「聞き上手になる方法」



*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

“話を聴く”というのはコミュニケーションの一番の要でありながら、一番難しいものことでもあります。
カウンセリングでもワークショップでも「話すよりも、聞くほうがはるかに大事なんです!」とか「だから、“聞く”というよりも“聴く”んですよ」というお話をよくよくさせていただきます。
対人関係の問題でも、夫婦の問題でも、相手の声に、できれば心の声に、耳を傾けることができれば、関係性はぐっと前に進みます。


でも、逆に言えば、それくらい「聴く」ということは難しいのです。

私達には「エゴ」というものあります。「自我」というものです。
どうしても対人関係では「私が、私が」という思いが出てきます。
自分に自信がなかったり、無価値感が強かったり、自分を責めていたり、そんなときに、よく出てきます。

自分の話ばかりをするのが「自我」ではありません。
相手の話を聞きながら、
「私のことをどう思っているのか?」
「私なんて居ないほうがいいんじゃないか?」
「迷惑じゃないだろうか?」
「どうせ私のことなど嫌いなんじゃないか?」
「今言ったことは私にとってどんな影響があるんだろうか?」
「さっき私が言ったことは相手に不快だったんじゃないだろうか?」
「もしかしたら、今相手が言ったことは私にとって不利益になるんじゃないか?」
などと「自分のこと」を考えてしまうのも「自我」の表れと言えます。

故に、難しいんです。

相手の言葉に意識を傾けて、その言葉を相手の感覚で聴くこと。
言葉は人によって使い方、意味、定義が違いますよね。
例えば、口の悪い人は、相手を褒めるときも、悪口を言ってるように聞こえます。
それを真に受けずに真意を解釈する、そんな心の余裕が必要なんです。

だから、相手がどう感じてるのか?どう思っているのか?相手はどんな人なのか?相手はどう考える人なのか?
そういった部分を知ることがまずは大切なこと。

でもそれは、相手のことを本当に理解しようとすれば、いや、相手のことを大切にしようとすれば、(完璧にではないにせよ)できることなんです。

だから、相手に興味を持ってあげること、それが大切なんです。

私達も、大好きな人のことであれば、その価値観、考え方、感じ方、全部を知りたいと思うし、それを理解したい、取り込みたいと考えますよね。

だから、決して不可能なことではありません。

でも、そう考えると、「話を聴く」ということと「相手を愛する」ということは、同義なのかもしれません。

聞き上手になる方法。
それは相手を愛すること。

もちろん、それは今のあなたにとってのベストで構いません。
私達カウンセラーだって、まだまだ修行中ですね。

心の処方箋


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