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子ども時代に満たされなかったものを求めて、あるいは、満たされたものをもっと満たそうとしてパートナーが幼児退行するケースは意外と多いものです。
そのときどのように接してあげるのが良いか?その仕組みと共に解説します。
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彼女の心理について気になることがあり投稿させていただきました。
僕の彼女は僕に対してのみ幼児退行しているみたいです。その心理について調べていると根本さんの過去のブログに行き着きました。
>「子供時代満たされなかったもの=彼氏に対して求めてしまうもの」
ほとんどこのブログ内容と一致します。ただ彼女は母親からとても強い愛情を受けて育ってきたように思われます。一方で父親は仕事人間であるみたいで、家事育児は専業主婦の妻に任せきりだったと推測しています。また、父親は厳しい人だとも言っていました。それが原因となっているのかな、と思っています。
質問内容としては父親との関係性が改まることで幼児退行は解消されていくのでしょうか?
また、僕が彼女のインナーチャイルドを成長させるにはどのようなことをしていけば良いでしょうか?
補足ですが、彼女は「小さい頃パパにおでこにキスされるのが嬉しかった」「結婚記念日にいつもありがとう、と伝えると〇〇ちゃん(彼女)がいるから頑張れるんだよ。と言われて泣いてしまった」など父親との微笑ましいエピソードも話しており、厳しい人というイメージがあまり想像できません。
愛情が足りなかったのではなく一緒に過ごす時間を取れていなかっただけかもしれません。
駄文で申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
(Mさん)
男性からの貴重なご質問ありがとうございます。voicyも聞いてくださってありがとうございますー!!
そして、随分昔の記事までさかのぼっていただきましてうれしいです。
なんか、文体が今とは全然違いますねー。懐かしいですー。
あとやってることも当時とはちょっと違うので今なら別の提案をするだろうなあ、ということでネタにさせていただこうと思います。
さらに!さらに!「根本さんは男に優しい」と評判の私でございますので、(武闘派女子たちからは冷たい目で見られているけど)なるべく丁寧にかつ分かりやすくお伝えできればと思っておりますー!!はい。
彼女がMさんの前で幼児退行できるってことはそれだけMさんが優しくて、安心しているからで、それほど悪いことばかりではありません。
「ああ、俺っていい彼氏なんだなあ。ぐふふふふ」ととりあえず思っておくことが大事です。
ただ、できれば彼女の幼児退行によって何が困っているのかも知りたかったですねー。
「大人同士の付き合いをしたいのにすっかり子ども返りして『父と娘』みたいになっててつまんない。俺もたまには甘えさせてほしいわ!」
とか
「だんだん甘え方がきつくなってきて答えるのがしんどくなってきた。このままだったら逃げ出してしまうかも!」
とか
「かわいいのはかわいいけど、子どもっぽく見えて女としての魅力を感じられなくなってきた。このままだったら浮気しそう!ヤバい!」
とか
「相手がすっかり娘モードになってきてセックスを拒むようになってきて不満もナニも溜まるわ!やってられんわ!」
とか。
私のカウンセリングってその状況だけでどうのこうのってことはなくて、「それで何に困ってますの?」という質問をしたり、「で、どうしたいんでしょう?」とお聞きしたりするので、何かの折にはそんな話を聴かせてもらえたらと思うのです。
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で、幼児退行するのは
「子ども時代に親から愛情を与えられなくて寂しくて、それを我慢して大きくなってきたために、優しい彼氏と出会ったら、その当時欲しかった愛情を親の代わりにもらおうとしている」
という場合もありますが(これ、男女逆でも同じことが起こります)、その一方で、
「親から十分愛情を与えられて育ったので、その環境がとても居心地よくて、優しい彼氏と出会った途端、その時代に戻れる!と思って彼氏に甘え始める」
という場合もあります。
彼女の場合はもしかしたらその両方かもしれないですね。
母親からは十分愛情を与えられてきてそれが幸せで、その時代に戻りたい!という願望(これが時にピーターパンシンドロームにもなります)があり、それを満たしている部分。
そして、大好きな父親から欲しかった愛情をMさんから得ようとしている部分。
それだけいい彼氏ってことですけどねー。
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さて、私たちは恋愛をすると大好きな人から子ども時代に得られたもの、あるいは、得られなかったものを取り戻そうとする心理があります。
あまり愛されなかった、と感じている人は、パートナーからその分の愛情をもらおうとしますし、十分愛されたと感じている人は、パートナーからも親と同じくらいの愛情をもらおうとします。
だから、特に恋愛初期においては「俺はお前のお父ちゃんじゃねえ」とか「あたしはあんたのお母さんじゃないんだからね!」という問題がよく起きるものです。
そうするとパートナーシップが「父娘」「母息子」みたいな感じになりやすいんですね。
また、そこまでいかなくてもまるで「兄妹」「姉弟」みたいになっちゃうケースも少なくないものです。
そこで起きていることは「パートナーに父親(母親)を投影する」あるいは「パートナーに“理想の”父親(母親)を投影する」という心理です。
で、最近は優しい男子も増えているので「彼氏に理想の母親役を求める」というケースもあります。
私のクライアントさんにも「俺はお前のおかんじゃねーぞ!」とキレられたら経験を持つ方が何人もいらっしゃいます。
なので、このことに気付いたらその投影を外して「あ、こいつ、お父ちゃんかと思ったら単なるおっさんやんけ」とちゃんと現実を見ることがお勧めです。
とはいえ、やはり子ども時代に満たされなかった思いの行き場がなくなるために懊悩してしまうことも少なくありません。
幼児退行していると言っても大人の部分はちゃんとあるはずなので、大人の私(これをインナーアダルト)と言いますが、満たされてない子どもの心を満たしていく、ということが課題になります。
パートナーにその役を押し付けるんじゃなくて、自分でその子を育てることをしていきましょう!!というわけです。
この意識の切り替えがなかなか難しいので、多くはカウンセリングなどを利用しながらやっていくのがお勧めです。
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さて、今日はそんな彼女を持つ彼側の立場からのお話ですので、じゃあ、Mさんは彼女に何をしてあげたらいいでしょう?って話ですね。
実はそこで求められるのはMさんの覚悟と言いますか、この問題を「彼女だけのもの」にせず、「当事者」としてかかわっていくことがとっても大事です。
それって彼女だけの問題なん?自分にもなんか問題あるんちゃう?という見方をすることなんですね。
パートナーシップは鏡なんて申しまして、彼女が幼児退行してるということは何かしらMさんの中にも似たものがあるのかもしれません。
なので彼女を癒すために、まずは自分の子ども時代~大人になるまでを振り返り、親子関係であったり、友達関係などを見直してみるんですね。
自分は何を我慢していたのか?何を手に入れて何を手に入れてないのか?子ども時代に得られなかった思いとは何か?何か諦めてしまっているものはないか?などの視点で振り返ってみましょう。
また、自分もまた大人になることに怖れを持っていたり、嫌悪感があったりしないだろうか?大人の男としての自信が全然ないのではないか?という視点も役立つでしょう。
そこで「あっ!」と思いつくものがあれば、彼女の問題は横に置いといて自分自身の問題を扱っていきます。まずは、これが一番最初です。
彼女が見せてくれる問題を「サイン」として受け取り、自分自身にフィードバックしていくんですね。
それを置いて彼女に何か関わろうとしても中途半端になるか、覚悟が足りずに自分が逃げ出してしまうか、という可能性が高くなるんです。
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その上で、という話になりますが「彼女を大人の女性として扱う」という意識を持ちます。
自分は親ではなく、パートナーであることをまずは自分が意識して、彼女への接し方もそのようにします。いわば彼女の自立を促すことになります。
これをすぐにやってしまうと反発が出てくるので、まずは先ほどお話ししたように自分を整えていくことですね。
彼女の幼児退行を受け止められる範囲で受け止めてあげたらいいとは思うんですけど、毅然と「大人の女を求めていること」を彼女に対して何度も伝えていきます。
この辺はコミュニケーションが非常に難しいところですが。
そうして「大人な○○」を二人のテーマにしていくんです。
「大人のデート」「大人の暮らし」「大人のセックス」「大人のファッション」「大人のお金の使い方」・・・・。その答えって実はあってないようなもので、まずはMさんにとって「大人の○○」をあれこれ思索してみてください。
それを彼女とコミュニケーションを取りつつ実践していくんです。
例えば「大人のデート」というとどういう景色が浮かびますか?
その浮かんだ場所に二人で出かけていくんですね。
「大人のファッション」というとどうでしょう?「大人の男、大人の女」を意識してやっていくのですな。
そうして「大人である意識」をきちんと持てるようになると「子どもの部分」とのバランスが取れるようになるので、彼女の幼児退行に問題を感じなくなっていきます。
子どもっぽい彼女のことをかわいいと思うこともあるでしょ?
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で、そのためにも基本なのは「彼女の中に大人の女性の部分を見て伝えること」です。
クライアントさんにもいらっしゃるのですが「まだまだ私は子どもなんです。いい年して」なんて相談を頂くと、私はその人の中にある「大人の部分」を探していきます。
「確かに子どもな部分もあるかもしれないけれど、○○とか△△とか××とか□□とか大人な部分もめっちゃあるやん?」と伝えるようにします。
彼女の中にもそんな部分はないでしょうか?
彼女が幼児退行できるのはMさんがそれを受け入れてくれるからですが、そうするとMさんは彼女の幼児性ばかりを見るようになってしまいませんか?
確かにそういう部分もあるけどー、大人なところもいっぱいあるよなー、という視点で彼女を見て、そこをちゃんと伝えていきます。
そうすると「子どもでいることを否定されることなく、大人の自分と出会える」ということを与えてあげられますね。
さらに、今までMさんが与えてあげたことで彼女の中で満たされている部分もけっこうあるはずなんですよね。
けれど人は与えられたものはもっと欲しい、ずっと欲しいと思いますから、満たされていてもさらに求めてくるものです。
「それは十分与えてあげてるよね」とMさん自身が感じたことについてはそうはっきり伝えることも大事ですね。
その感じるタイミングってのは「愛」ではなく「犠牲」に切り替わったとき。
やってあげるのがうれしくて楽しくて幸せならまだいいけれど、それはしんどいなあ、と思ったら「No」をちゃんと言えるようになりたいものです。
これで彼女にとって「あ、この人は私の理想のパパじゃなくて彼氏なんだ」と認識させられるようになりますね。
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さて、インナーチャイルドを扱うのってけっこう立場的にも技術的にも関係性的にも難しいところがあります。
まず本人がそこに問題意識を持って何とかしたいと思っていること。
自分のインナーチャイルドを成長させることを託せる相手であること。
彼氏という立場でそれをやってしまうと、それ以降、「彼氏彼女」ではなく「セラピストとクライアント」という関係になっちゃったりしますね。
なのでMさんがそれを学んで身に着けるのも一つの手ですが、それを誰かに委ねるのも大いにあると思います。
ということで、参考になりましたら幸いです。
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『幼児退行とは?自分がそうなったら?パートナーがそうなったら?』
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