーダーシップですねー。

人生は、待っていても「お前は好きなもん食いや」とか、「お前はどうしたいねん」などと聞いてくれることは滅多にありません。

欲しいもの、したいことについて、自ら道を切り拓く勇気が必要です。

そして、時には誰かに迷惑をかけることもあるでしょう。

むしろ、自分らしい人生を生きることは誰かに迷惑をかけることだと思ってもいいくらい。
(でも、あなたが迷惑だと思っていても、相手にはそうじゃないことも多いんですよ!ここは重要!)

この「俺もきつねうどんにする」という発想は、和を尊ぶ日本のいいところでもあります。
闇雲に「鍋焼きがいい」と主張するのは、個性でもあるけれど、不器用だな、と感じられます。

その場にいる人みんなが笑顔になれる道もあります。
この話の主人公が、つとめて明るく、大げさに言ったように。
それが“配慮”ですね。

その気持ちが伝われば、周りは「支持」「応援」の反応を示してくれます。

ここまでできたら素晴らしい!

他の人がきつねうどんだからって、自分もそれに合わせたら人生はどんどんつまらなくなるんじゃないでしょうか。

「僕、口がめっちゃ鍋焼きなんですよ~」と笑顔で言える自分でいたいですね

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