[7/14]心のパターンを癒し、鎖が解かれて自由になる。



カウンセリングの実際「浮気と離婚の危機とセックスレスの向こう側にあったギフト」

[7/14]心のパターンを癒し、鎖が解かれて自由になる。

こうして、友美恵さんの気持ちが落ち着きを取り戻り、また、ご主人との関係にも一定の成果と光明が見え始めたので、より深いレベルに着目していくことにしたんです。

それは彼女がご主人との関係でも、仕事でも、過去の親子関係の中にも出て来ているパターンと向き合い、癒していくプロセスです。
いわば、新しい扉を開けるようなものです。



友美恵さんには、とかく受身のパターン、常に待ってしまう癖があったんですね。
ご主人に対してもそうですし、仕事でも、過去の恋愛でも、学生時代にもそういう過去があったわけです。

で、何かなあ?と思って心の中を掘り下げていくと、理由は分からないけれど、すごく大きな怖れ、自己嫌悪があることが分かってきました。
それが自信を喪失させ、自分を否定するパターンを作っているようなんですね。

あるときセラピーの中で、友美恵さんが突然、ガタガタと震えだしたことがありました。
そのセラピーでは、ちょうど彼女のインナーチャイルド(内なる子どもの部分)の感情を扱っているところだったかと思います。
小学生や幼稚園くらいの、小さな女の子をイメージして、その子と繋がりを作っていくときだったんですね。

膝はがくがく、唇も蒼白になってくるような、目で見てもはっきり分かる強い“怖れ”の感情です。
もちろん、友美恵さん自身にも何でこうなるのか分かりませんから、そのこともまた、この恐怖心に拍車をかけているようで、半ば、パニックに陥りそうな状態です。

「大丈夫ですよ、そのままで居れば大丈夫ですよ」
と幾度と無く声をかけながら、その感情と向き合っていきます。
どんな感情でも逃げずに向き合い、感じ続けていけば、やがては自然と抜け出せます。
腹を括って向き合えば、その分、早く解放されるんです。
だから、こうして辛い感情が出てきたときは、こちらもぐっと腹を据えて向き合い、抜け出せるようにサポートしていきます。

そうしてしばらくすると、ふわっと表情が柔らかくなり、その怖れが解放された(抜けた)ことが分かります。
その後は、一気に緊張が緩んでふわふわした雰囲気が彼女の周りに漂い始めます。

で、落ち着いた頃に、何があったのか?何が起きたのか?彼女の意見を聞いてみることにしたんです。

でも、友美恵さんも自分に何があったのか分からず、また、小さい頃にそんな怖ろしい思いをした記憶もなく、一体全体それがなんなのか、さっぱり分からなかったんです。

確かに、そういう強い感情を感じた後は、まだまだ神経が高ぶっていることがありますから、具体的にはよくは分からない事がよくあります。
その同様から快復し、笑顔になった頃、「また何か気付いたら教えてくださいね」と伝えてその日はカウンセリングを終了したんですね。

でも、その後も彼女も一生懸命あの感情がなんなのか、あの、震えるくらいの寒い怖れは何なのか?、まったく思いつかなかったんですね。

私達はそんな30年も昔の、しかも、子どもの頃の記憶って、必ずしも覚えていないものですし、覚えていたとしても正確さを欠くことだって少なくありません。
子どもって大人から想像できないくらいの力で、辛い記憶を封じ込めることもあります。
特に幼少の頃は、大人になった今ではなんとも思わないことでも、幼心には強い怖れとしてインプットされる出来事は少なくないんですね。

お母さんに怒られることだって恐怖になりますし、夜中に一人で目が覚めてしまったときの不安や恐れもまた非常に強く心に刻まれる事もあります。

それをお母さんとか誰かにすぐに話せる子はいいんですが、事情があってなかなか話ができずに心の中に溜め込むと、そこで熟成されてどんどん膨らんでしまうこともあるんですね。
そうして、ただ強い恐怖心が封印されたまま心の中に存在するようになるのです。

友美恵さんの感じていた怖れは、その強さを見るに子ども時代よりももっと古い感覚のような気もしますが、あえて、深追いはしませんでした。

その感情がどこから来たのか分かると、友美恵さんも安心して、納得感も高まると思いますけれど、分からないものは分からないでおくのも大切なのでしょう。

私たちが大事にしたいのは、原因はなんであろうと、そこに出てきた恐れの感情を解放する、癒すこと。

だから、その後、怖れが抜けて気分が良くなったり、心が軽くなり、楽になったり、毎日の生活が楽しくなれば、それはそれで良しとするんですね。
いずれ、その理由に気付く必要があるのならば、きっと分かる日がくるだろうと思うんです。

ただ、その後しばらくは、セラピーのたびに、その怖れが色んな形で出てきて、本当に根が深いものだな、と感じられたものです。
もちろん、その感情自体はとても苦しいものなのですが、変な話、何度も出てくると人間、慣れるもので、何度か後には友美恵さん自身が「またですねえ・・・いったい何なんでしょうね?」と受け止められるくらいになっていました。

そうして、セラピーを通じて、怖れの感情やその他様々な感情(罪悪感、セクシャリティなど)を解放していくに連れて、彼女の心を縛っていた鎖が徐々に解け始めました。

心がさらに自由になり始めたんですね。
発想の幅が広がったり、始めの頃に溜め込んでいた重たいものがすっかり軽減されて、麻痺してた感情も徐々にオープンになっていきます。

表情も明るく、女性的な雰囲気はどんどん強くなってきます。
ほんと、パッと見には「とても愛されてる幸せそうな山の手の奥様」の雰囲気を漂わせていたのです。

ですから、少しカウンセリングの方向性も広げて、友美恵さん自身の価値や魅力を再発見するプロセスも進めていきました。
自分を愛するための様々なアプローチを提案しつつ、女性としての魅力にも磨きをかけていくんですね。

そうすると、自信が付いて、余裕が出来てきたせいか、また、楽しい仕事のおかげで、ますます表情も明るく、女性的になっていきます。

ただ、それで万事丸く収まればいいんですが、ご主人とは膠着状態が続いています。
だから、その頃はカウンセリングの中でも、少しずつご主人に近付き、受け入れ、あるいは、許し、というセラピーも取り入れていたと思います。

カウンセリングの実際

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