今もかなりしんどい状況に居ながらもそこから動かない(動けない?)人がいます。
「まだまだ頑張らなきゃ」
「このくらいで音をあげちゃいけない」
「もっと他にしんどい人はいる」
「ここで逃げたらみんなに迷惑をかける」
そもそも「逃げる」という発想を持たない人もいます。
(つまり、この文章を「私は関係ないや」と思いながら読んでいる方の中にもきっと逃げたほうがいい方がいるはず。)
「全然楽しいと思えない。辛いだけなのに」
「先週よりも今週の方がたぶんしんどい。そして、先が見えない。」
「体がとにかく重たい。心が沈んでいる。笑えない。」
そんな状況にありながらも毎日会社に行ったり、旦那と顔を合わせていたり、親と一緒に生活したりしているんです。
なぜ、逃げないの?
「逃げ方が分からないから」
「逃げていいと思えないから」
「逃げたって意味がないと思うから」
「逃げるのは恥だから」
「逃げるなんて情けないことだから」
「逃げたってどうせやんなきゃいけないことだから」
それとも、単に意地を張っているの?
プライドが邪魔しているの?
人の評価をまだ気にしているの?
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誰かを守ろうとして逃げられないって人もいると思います。
家族を守ろうとしている人。
職場の仲間を守ろうとしている人。
子どもたちを守ろうとしている人。
自分が逃げたら彼らを見捨てるような思いを抱いているのかもしれません。
けど、それはたぶん、勘違い。
そこであなたが倒れてしまったら、彼らはあなたの面倒を見なきゃいけないと思いません?
あるいは、あなたに罪悪感を抱いてしまうと思いません?
一緒に逃げればいいんじゃない?
あなたがリーダーシップを取って「逃げる」という道を示してあげたらいいんじゃない?
やはり大切なのは、あなたが元気で笑顔でいることじゃないでしょうか。
もし、笑顔で居られないのであれば、きっともう逃げてもいいんです。
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頑張ることが悪いってわけではありません。
頑張る先にヴィジョンが見えているならば私は応援したいです。
しかし、やみくもに、先が見えていないのに頑張る、というのは、心を痛めます。
あなたの心が痛むということは、あなたのことを大切に思う人の心も痛めます。
耐えることも同じ。
そこに居続けることも同じ。
先に希望が見えているのであれば、むしろ、頑張れ!と応援します。
でも、そうでないのであれば、あなたはすぐさま逃げ出した方がいいんです。
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もし、自分のことを「頑固な奴め」と思うのであれば、きっと何度もめちゃくちゃしんどい境遇に出会ってきたんだろうと思います。
そして、今も頑固な自分と葛藤し続けているのではないでしょうか。
心理学の世界では「強さ」をこんな風に定義します。
「真の強さとは弱さの中に入っていけるほどの強さである」と。
自分の弱さ、不十分さ、不完全さを認めることこそが強さである、と。
また、よく強さの例えとして「竹」が取り上げられます。
太い幹を持った大木は大風が吹くと根こそぎ倒れてしまいます。
風に抗い、倒れまいと踏ん張り続けた結果、長時間強い風にさらされたとき、耐えきれずに倒れてしまうのです。
一方、竹は強い風が吹くとしなってその風を流します。
もちろん、竹は信じられないほど深く、広く根を張っているからでもありますが、そのしなりによって風をいなし、その強さを和らげているのです。
この竹の強さも「かわす、流す」という「逃げる技術」のひとつ。
目の前に起きているできごとに対し、一歩引いてかわしたり、受け流したりする技術です。
人の言葉やできごとを「真に受けること」をしないのです。
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そのしんどい状況から逃げるということは、一歩引いて状況を俯瞰する目を持つことと同じ意味を持ちます。
だから、逃げるということは、一旦退却し、体制を整えることを意味します。
とはいえ一歩引くだけでなく、時には「敗走」することも大事。
あらゆる武術の達人は、何よりも「逃げる」「戦わない」ことを推奨しているものです。
だから、逃げるということは、自分自身を守ることであり、未来への可能性をつなげることであり、そして、自分を取り戻し、新たな一歩を踏み出すための大きな決断と言えるのです。
「逃げるが勝ち」という言葉がありますが、勝ち目のない敵とむやみに戦って傷を負ってしまえばその回復に時間を要してしまいます。
だったら、一旦逃げて、体制を整え、改めて自分を磨いて再度チャレンジすることは素晴らしい戦略なのではないでしょうか?
意地を張って倒れるよりもよほど価値があることだと思うのです。
もちろん、それはあなたのことを大切に思う人の願いでもあります。
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無理なものを無理。
できないことをできない。
いたくないことをしたくない。
嫌なことを嫌。
そういう発言をするのは今の日本では憚られることが多いかもしれません。
「ほかの人間が頑張ってるんだからお前だけ逃げるなんて狡いだろ」と上司があなたを説教するかもしれません。
けれど、自分が元気でいること以上に戦力になることってないんじゃないかと思います。
倒れそうな状態でその状況に居続けたところでどのような結果が得られるというのでしょうか?
特に先の見えない状況で我慢を強いられているのは今の日本人に共通する思いかもしれません。
そんなあなたが「逃げる」という選択肢を持つことができれば、あなたの生き方は幾重にも広がると思います。
倒れるまでそこに居続けようとしますか?
それは誰のためですか?
誰かが喜ぶことなのでしょうか?
見栄やプライドを捨てるのもまた逃げる技術で、その技術を会得すれば、あなたは今よりもっと自由を感じられることでしょう。
そんな思いを込めて一冊の本を書き下ろしました。
*ギリギリまで我慢してしまうあなたへ『逃げる技術』(徳間書店)
そして、その技術を会得するための特別なワークショップを企画しました。
★東京/オンライン:9/13(日)14:00-17:00
ワークショップ「逃げる技術~今よりもっと自由で自分らしく生きられるスキルを習得する~」
今の自分を救うために、そして、これからの未来に選択肢を広げるために、ぜひともご活用いただければと思います。