母が片づけをせず汚部屋に暮らしているのを何とかしたいのだけど。



なぜ、母は片づけをしないのか?
なぜ、そんな部屋に住んでいるのか?
それを「おかしい」と決めつけてしまうと先には進めません。「なぜ?」と考えるところからが始まりなのです。
そうすると自分には想像もできないほどの孤独感や不安感を母が抱えていることに気づけるかもしれないのです。

根本さんこんにちは。
もう10年ほど陰ながら根本さんに大変助けられてきました。ありがとうございます。

母の事でヒントを頂けたら‥と思います。
一人で住む母が家の片付けをせず、足の踏み場が殆どない3LDKの汚部屋状態が10年ほど続いています。原因は物の多さで改善する兆しが一向にありません。

きっかけは10年前の私の父の死と思います。元々キレイな家ではないですが、その頃から高価な服やバックを何個も買い込み、その殆どはタグが付いたままの新品です。
良くないと思いつつも、父が亡くなり寂しいのだろうと当初は暫く見守っていました。

何度か皆で片付けようと話し合いましたが、必ず母が逆ギレして平行線になります。仕事で疲れている、業者には頼りたくない、勝手に物を触られたくない、自分でやりたいとの事。一度弟と2人で期限切れの食品等を捨てようとした所、母が発狂して戻しました。

もう物が多くて窓から光もあまり入らず、カビも生えていてこんな所に居たら病気になるからと、再度片付けの進め方を提案しても、母の被害者意識が強くなるばかりで何も進みません。

もう精神的な問題かもと思いましたが、汚部屋以外は普通に見え、病人扱いに怒ります。

私は3年前に結婚しましたが、未だに夫を実家に呼べません。仏壇に線香を上げてもらう事も叶いません。母は自分の婿をもてなそうという気持ちも無いように見えます。

そして先日私の妊娠が分かり、もう母と片付けについて話し合うのは次が最後だと思っています。
孫が生まれてさえも家を片付け迎え入れようとしないのであれば私はもう母と思えそうにありません。
私の父方母方の祖母はその嫁や婿を優しく受け入れ孫である私や弟も可愛がってくれました。
自分の夫や生まれてくる子供に与えられないのが悲しいです。

これは母に対する私の期待、依存なのでしょうか。。

片付けのアプローチ方法があれば教えて頂けると幸いです。
(Hさん)

まずは、ご懐妊、おめでとうございます。ご結婚も!

夫を実家に連れて行ったり、孫が生まれたら会わせたりしたいのに、なかなかできる状況じゃないですよねえ。

ちなみに夫氏の実家とは仲良くできているでしょうか?
今の状態だと孫の面倒等は夫氏の母にお願いするような感じでしょうか。

孫が生まれることでHさんの母に変化が生まれることもあるものですが、なかなかそこに期待するのは難しいですね。

さて、おそらくHさんと同じことを悩まれてる方ってたくさんいらっしゃるんだろうなあ、と思います。

実家が汚い。親が片づけをしない。ゴミ屋敷になっている。

私の知り合いの方にもいらして、親に何度も片づけをするように言ってもしないし、勝手にモノを捨てようとするとキレられるし、仮に捨ててもゴミ置き場から持って帰ってくるし、って嘆いてました。

古い新聞紙がきちんとひもでくくられているにも関わらず、それを捨てるな、という気持ちが分からないと。

もちろん匂いもきついので実家に立ち寄りたくなくなったけど、やはりそれは病気なのか?病院に連れて行った方がいいのか?と相談されました。

じゃあ、病院に行って治るのだろうか?というとそれもまた難しいかもしれません、とお答えしたんです。

本人にその意志がないわけですから、先生も困るでしょうし、入院させられるほどのことでもないですし。

Hさんのおっしゃることはごもっともですし、何一つ間違っていないと思います。

ただただ悲しいできごとですし、寂しさも募ると思います。

そんな母に怒りも覚えるでしょうし、やりきれない気持ちも出てくるでしょう。

「じゃあ、縁を切るしかないのか?」

というところまで行くのかもしれませんが、もし何か問題があったら連絡があるのは子どものところですよね。

ちなみにお母さん、近所づきあいは全くないのでしょうか?
趣味とか友達付き合いとかもないのでしょうか?

もし、ご近所さんによくしてくれるおばちゃんなどがいらっしゃれば、その方に相談するのが一番早いと思います。

たぶん、その方の言うことはきくと思いますので。

ただ、その方がそこまでしてくれるかは、関係性などによりますけれど。

とはいえ、例えばそのおばちゃんの助言によって母が納得したり、母の検査入院中に家を大掃除したりして実家がきれいになったとしましょう。

その後、どうなるか想像できるでしょうか?

その状態がキープできるのは数日程度で、おそらく日を追うごとに元の状態に戻っていくと思います。

なんせ、わざわざゴミを増やすためにゴミ捨て場から他人のゴミを持って帰ってくる人もいるくらいですから。

だから、結局のところ「心の問題」として見ていくのが良いと思うのです。

そして、この場合、2つの心理が関係してきます。

ひとつはお母さんが抱えられる孤独感や不安感、そして、もう一つは母娘の信頼関係について、です。

Hさん、そして同志のみなさまは、「物を捨てられない心理」についてどれくらい学ばれていらっしゃるでしょうか?

Hさんのお母さんはお父さんの死がきっかけとのことですので、分かりやすい原因だと思いますが、それによってお母さんの心の中に何が起きたと思われますか?

>その頃から高価な服やバックを何個も買い込み、その殆どはタグが付いたままの新品です。

この状況って買い物依存症の典型的な症状ですので、その心理も学ばれてみると良いかもしれません。

簡単に言えば「孤独感や不安感を埋めるためにモノを置く」んです。

だから、お母さんは「物がいっぱいある部屋」にいると落ち着くのだろうと思います。

ものすごくシンプルに言えば、「ご実家にある物の量」=「お父さんの存在感」です。

お父さんが亡くなって生まれた膨大な孤独感(寂しさ)や不安感をモノで埋めようとされたんです。

それくらいお母さんにとってお父さんは大きな存在だったのでしょう。

高価な服やバッグよりもずっと価値がある存在だし、足の踏み場もないくらいの物ほどの存在感がある方だったということです。

だから、お母さんにとって「物を捨てる」というのは「夫(父)を捨てる」ということに等しい行為なわけで、そしたらあれだけキレるのも理解できるでしょう。

つまり、ここでひとつすれ違いが生じているのです。

母は、物を、父だと思っている。
娘は、物を、ゴミだと思っている。

だから、そもそも話が通じないわけです。

その母の気持ちははたから見ていても分かりますか?

そもそもお母さんはお父さんに依存していたのでしょうか?
それともお父さんのことをとても大切になさっていたのでしょうか?

妊娠中のHさんにこんな話をするのは不適切かもしれませんが、お子さんを亡くされた親がその子の部屋を片付けられず、ずっとそのままにしている、という話を聞いたことがあるかもしれません。

私のクライアントさんにももちろんいらっしゃいました。

そして、その親の気持ちであれば理解できる方はたくさんいらっしゃると思います。

でも、似たような心理なんですよね。お母さんも。形は全然違うけれど。

だから、娘が見るよりもお母さんは膨大な喪失感を抱え、孤独で、不安で仕方がないのかもしれません。

お父さんがいなくなってしまった以上、その思いを物以外で埋めることができていないのかもしれません。

そして、見方を変えれば、まだお父さんの死をちゃんと受け入れられていないのかもしれません。

どこか母の中に時が止まってしまっているようなところってありませんか?

お父さんが亡くなってから時計の針が止まってしまっているような。

また、こうした膨大な喪失感は生きる望みを失わせることもあります。
老齢の母であればなおさらそうかもしれません。

その汚部屋に住んでる母は、だいぶ生気が失われていませんか?

何もかもがめんどくさくなり、旅行はもちろん、食事に誘ってもなかなか出たがらないかもしれません。

冒頭の方で「孫が生まれると変わるかもしれない」と書いたのは、孫が生まれることで生きる目的が生まれる可能性があるからです。(「生」という文字が連続しておりますが)

あまりに孫はかわいいものですから、その孫に会いたい気持ちがお母さんを変えちゃうことだってあるんですよね。

子どもの誕生ってのはほんとうに偉大なものです。

とはいえ、すでに初孫がいらっしゃるならば期待薄かもしれませんけれど・・・。

つまり、どうしたらお母さんに生きる目的を与えることができるでしょう?

これがひとつのポイントになると思います。

近所のよくしてくれるおばちゃんがいたら・・・という話。

要するに信頼関係なんです。

この人は自分のことを分かってくれている。理解してくれている。味方である。

そういう関係性を築いている人の言うことを人は聞きます。

当然ながら正論で人は動かないですよね。

あの人は良くしてくれた人だから、あの人はあたしにちょくちょく連絡くれるから、あの人はあたしのことを心配してくれるから、という気持ちが人を動かすのです。

「お父さん亡くして寂しいわよねえ。おばちゃん、だいじょうぶ?」
「まあ、大丈夫だと思ってたんだけどねえ、やっぱり寂しくてねえ」
「でしょうね。じゃあ、ちょくちょくおばちゃんのところ来てあげるわ」

なんて会話を交わせる人がいたならば、その人がいつ家に来てもいいように、それなりに部屋をしつらえるでしょう。

ただ、お父さんを失った悲しみや寂しさが膨大であるならば、そんなご近所さんではやはり埋められないものですから、そうした誘いを拒絶して引きこもってしまうものですけれど。

でも、もともとご近所づきあいもなく、親戚や友達関係も希薄なお母さんだったのかなあ?とも思います。

だからこそ、そこまでの部屋になっちゃったんじゃないかな、と。

もし、そうしたお母さんを「助ける」のであれば、相当な覚悟が要りますね。

お父さんの死を受け入れ、もう一度、未来に生きる希望を灯すサポートをしていくわけです。

つまり、お片付けしなきゃいけないのは家じゃなくて心なわけです。

その母に寄り添い、あんたのためなら、と重い腰を上げてもらうまでにはそれなりの時間が必要でしょう。

どうしましょうか?

Hさんはお子さんも産まれることですし、家庭もあります。

そんな母のために時間とエネルギーを割くことはできない、と感じられるでしょうか?

中途半端なかかわりは危険です。

それならば役所に相談した方が良いかもしれませんし、施設に入れることを検討した方が良いかもしれません。

母とどう向き合うか?

これからまさに母になろうとするHさんには示唆的な課題かもしれませんね。

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