人の心には傷つきやすい敏感な場所が存在し、その基準で付き合う人を無意識に選んでいる。



「分かってもらえない」「大切にしてくれない」「信用してもらえない」等々、私たちの心には人とお付き合いする際にクセになってしまっている「選民思想」があるものです。
そのルーツはたいていの場合、親子・きょうだいの関係に行き着くのですが、人間関係がうまく行かなかったり、ストレスを抱えたりしているならば、この問題が存在してるのかもしれません。

先日、敏腕経営者(筋金入り時武闘派女子)のカウンセリングで、「ひとつひとつはあまり大したことないのだけど人間関係でちょこちょこモヤッとすることがある」という話から壮大なテーマが浮上してきまして、「分かってもらえない(理解してもらえない)」ということにたいぶ過敏になっているんだな、ということが分かってきました。

※ちなみに彼女の話をブログでシェアすることはご本人に快諾を得ております。

他の人であれば「ああ、なんかあの人、ウザいな」で済むところも「なんでなんやろ?」「どうしたらええやろ?」と気にしてしまったり、その人の存在がずーっと引っ掛かってしまったりするそうで、そういうときにカウンセラーってのは目をキラリと光らせ、眼鏡のふちをくいっと上げて「その裏には何があるんでしょう?」と前のめりになるのです。

そうすると彼女の中にあるそのパターンが見えてきたわけです。

「分かってもらえない」「理解してもらえない」ということについては皆さまも「くそー!ムカつくぜ!」とか「なんか悲しい。切ない。辛い。」などの思いを持つかと思いますし、その感情を引きずってしまうことも少なくないと思うのですが、「分かってもらえない」というところに敏感になると、無意識に人を選別するようになります。

この人は分かってくれる人。
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あの人は分かってくれない人。

という風に「線引き」をして、その間に「壁」を構築するのですね。

「分かってもらえない」というのはとても切ないので、そういう人は自分の視野から外すべく壁の外側に追いやります。

一方、「この人は分かってくれる」と思う人は自分の内側に入れるようになります。

そうすると普段は壁で仕切られた「安全な領域=分かってくれる人たちだけの世界」で暮らしているので平和ですし、楽しいですし、幸せです。

もちろん、「分かってくれてると思ってたのに分かってくれへんやん!」という人が現れたら、即座に壁の向こう側に追い出します。

しかし、ふだんはそれでいいのですが、様々な人との交流を重ねたり、ますます成功したり、名が知られるようになったり、本なんかを出しちゃったりすると、出会う人が多い分だけ「選別作業」が忙しくなります。

だから、アウェーの空間がとても苦手になり、借りてきた猫のようになってしまうことも珍しくないものです。

人脈が広がれば広がるほど選別作業に列をなす人たちの数も増え、時には選択を誤ってしまうことがあり、それが彼女の「ひとつひとつはあまり大したことないのだけど人間関係でちょこちょこモヤッとすることがある」を起こしているようです。

そして、人と関われば関わるほど、分かってくれる人とそうでない人とを隔てる壁は巨大になっていきます。

つまり、成功すればするほど壁のサイズが大きくなり、その建築並びに保守管理にエネルギーを割かなければならず、それだけで疲弊してしまうこともあるのです。

ちなみにそうした壁の向こう側の存在ってふとしたときに気になるんですよね。

でも、壁で遮られているから向こうの様子って分からないじゃないですか。

だから自分のメンタルが落ちてるときなどは特に疑心暗鬼になって壁をより強化したくなります。

そして、その分だけ壁の内側の人たちに「依存」や「執着」が出てくるようになります。

そんな状態で「裏切者!!」が出現したりするとものすごくダメージを受けてしまうのです。

壁があることって別に悪いことじゃありません。
壁がないことが良いことのように思われるかもしれませんが、壁があることで身の安全が保障されるのである程度はあった方がいいと思います。

つまり、来るもの拒まずでは内側の世界が荒れてしまうんです。

この辺の心理からビジネスでは「お客さんは選ぶ方がいい。その方がいい客層が得られる。」という風に言われるのでしょう。

ただ、その壁があまりに巨大ですとエネルギーが膨大にかかりますから、それも問題です。

だから「ほど良いサイズの壁」だったり、「風通しのいい生垣」だったり、「花壇で仕切る」みたいなくらいの方がたぶん良いのだろうと思われます。

さて、そうすると「なんで分かってもらえないことにそこまで過敏になるんだろう?」という疑問が湧いてくるのです。

それは大概の場合「親子」「きょうだい」「思春期の学校生活」に原因を求めることができるのですが、彼女に問うたところ「うーん、そういう人はあんまりいないような・・・しいて言えば父と兄でしょうか」という答え。

父も兄も子どもの頃から何かと意見をしてきたり、自分がやりたいことに反対したりしてきたみたいです。

「赤いラジカセが欲しかったのに『黒の方がいいだろ?』と兄に言われた」というほんの些細な思い出もありました。

また、「大学がつまらなかったので編入しようとしたら父から『女が学歴付けてどうするんだ』と否定された」というなかなかデカい問題もありました。(この男尊女卑の環境で育ったことが彼女のビジネスの軸になっています。)

カウンセラーってのはそこで「それってラジカセだけなんすかね?」という風に捉えるのです。

象徴的なできごとが“ラジカセ”であって、お菓子とかアイスとか服とかゲームとか漫画とか遊び方とかあらゆるところで「兄や父からの干渉」があったんじゃねえか?と踏むわけです。

こうした経験から彼女の中には「父や兄はあたしのことを分かってくれない」という思い込みを持つようになったのでしょう。

そして、そこで辛い思いをコツコツ積み重ねた結果、「分かってくれない」ということに敏感になってしまい、人を見る基準(選別基準)に昇格してしまったのだろうと推測されます。

逆に見れば、それくらい彼女は父や兄に「分かってほしい」という気持ちを強く持っていたことが伺えますね。

ということは、彼女は父や兄のことが大好きであり、要するにファザコン兼ブラコンである可能性が高いと思われるわけです。

まあ、こうした「壁を構築する選別作業」の原因となる“敏感な部分”というのは、こうした身近な好きな人から生まれてくることが多いのです。

大好きな人だから分かってほしいし、受け入れてほしい!というニーズを持ちます。

「こんなにも大好きな人なのになんであたしのことを応援してくれないの?なんで反対するの?」という気持ちになりやすいんですよね。

そうするとそこで傷ついた分だけ「分かってくれない奴は即、縁を切る!」という方針が生まれ、壁を構築することになるのです。

ということで、改めて「父」「兄」と向き合う必要があるわけで、しかも、それは今の父や兄も大事なんだけど、昔の父や兄との関係を振り返ることが効果的なので、こんな宿題が考えられるのです。

「父に感謝できることを100~200個」
「兄に感謝できることを50~100個」

これはなるべく「心から感謝できること」を書き出していきます。

「忙しい中、塾の送り迎えをしてくれてありがとう」
「勉強の分からないところを教えてくれてありがとう」
「辛かった時に励ましてくれてありがとう」

みたいな感じでできるだけ具体的なことを書き出していきます。

感謝しようとすると「いや!待て!違う!」と「分かってくれなかった経験」が顔を覗かせるものですから、その経験は粛々と御恨み帳に刻んだり、誰かにしゃべったりして解消していきます。

これ、かなり本気でコミットしないと100個はできないケースが多いので、みなさまも良かったらやってみてください。

これは「父や兄を許す」というプロセスの一環です。

他にも父や兄と“象徴的に”向き合い、感情を解放し、距離を縮め、愛を受け取り、与えることで許しに至る方法もあります。(これはロールプレイセッションが最も象徴的で、それはリトリートセミナーや1DAYセミナーなどで行っています。)

また、「手放しワーク」も許しには効果的です。

「もう傷つきたくない」あなたが執着を手放して「幸せ」になる本」(学研プラス)
*セミナー動画『本気の手放しワーク』

そうして、「分かってもらえない」という“敏感な場所”を許しによって解消していくと、「分かってもらえない」ということに対して今よりずっと寛容になれます。

「まあ、分かってもらえなくても別にいいよ」と思えるようになり、分かってもらうことに執着しなくなります。

それによって「壁」が小さくなっていき、やがて隔たりがだいぶ薄れていくので人間関係もすごく楽になって行くでしょう。

さて、今回は「分かってくれない」という事例を元にお話しましたが、Xにポストしているように、他にも様々な「敏感な場所」が考えられ、そして、人それぞれそういう場所をもっているものです。

みなさんはどんな要素を敏感に捉え、人を選別してしまっているのでしょう?

今回の事例をなぞってご自身のケースを掘り下げてみるとぐーんと人間関係が楽になっていくと思います。

◎「許し」を使って問題を癒す。人間関係をぐっと楽にする。

9/16,17,18 ザ・リトリートセミナー in 神楽坂~生き方が、人生が、自分自身が変わる3日間~
https://nemotohiroyuki.jp/schedule-cat/49905

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