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仕事そのものだったり、あるいはパートナーや後輩、同僚だったり、そんな抱え込み症候群をたどっていくと、けっこうな確率で「母」に出会います。
子どもの頃に母を助けようとして、母を笑顔にしたくて頑張ったことが、いつも誰かの何かを背負っている人生になってしまうのです。
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カウンセリングをしていると「行きつくところ、お母さんを背負って生きてきたんですよね」という話に至ることがあるものです。
もちろん、そもそものご相談は母のことではありません。
自立系武闘派女子らしくバリバリ仕事をやって成果もあげてる、、、けど、なんかしんどいんですよね。モチベーションが上がらないんですよね、と。
詳しく“事情聴取”をしてみますと、良く言えば「面倒見のいい姉御肌」なのですが、後輩のことをあれこれサポートし、先輩や上司の仕事も一部任され、だいぶ抱え込んでいらっしゃる様子。
そして、「いつから抱え込み症候群になったの?」とルーツをたどれば、学生時代もそう、家族に対してもそう、で、行きつくところは心配性の母でした。
また、とても感じのいい人で笑顔を絶やさない、誰からも好かれる方が、実は生きづらさを感じてる、という相談にいらっしゃったこともあります。
いつも人の顔色を伺っているし、人の期待に応えてきた優等生だし、ほんとはしんどいのだけど嫌と言えず、他人軸で生きてきた、と。
子どもの頃から周りの人から期待されて生きて来られたんですよね。
もちろん、もっとも彼女に期待をかけたのは母だったのです。
つまり彼女は母の期待をずっと背負って生きてきたわけです。
家庭の主婦として、家事育児に仕事まで頑張っていて「不満が爆発しそう!!」という奥様もまた、家のことだけじゃなく、仕事だって大いに背負っていました。
彼女の母は過干渉で、かつ、長女である彼女にいろいろと頼ってきました。
だから、彼女は未だに時々かかってくる実家の母の愚痴を聞いてあげていました。
精神的に弱い母の元で育ったある武闘派女子は、仕事も恋も何でも上手にこなし、傍からは何も問題がなさそうなのですが、無意識にパートナーよりも母を優先してしまっていたのでなかなか結婚に踏み切れませんでした。
全然婚活がうまくいかなーい!と嘆いてるOLのクライアントさんは、母との距離が近すぎて「母が幸せになったら自分も幸せになっていい」という観念を持っていました。
もちろん、本人はそんな自覚はなかったのですが、でも、そもそも母を背負って生きてることもまた自覚はありませんでした。
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実家に住んでいて、母のことを心配しながら生活している、という方や、実家のほど近くに住んで、時々母の世話をしている、という方はまだ「母を背負ってるんじゃない?」と指摘されたときに「まあ、確かにねー」と実感が得やすいと思います。
けれど、学生時代に実家を離れ、そこからウン十年が過ぎてるとするならば、「お母さんを背負って生きてるんじゃない?」と言われたら「は?そんなわけないじゃん!」と言いたくなるかもしれません。
けれど、頻繁に母とLINEしたり、電話で話したりして愚痴を聞いてあげたり、日常生活の相談に乗ったりしているならば、また、時々実家に帰って家のことを手伝ったり、母の話を聞いて心配したりしてあげるならば、もしかしたら、今も母を背負っているのかもしれないのです。
母とは生まれる前からの付き合いで、最も近い存在です。
そして、たぶん、すごく大好きだった時期があって、母を喜ばせたい!と思った時期もあって、それが、母を助けたい!母を笑顔にしたい!という思いに変わった時期もあると思うのです。
もちろん、とても近い存在ですから歯車が少しずれるだけで大喧嘩して、大嫌いになった時期もあるでしょう。
けれど、結局「母だから」という理由で母を許し、心配したり、面倒みたり、話を聞いたり、励ましたり、あちこち連れて行ってあげたり、プレゼントをしたり、誕生日にお祝いをしてあげたしているならば、その母を背負って生きてる可能性は高いのかもしれません。
また、母を性格が合わなくて、早い段階から距離を置いた方もいらっしゃるかもしれません。けど、何かと母のことを気にしてたり、なんだかんだ母を捨てきれなったりしたならば、こっそり母を背負ってる可能性は否定できないものです。
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「母を背負うのは悪いことなのか?」という疑問もそこに出てくると思います。
なんか悪いことのように書いてるじゃないですか。笑
「しんどくないですか?」という質問に「ええ、全然!」と答えられるならば、悪いことじゃないと思います。
けど、「うーん、正直言えばしんどいっす。けど、どうしたら?」と答えられるならば、ちょっとお母さんのことが負担になり、また、犠牲的な行動をしてしまっているのでしょう。
だとしたら、少し荷を下ろしたらどうでしょうか?と思うのです。
冒頭にいくつかケースを紹介しましたが、「母を背負っている人は母だけを背負っているわけじゃない」のです。
それがパターンとなり、身近な人、大切な人を背負い込み、いろいろな荷物を抱え込むことにつながり、そして、それがしんどくなるんだけどそこで踏ん張って頑張って、やがて、疲れてしまうんです。
中には頑張りすぎて強制終了になっちゃう方もいますし、燃え尽き症候群になって何も気力が湧かなくなっちゃう方もいます。
母を背負って生きる、というのは、大げさに言えば2人分の人生を生きる、みたいなものです。
ひとりでも大変なのに、ふたり分の人生って超ハードですよね。
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子どもの頃に何とか母の期待に応えたいと思ったり、何とか母を助けたいと思ったりした自分がいました。
けれど子どもにできることって一生懸命頑張る!しかないのかもしれません。
一生懸命母の望みをかなえてあげようとしたり、母の愚痴や文句を聞いてあげたり、そんな母を励ましたり、道化になって笑顔にしようとしたり、いい子になってお手伝いをして母を助けたり、時には父と戦って母を守ったり、学校でいい成績を取って母を安心させたり、そうして「母のために頑張る」しかなかったのかもしれません。
その頑張りは報われたでしょうか?
そうして、母を助けることができたでしょうか?
うまく行くこともあれば、全然ダメなこともあったかもしれません。
それはあなたの今の自己肯定感にけっこう影響を与えているかと思います。
うまく行けば「相手のために頑張る」が成功法則になります。
でも、うまく行かなかったとき、たいてい私たちはこう考えるはずです。
「自分の頑張りが足りなかったんだ」と。
だから、次の機会ではもっと頑張ろうとしちゃうんですよね。
そして、「相手のために頑張る」が癖になっていくのです。
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それくらい「愛情深い」のは間違いないです。
困ってる人を放っておけなかったり、自分がうまくいって他の人がうまくいかなければ喜べないし、何か自分がしてあげられることをいつも考えていたり、自分さえ我慢すればいいと考えていたり、与えるのが好きだったり、平和を割と本気で願っていたり、ね。
とても愛が強いのです。
だからこそ、「お!重そうな荷物だな。俺が持ってやるぜ!」とひょいとその荷物を背負って相手を助けてあげるんですが、でも、いつ、どこで下ろしていいのかが分からないんですよね。
それでいつもオーバーワークになってしまうんです。
そこで「ちょっとしんどいからここで下ろさせてもらうよ」って言えたらいいんですけど、そんなこと相手を見捨てるようで言えないですもんね。
だから我慢大会がスタートすることになり、犠牲モードになるので、そのしんどさはどんどん膨れ上がっていくものです。
愛が強い故の悲劇とでも申しますか。
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「もうそんな荷物を抱えなくていい」
「こんなにも重たいものを背負わなくていい」
そんな言葉を自分にかけてあげてはいかがでしょうか?
どんな反応が返ってくるでしょう。
だめだめ!もっと頑張らなきゃ!まだまだ足りない!この程度じゃ全然だめ!だって相手は幸せになってないじゃない!ダメダメ!
そんなエゴの声が聞こえてくるでしょうか?
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最近も個人セッションでお届けしたんですけど、こんなイメージワークをすることがあります。
ほんとシンプルに「母を背負っている」自分をイメージします。
その重みをしっかり感じて、「ごめんね」って言いながら母を背中から下ろすんです。
そして、その軽くさを味わいます。
けど、たいていそこで「罪悪感」が出てきます。
だから、こう自分に言ってあげるんです。
「十分頑張った」
「できることは全部やった」
「もう頑張らなくていい」
それですぐには葛藤が収まらないと思います。
そして、母を信頼するメッセージを送ります。
「母も大人なんだから自分のことは自分でできる」
「その母ができないことだけを手伝ってあげたらいい」
そうして両足でしっかり立っていることを自覚して、自分軸を意識します。
「わたしはわたし、母は母」
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ずっと無自覚に母を背負ってきた方が、それをやめていくとどんな変化が起こると思いますか?
影響はとても大きいんです。
まず、「母とのやり取りが楽になった。あまり深入りしなくても大丈夫って分かったし、母は助けてほしいとか思ってなくてただ話を聞いてほしいだけってことがほんとに分かったから。」みたいな報告をよく頂きます。
中には「自分が勝手に背負ってたんですよね。母は別にそれを望んでなかったんです。」と気付いた方もいます。
対人関係についても「前よりちょっと冷たくなったかな?と思うこともあるけれど、やっぱり楽になったし、なんであんなに一生懸命人の世話を焼いてたんだろう?って思うことが増えた。」みたいな声がとても多いです。
余裕ができたと思う、俯瞰して物事を見られるようになった、穏やかな気分で人に接することができるようになった、なんて声も多いですね。
また「なんか明るくなったね」とか「笑顔が増えたよ」って言われることが増えたという報告も少なくありません。
以前はずいぶんと思い詰めた表情をしていたのでしょう。
よく眠れるようになったし、やりたいことがあれこれ浮かんでくるようになったし、パートナーとの関係がすごくよくなった、という話も当たり前のように耳にしますね。
愛が強いからサービスしすぎてたのでしょうね。
それをやめたら自己肯定感もめっちゃ上がるわけです。
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母を背負うのは愛ゆえですが、あまりにその愛が強すぎるために犠牲的になり、どんどんしんどくなってしまうとしたら、本末転倒ですよね。
「もう母を背負わなくていい」
根拠はなくてもそう思っていただいて大丈夫です。
その後の具体的な行動が思いつかなくてもかまいません。
まずは“心の荷物”を下ろすところに意識を向けていきましょう。
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そんな抱え込み症候群のみなさまのための連続講座!
↓
◎オンライン:11/3(月祝)夜スタート!ワークショップ「抱え込み症候群を手放す4週間プログラム」
◎大阪:11/15(土)12:00-17:00 パートナーシップ・グループカウンセリング【定員4名】
◎東京:11/23(日祝)11:00-18:00 1DAYリトリートセミナー~1日かけて自分と向き合い、自分を癒し、自分自身と出会う~
●3人の自立系武闘派女子が自分と向き合って幸せになっていく物語。
「ひとりで生きちゃう武闘派女子が頼って甘えて幸せになる50のトレーニング: 「頑張らないこと」を頑張りたいあなたへ」(小学館)
●この記事を読んで「ああ、自分の場合はどうだろう?」と思われた皆さん。そのネタ、聞かせてください!もしかしたらブログ上で回答させていただけるかもしれません!(不採用になっちゃったらごめんなさい!何度でもチャレンジ可!です)
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