好きでやっていたことがSNSで情報収集しているうちにモチベーションが下がってしまった~プロとアマチュアの違いとは~



井の中の蛙が大海を知ると途端にビビってテンションが下がってしまうことってよくあることじゃないかと思うんです。
好きなようにやっていたのに、ルールやら正しいやり方やらを知ってしまって窮屈になったり、ライバルの多さに気持ちが萎えてしまったり。
そんなときに役立つ意識が「与える」であり、べたべたな欲求です。

はじめまして。
いつもわかりやすい文章で楽しく学ばせていただいてます。
今回は最近ネットでどう調べても出てこないわたしの気持ちについてお聞きしたく相談させていただきます。

わたしは漫画が好きで、漫画家を目指しています。
ずっと投稿を重ねていていいところまでいきますが、あと一歩が届かない状態です。
それでSNSで漫画の情報を集めたり、漫画創作の動画などをみて勉強したりしています。
そんな中で最近創作の手が止まってしまいました。
手だけでなく心も止まってしまいました。
やる気が起きなくて、自分がなにを描きたいかも描けばいいかもよくわかりません。
ためしに作ってみても面白いと感じなくて自分でお蔵入りにしてしまいます。
そんな時に感じているのは「こんなにたくさんの漫画が世の中にあるし、わたしが描く必要ない」という気持ちです。
自分でもおかしいと思います。もう作品がたくさんあるからとか全体を考えて自分がやる必要あるかどうか決めるなんて。
でももう半年くらいこの気持ちで前に進みません。
漫画は描きたいですが、よほど名作でないと意味がないんじゃないかと思って立ち止まってしまいます。
根本さん、この気持ちはなんなのでしょう?
もし良かったら教えてください。
(Mさん)

情報て時には自分にブレーキをかけるものになり、時にドリームキラーになってしまうこともあるんです。

「知らなきゃよかった・・・」と思うことってたくさんあるでしょう?
彼氏の過去だったり、会社の裏側だったり、それこそ新型コロナちゃん騒動の裏で起きてることだったり。

私も体験したことがあるんですけど、夢中であることに取り組んでいたら知らないうちにけっこういい成績を収めたりします。
そして、それをきっかけにその世界のことをいろいろと知っていくと、実は自分がとっても大きな世界に飛び込んでいたことが分かってビビってしまうんです。

一言で言えば「井の中の蛙、大海を知る」って感じですかね?

中学生の時にはエースで4番で押しも押されぬレギュラーだったけれど、甲子園常連校に入学した途端、すごい奴らと出会って自分なんてたいしたことないと感じてしまい、野球へのモチベーションが落ちてしまった、という話もよく耳にしますよね。

私のクライアントさんにもこんな方がいらっしゃいました。
地元ではめちゃくちゃ有名な美人で、モデル事務所に所属することになって上京したら、それこそ信じられないくらい美人がたくさんいて、それまでの自信が一気になくなってしまった、という。

実は漫画家さんでも、こういう方がいらっしゃいました。
無我夢中で描いて賞に応募した漫画が優秀賞を取ったそうで、それが漫画雑誌に掲載されたんですね。
すると、それを機に全然筆が進まなくなってしまったんです。漫画のアイデアも浮かばないし、無理やり描いていても面白くないし、すっかり自信を失ってしまいました。

Mさんの身にも彼らと似たようなことが起きているのかもしれません。

漫画が好きでたくさん描いてたくさん応募して、あと一歩のところまで行ったんですから、それってすごいことなんですよね。

でも、そこで、その一歩を何とか越えようと勉強し始めると、漫画の世界がこんなにも広かったことに気付いたんだと思います。
もしかすると、今まで自己流で描いていた方法を否定するような記事に出会ったかもしれません。
あるいは、ライバルがめちゃくちゃたくさんいることに気付いてビビってしまったのかもしれません。
また、「漫画家になるなんて簡単なことじゃない」ということを知って、思い切りテンションが下がってしまったのかもしれません。

そうすると、

>漫画は描きたいですが、よほど名作でないと意味がないんじゃないかと思って立ち止まってしまいます。

こんな気持ちになってしまうんですよ。

無理ないことだと思います。

画力や構成力などを培おうと勉強を始めた途端、かえって心が止まってしまうなんて予想外だったでしょう。

で、Mさん、そして、皆さん、こんな相談をされたどんな風に答えるかちょっと考えてみてください。

ある女性は趣味で合唱団に所属していました。歌を歌うことが大好きで、一人でカラオケに行って歌いまくることもあるくらいです。
そして、彼女はその合唱団の定期コンサートでちょっと長めのソロを担当することになりました。そのコンサートには団員の家族だけでなく、地元のひとたちもたくさん見に来てくださるので、ざっと1000人くらい観客が入るそうなんですね。

そうすると彼女は途端に歌えなくなってしまったのです。
今まで友達や団員たちの前では全然平気で歌えていたのに、1000人もの人の前でひとりで歌う、ということがものすごく怖くなってしまったのです。

さて、Mさんなら彼女にどんな風にアドバイスしますか?

皆さんもよかったら考えてみてください。

よく観客をジャガイモだと思え、とか、誰もいないと思え、なんて話が出てきますし、確かにそれも悪くない方法かもしれませんが、私はこんなアドバイスをしました。

「その歌を一番聞いてほしい人って誰ですか?一番その歌を聞かせたい人は誰ですか?」

そうすると彼女はしばらく考えて「お母さん、か、おばあちゃん、かな。おばあちゃん、いつもコンサートを楽しみにしてくれているんです。」と答えられたんです。

「じゃあ、その歌はおばあちゃんのためだけに歌ってみてください。おばあちゃん、ただ一人のために歌ってあげるんです。」

その時彼女は半信半疑な表情をされていましたけれど、後日、「とってもうまく行きました!照明がまぶしくておばあちゃんの顔は見えなかったですけれど、だいたい座っている席は分かっていたので、そこに向けて歌うようにしたんです。そしたら、全然緊張しませんでした。むしろすごく楽しかったです。」と報告してくださったのです。

このお話が今のMさんにもヒントになるかなあ、と思って紹介してみました。

SNSでいろいろ調べていくうちに情報がたくさん入るようになり、Mさんの意識が広がったんですよね。

今まで狭い部屋で暮らしていたのに、急に田舎の広い家に引っ越したら何をどこにおいていいのか、逆に、何がどこにあるのか分からなくて途方に暮れちゃうようなものです。

そうすると、今までは漫画が好きで、漫画を描くのが楽しくて、面白くて、ただただ夢中に描いていたのに、意識が広がったおかげでパニックになっちゃったんだと思います。

でも、そういう世界を知ってしまったわけですから、今更、かつての自分に戻れないですし、どうしていいのか分からなくなってしまったんだと思うのですね。

まさに「知らなきゃよかった」のかもしれませんが、もう後の祭りです。

そんな時にどうしたらいいのか?というといくつかの方法があります。

実はなんでもそうなのですが、「アマチュアとプロの違い」てそこにあるのかな、と思うんです。
私も本を書いているのでよく分かるのですが、初期の頃は自分が書きたいネタを好きに書いていたら、それが本になったんですね。(もうかれこれ15年以上も前の話!)

しかし、それ以降は「こういうテーマで書いてみませんか?」とか「根本さん、最近のトレンドは何ですか?それを本に書いてみませんか?」という依頼ばかりになっていくんですね。

そうすると「ただ書きたいことを思うがまま書く」という段階から、「読者が喜んでくれるような話を分かりやすく伝える」とか「テーマに沿った内容をきちんと順序だてて構成して書く」という段階に変わっていくんです。

もちろん、私が書く本はすべて私が書きたいことを書きたいように書いているわけですけれど、テーマが決まっているわけですから、ある程度の制約条件もかかります。

また、かつては「本を書いて出版する」というところがゴールだったのですが、本を書き続けるためにはそれなりに売れてないと依頼が来なくなるわけですから「本を書いて出版して売る」というプロセスも考えなきゃいけなくなりました。
(私にとっては「売る」という作業も好きな部類なので苦になってないところが幸いなんですけど)

そうして結果的に何冊も書くチャンスをいただくことになって「プロ」になっていったと思っています。

井の中にいた私が大海に出ちゃったようなもんですね。

そのときMさんにとって大切だと思うのは「何のために漫画を描くの?」という意識です。
「好き」なのは漫画を描くうえでの中心的なエンジンなので、ものすごく大事なことなのですが、それ以外に漫画を描く目的って何かあるでしょうか?

誰かを喜ばせたい。
誰かの役に立ちたい。
誰かを笑わせたい。
誰かを楽しませたい。

そういう意識はありませんか?

先ほどの合唱団の女の子が「おばあちゃんを喜ばせたい」と思ったように、Mさんが漫画を描いて、一番それを読んでほしい人は誰なのでしょう?

その人のために描く、というのが一番おすすめかな、と思うんです。

私はこうしてブログやら本やらを毎日のように書いていますが、それは心理学やカウンセリング的な考え方が人生を幸せなものにしてくれると信じているからです。

心理学的な知識を実践することでパートナーシップがうまく行ったり、ライフワークを生きられるようになったりするので、そのための知識、見方、考え方、アプローチなどをご紹介したいんですね。

もちろん、心理学やカウンセリングのおかげで今の自分があるわけですから、自然と熱もこもります。だから、飽きずに20年も続けられているんだと思います。

「自分のため」に漫画を描くのは全然オッケーです。もし、それが目的であれば、きっとMさんはそんなスランプに落ち込んでいないと思います。

ほんとうは「誰かのため」に漫画を描きたいんじゃないかと思ったんですね。
でも、SNSなどから知識を仕入れすぎて、その「誰かのため」という純粋な思いを忘れてしまったんじゃないかと思ったのです。

そして、その「誰かのため」という思いは「与える」という意味でもあります。

人は愛を与えるときに最も力を発揮するものです。
おばあちゃんへの愛が1000人の前で堂々と歌声を披露する力を与えてくれたように。

さて、きれいごとはこれくらいまでにしまして、漫画を描く目的ってもっとどろどろした欲求みたいなものが混じっていても全然OKだし、むしろ、その方が俄然やる気になるのが人間だと思います。

そもそも私が心理学を学び始めたのは「女の子にモテたい、女の子を口説きたい」という一心でした。また、本を出したら「いろんな人に自慢できる!すごいと思われる!」という下心も満載でございました。

今でも「おいしい寿司が食いてえ」とか「沖縄にしょっちゅう旅してえ」などの欲求にまみれて今日も原稿を書いております。

ほんと偉そうなことを言ってる裏で、かなり欲にまみれているわけです。

Mさんの場合は漫画を描いて手に入れたいモノって何があるでしょう?
有名になってちやほやされたい?
印税生活で豪邸に住みたい?
みんなからすごいね!と言われたい?

何でもいいんですけど、そんな欲求も大事ですね!

なのでこの「与える」と「べたべたな下心」がモチベーションを高めてくれると思うんです。
とりあえず、ためしてみてください。


今日の話を無料アプリのvoicyで音声でラジオみたいに聴けます!
 
好きでやってきたのに意識が広がるとテンションが下がってしまう
 

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https://youtu.be/SYcy6aniP70
 

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