7/22 東京・心理学WSのフォローアップ(2)



その1に続いて【ご質問・疑問】への回答です。


* * *

Q.パートナーとの関係がほぼ壊れているような時(相手は私のことが嫌)、どのようにしてお互いの心を癒し、もう一度新しい関係を作っていけるのか?パートナーの閉じてしまった心の扉を開けるためにはどうすればいいのでしょうか?

A.カウンセリングでもとてもよく頂くテーマですね。
そして、そのパートナーが夫(妻)なのか、恋人なのかでも、そのアプローチは変わりますが、まずは一般的な見方をご紹介したいと思います。

まず癒してあげるのは自分自身の心かもしれません。
好きな相手に拒否されているわけですからハートブレイクも相当なものでしょう?
そういう時に相手のことを考えたり、関係性を何とかしようと思うのは、重症を負って走るランナーのようで、痛々しく見えることはあっても、なかなかゴールに達する事は難しいはずです。
だから、まずは自分のその心の痛みを癒すことが大事ではないでしょうか。
その痛みが強ければ強いほど依存心が出てきて相手に何とかして欲しくなるものですけどね。

その癒しというのは、相手に対する執着や焦りが無くなった状態を言います。
焦って追いかけなくても余裕を感じられたり、なるようになる!と気長に見つめられるようになることが目標ですね。

ですから、こういう状態ではまずは「自分を見つめる」ということが大切です。
もちろん、その際、ちょっと痛みを越えて、どうして関係性が壊れてしまったのかを見つめてみることも大事です。
その時、自分一人が悪かったとか、相手に全ての原因がある、とか考えないで下さいね。
お互いに責任は半々あります。
その自分の担当分をまずは処理してあげることが大事なのです。

例えば、優しさが足りなかったな・・・と感じたら、まずは自分自身や身近な友人、家族に対してできるだけ優しく接してみることです。
パートナーというのは自分にとても近い存在ですから、あなたのご両親や兄弟姉妹などの家族に対する態度を改めてみると、パートナーとの関係性も改善されていきます。
(事実、パートナーとの関係を見つめて行ったら断絶状態だった家族ととても仲良しになれた例などもたくさんあります)

そうして自分自身を見つめながら関係性の改善に着手していきます。
その際はできれば共通の知人など第三者に関与してもらえるととても助けられます。

そして、どれくらい時間をかけたとしても、そのパートナーから「お前変わった?」と言われるようになることが関係修復への一番の鍵です。
信じられないかもしれませんが、そうしたチャンスは意外に訪れますから、自分自身をより魅力的に磨いていくことを目標にされてみてはいかがでしょうか。

Q.実習の最初にその人から学んでいることを考えたときと、後でさらに深く掘り下げた時に考えたときで、出てきた答えが違っていたのはなぜでしょうか?

A.私達の心は一層でできているわけではなく、地層のように何層にも重なり合っています。
最初に見た土の色と、10メートル掘り進んだときの土の色が違っても何の不思議もないでしょう?
心も同じで、始めは「うーん。嫌な奴だなあ」と思っていても、掘り下げてみれば意外に愛着を感じていたりすることもあるんですね。
特にそれは身近な存在に対しては顕著で、心を掘り下げれば掘り下げるほど色んな感情や思いが変わっていくものです。

逆に言えば、今あなたが誰かに対して感じている感情が必ずしも自分の思いのすべてとは限らないということです。
嫌な感情を感じても、目を逸らさずに見つめていくことで、より幅広い人間関係を築けるようになると思います。

普段接する人に対しても今回学ばれたように掘り下げて見つめられてみると、いい気付きがたくさん得られるかもしれませんね。

Q.友人に「わがままだよね」と言った場合、相手のことを「わがままだ」と思い込んでいるだけなのか、自分の中にもわがままな要素があるのか、どっちですか?

A.両方です!(笑)
人は誰でもわがままな要素を持っています。
だから、人のわがままさも分かるんですよね。
たとえ表面化していなくても、自分の中に無かったら分からないですものね。

ただ、その程度は個人差がありますから、「あ、自分はわがままなんだ」とか落ち込まないで下さいね。

因みにわがままな部分も大事なんですね。
良い面に出ると「自分を持っていて、きちんと主張できる」となりますから。
相手や周りに配慮できる状態(余裕)であれば、それはわがままになりません。
自分の欲求だけで突っ走るとわがままなんですよね。
だから、とても微妙なところです。

そういう意味でも「自分はわがままだなあ」と感じたら、そんな要素を否定するのではなく、逆に良い方向に生かすようにしてみると、素晴らしいのではないでしょうか。

Q.自己嫌悪も自分の価値の部分も当たり前になってしまって自分ではなかなか気付けないのですが、他人や自分の言動、あるいは自分が感じている世界のどんな部分に注目していけば気付きやすくなるのでしょうか?また、気付いてしまったばかりに余りにショックで受け止められない場合はどうやって腑に落としていけばいいでしょうか?

A.気付きにくいから、注意深く見つめてみよう・・・という心がけ一つで発見は何十倍にも増えると思います。
おっしゃるように自分にとっては当たり前のところに価値や魅力は眠っているものなので、なかなか客観性を持つのは難しいんですね。
だから、難しいから注意深く、という意識を持つことが効果的なのです。

投影というのはモノや人、あらゆるところに対して起こりますから、学ぶ意識さえあれば、通勤電車の中でも活用できます。
ずっと頑張ると疲れてしまいますが、ふとした時に、ちょっと前向きな気分のときに、自分の目に写るもの、そこから感じるものを感じてみましょう。
特に「素敵だな」「素晴らしいな」と感じるものは自分の心の中の光を暗示していると思ってみて下さいね。

それと二つ目の問題。
それくらいショックな発見があるということは、本当に素晴らしい事です!
大発見!というべきものなのですが、現実的にはそれほど多くは起こらないと思います。
心には自然と防衛作用が働きますので、自分で立ち直れないくらいのショックを受けるような気付きは滅多にやってきません。
でも、もし、そういう場面に出くわしたときは一人で抱え込まずに誰か信頼できる人に話してみましょう。
この手の気付きはそれだけですーっと氷解していくことも多いですよ。

Q.自分は東大出身で、自分の周りには同じように高学歴な人がたくさん居ます。その中で客観的な自分の位置を見るのはなかなか難しいものがありますが、自分の枠を外れて客観的に眺めるコツは何かあるのでしょうか?

A.今自分が見ている世界が、現実には世界の全てと言っていいかもしれません。
周りに高学歴の人たちがいれば、それはそれで一つの世界ですよね。
時にはそれが知りうる世界の限界ということもあるんです。
つまり、ある意味私達全員が多少なりとも井の中の蛙なんです。
それを踏まえることがまずは大事ではないでしょうか。
その中で、今いる井戸の中で自分の位置を知りましょう。
そして、徐々に世界を広げていくとよいかもしれません。
その時、自分が今いる井戸が標準となり比較対象となるでしょう。

少し難しいお話になってしまいましたが、そうした上でフィールドワークに出てみてはいかがでしょうか。
色んな人と接し、お話しをしてみる、知り合ってみるんですね。
そうすると、ここが違うなあ~、あそこは同じだな~と気付けたりします。

例えば、うちのワークショップの場合、内外の有名大学を出ている方から、中学すらまともに出てない人まで様々な層で構成されてると思います。
(僕の師匠の一人は中卒でした)
だから、そういうところで色んな人と話してみると世界観が一気に広がるんです。

自分の枠を外れて客観的に眺めるためにも、まずは足元から、そして、世界を広げていく発想で向き合うと成し遂げられやすいのではないでしょうか?

Q.「今の人間関係が教えてくれること」で選んだ“先生”が自分にとって学ぶところのない場合は?

A.本当に学ぶところがなければ、先生を「チェンジ」してもOKですよ。
でも、学ぶところのない人を先生に選んでしまうのは何故なんだろう?って思ってしまうんですよね・・・。
自分でも意識しないところで選択したとしたら、きっと何かあるはずですので、しばらく「何だろうなあ~」って思ってみるといいかもしれません。

でも、本当に学ぶところがない人っていないわけで、最悪の場合「先生をちゃんと選びましょうということを学んだ」ということだってOKです(ちょっと複雑ですが)。

Q.相手に「こんなことを言うなんてちょっと年の割りに幼いな」と思うときは、自分の幼さを抑えているのでしょうか?「幼い」と感じる人が最近多いのです。

A.おっしゃるように幼さを抑えているのかもしれませんね。
「幼さ」というのは無邪気さや可愛らしさや抵抗し難い魅力のシンボルです。
だから、今はそうしたポイントに着目してみるといいかもしれません。

ただ、急に変化したとか、成長したとか、そういうことはないですか?
急に大人になったら、きっと周りの人に幼さを感じることも多いでしょう。
思い当たるところがあるとすれば、「私は知らないうちに二階級特進くらいの出世をしてしまったんだ」と思ってもいいと思います。
とすれば、次はその人たちをどう受け入れてあげるか?(存在を)許してあげるか?そして、成長させてあげるか?という点が目標になるでしょう。

少なくても「幼い」と感じる人に対して、あなたは「大人」として接するでしょうから、“影響力”にも目を向けてみることも大事です。
自分では些細な一言と思っていても、相手にとってはとても重要な意味を持つことも出てくると思いますから。

Q.“自分が変われば相手も変わる”と言いますよね?今私は自分なりに精一杯問題と向き合い、変わろうと努力しています。
でも、頑張れば頑張るほど相手に対して怒りの感情が出てきます(私がこんなに頑張ってるのにアンタは・・・など)。
結局のところ、相手に変わって欲しいという欲求なんだと思いますが、自分の気持ちを話せば話すほど虚しくなり、一生懸命向き合った事すら後悔する事があり、すっごく嫌な気持ちになります。
こんな状態をどう解釈したらいいのでしょうか?

A.自分を変えようととても頑張ってらっしゃるのはとてもよく分かります。
でも、頑張って一生懸命やると、必ず疲れてきます。
疲れてきたときにふと気が緩んで、「なんでアタシがこんなに頑張ってるのに、あんたは何しとんじゃー!!」と怒りが出やすいんです。
逆に言うと、それくらい普段頑張って、気を張ってるということです。

だから、ちょっとお休みも必要です。
特に自分を変えるプロセスは一人では難しいし、なかなか変化を受け取ることができないし、また思うように結果がでないし、とネガティブに捉えて諦めたくなる瞬間も出てきます。
だから、意識的にちょっと一息入れましょう。
それは「頑張ってる自分を褒める!」ということ。
これができずに「頑張ってんのになかなか変わらへんわ。もうあかんわ」とネガに傾くと、「何しとんじゃー、ワレ」という怒りモードになります。

つまり、今の自分の成長や価値、頑張り、努力、一生懸命さを承認してあげないと、すぐに自己攻撃あるいは相手を攻撃することになってしまうんです。

でも、その努力を認めて欲しいんですよね。分かって欲しいんですよね、ほんとうは。
だから、その頑張ってんねん!という気持ちをまずはコミュニケーションし合えるといいかな、と思います。
そうすると、自分だけでなく、相手も頑張ってるところに気付けます。

実は自分一人が頑張ってるように感じるのは、ぜんぜん余裕がなく、本当は二人とも頑張ってるのに相手のことが見えない時なのです。

だから、相手の頑張りや変化を認めて挙げられるようになると、無駄な攻撃は減っていきます。(減るだけでなくなるわけじゃありません(^^;)

ということで、まずはもっと自分を褒めてあげましょう。
何かご褒美を買ってあげてもいいかもね(もうやってるかもしれませんが)。

【ご意見・ご感想】

◎面白かったです。二時間があっという間でした。日々の生活に役立てて行きたいと思います。HPの心理学講座を読むよりも実際に話を聞いたほうがより深く理解できたと思います。
◎良かった。恥ずかしかったけれど、正直になれた。
◎自己概念を知る手がかりがこんなにも身近にあるのかと思って驚きました。
◎初めて参加しましたが楽しいですね。またお会いしたいです。
◎面白かったです。また受けたいです。
◎自分が思ってなかったことも、周りから見るとそれほどでもないということが分かった。
◎自分の価値がよく分かった。
◎説明が分かりやすかったです。
◎時間が足りないくらいでした。
◎一人の人とのつながりを掘り下げて考えた事で意外な答えに辿り着きました。
◎とても良かったです。いい気分にさせてもらいました。
◎聞きたかった話が聞けてよかったです。
◎自分が人に与えている印象を聞かせてもらって、ただただびっくりしました。有難く受け取ろうと思いました。
◎受け取る良い実習になった。
◎楽しい講座でした。内容が濃く、いい意味でとても疲れました。
◎グループに別れた時女性だけのグループだった。男性の視点からの意見も聞きたかったので少し残念でした。ただ、とても楽しかったです。
◎いろんな人の意見を聞くことができたし、同じようなことを考えている人がたくさんいることが分かって良かったです。
◎今回初めて講座に参加し、自分自身を再度見直すヒントをもらえて本当に良かったと思います。
◎なるほど・・・と思うところがたくさんありました。夜の部だけだったのですが、結構心の中にズシンとくるものを感じて密度の濃い時間でした。
◎日常に生かして行きたいと思います。
◎人が自分をどう思っているのか(第一印象)を聞くことができてよかった。
◎楽しかったです。もっとグループの時間が欲しかったかも。
◎とても充実してました。参加してよかったです。

以上です。ありがとうございました!

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