価値を伝え続けることで関係性はよくなっていくもの。


人間関係を改善するシンプルな方法としてセミナーでよく採り入れているのがこの方法です。
始めは慣れないし、ボキャブラリも少ないし、苦労することも少なくないですが、継続していくことで関係性がガラッと変わって行く事例をたくさん見聞きしてきました。
分かっちゃいるけどできないことの一つかもしれませんが、意識的にチャレンジする価値はあると思います。

夫婦や恋愛などの男女関係や職場でも、プライベートでも人間関係を良くするならば「価値を見続ける」さらには「価値を伝え続ける」ということが大切だと思っています。

長い付き合いになれば嫌なところも見えてきますし、合わないところも出て来るでしょう。
それに不満を感じたり、文句を言ったりするのもまた自然なことなのですが、そうすると私たちはそこに捉われてどんどん相手の嫌なところを探すようになってしまいます。

私たちは実は「相手をどう見たいのか?」という意志に左右されるところが大きく、一度不満を見つけると、次から次へと問題点を見つけてしまうものです。

そもそもなんで相手の嫌なところが目に付くようになるのか?というと、私たちは皆、自分に対しても問題点やダメなところを探す癖が付いているからで、これもまた「投影の法則」と言えるんです。

それに「防衛本能」のようなものがあって、安全な場所を作るためにその安全を脅かす問題点を探すのは、ほとんど本能のようなものなんです。

だから、ふつうに振る舞っていると相手の嫌な部分や問題点が自然と見えてきてしまいます。

それで、家族も組織も特に意識的な働きかけをしていないと勝手に雰囲気が悪くなっていくのが世の常なんですね。

「放っておくと人間関係は心地よくなくなる」というのは覚えておいていい法則だと思います。

だから、そこはある程度「意識的に」ポジティブな働きかけをしていないと、どんどんその場が嫌になっていくものです。
それがふつうなんですね。

そして、相手に問題点が見つかると「雰囲気が悪いのは相手のせいだ」ということにしてしまいます。
相手が○○だからうまく行かない、という理由を見つけてしまうんです。
もちろん、それは間違ってないんですけどね(笑)

そのポジティブな働きかけの一つが「相手の価値を見続ける、できれば、伝え続ける」ということ。

イヤなところもあるし、ダメなところもあるし、問題点もあるけれど、それだけじゃないですよね?
いいところだってたくさんあるんです。

私も長年カウンセリングをしていて、始めは「嫌だなあ、苦手だなあ」と思うこともあるんです。でも、1時間くらい話をしていると、だんだんそんな嫌な人の中にもいいところが見えて来て、最後は「憎めない奴」になってたりもします。

それは「こういう人の中にもきっといいところがあるんだろう」という視点から話を聴いたり、話したりしているからできることだと思っています。

ただ、ポイントは「続ける」という点。
1回言ったから、10回言ったからいいだろうってことではなく、それを意識的に続けていくことが大事なんです。
1回言われたって人は「ふーん」となって受け止められません。

しかも、日本人は価値を伝え慣れていないことも多く、むしろ、1、2回言われただけでは反発すら覚える人も珍しくありません。
とりあえず「ありがとう」とは言うけれど、全然受け取れない人、多いでしょう?

だから、何度も何度も伝えていくことが必要です。
そのモチベーションは「相手との関係を良くしたいから。いい関係を築きたいから」です。
それを主体的に自分軸で行動することでだんだん関係が良くなります。

ある奥さんが夫婦仲が悪くなったときにこのレッスンを始めました。
ギクシャクしている中で価値を伝えるなんて、勇気の要ることですし、相手だっていい反応を示しません。
「何を今さら」って態度を取られたり、無視されることだってありました。
けれど、種に水をやるように日々ちょっとずつ、相手のいいところを見つけて伝え続けたんです。
そうして数か月が経った頃、旦那さんがいきなり「お前はかわいいところもあるよな」とふとおっしゃったんです。
一瞬、何を言われたか分からなくなりましたが、じわーっと嬉しい気持ちが沸いて来て、「ありがとう!」と抱き着いてしまったんですね。
ちなみにその頃には価値を伝えることは彼女にとっては習慣となっていたので、自然とそれができるようになっていました。
そこから夫婦仲が急激に改善するようになっていきました。

職場でもあるマネージャーが今までは問題点を指摘し、ダメ出しばかりしていたのですが、私のセミナーに参加してくれたことをきっかけに部下に価値を伝えるように意識的に変えていきました。
同時に「ありがとう」という感謝の言葉も意識的に使うようになっていたんですね。
始めは全然反応がなく、むしろ冷たい態度を取るメンバーも少なくなかったのですが、彼は主体的にその行動を続けました。
その結果、数か月後にはその部署の雰囲気が外から訪問してきた人が気付くくらい明るく、風通しのいい場に変わっていたのです。
面白いのは、それを彼も部下たちも誰も気づいていなかった、という点。
彼も別のマネージャーから「○○さんのチームは最近、活気があっていいね。雰囲気が明るいし、そんなに業績がいいの?」って会議のときに指摘されて気付いたほどでした。
気が付けば業績も上がっていましたし、部下たちの前向きな発言もどんどん増えていたのです。
そして、同時に部下から上司である彼に対する感謝や価値を伝えるコミュニケーションも増えていました。
それはあるメンバーが異動になったときに一気に表面化します。
送別会の席で、そのメンバーは「ここを離れたくない」と発言し、思わず泣き出してしまったそうです。同時に、他のメンバーたちは移動する彼のために応援の色紙まで内緒で用意していて、そのマネージャーが今まで参加したどの送別会よりも感動的なものになっていました。

あまり褒められたり、価値を伝えられる機会ってなかなかないと思います。
褒めることがいいことか悪いかって議論もありますが、全くないよりはあった方がいいのが現実だと思います。

だから、伝える側も、受け取る側も慣れてません。

伝えようと思ってもなかなか言葉が見つからないものですよね?
でも、それはボキャブラリーの問題だと思ってください。
相手に価値がないのではなく、それを見つける目が養われていないし、それを表現する言葉をまだ習得していないと解釈していいんです。
いきなり海外に行って英語で話しかけられても、うまく表現できないように。
だから、繰り返しそれを意識することで自然とボキャブラリは増えて行くものです。

そして、言われる側も慣れてないわけですから、すぐに受け取れません。
自己肯定感が低い人ほど、褒められたときに「否定」や「疑い」を持ちます。
「そんなことありません」とか「何か企んでいるんですか?」という風に。
でも、何度も何度も伝えられると徐々にその気になっていきます。
そして、伝えられて嬉しい気持ちがした分だけ、今度は自分も伝えることを始めていきます。

例えば、「君の作る書類はほんときちんとまとまっていて読みやすいよ」と伝えるとするでしょう?
でも、それを作った「君」は、その自覚もないことが少なくありません。
むしろ、全然うまくできてない、言いたいことがまとまっていない、と厳しい目で自分を見つめていることもあるでしょう。

しかし、それを伝え続けることで、その「君」は徐々に自信を持つようになります。
自信を持つと人は「もっといいものを作りたい」という前向きな動機を持つことができます。
その結果、さらに質のいい資料があなたの元に届くようになるのです。
でも、そのためには「伝え続ける」ということが肝心です。

できてない、足りないところを指摘するよりも、できてるところ、足りてるところを見つけて伝えることが相手のモチベーションを上げることに繋がるのです。

私のセミナーでは価値を伝える、受け取るという実習をよくやります。
もちろん、私だけではなく、多くのセミナーでその実習は採り入れられているもので、私も何度も受講したことがあります。

例えば2分間、目の前の人のいいところを見つけて伝え続けてください!という実習をします。
その時の2分間は慣れていない人にとっては伝える側も受け取る側もものすごく長く感じます。
冷や汗が出て来たり、恥ずかしくて顔が真っ赤になったりします。
まあ、冬の時期には温まりますからいい実習と言えるんですが(笑)

伝える側も必死になって相手のいいところを見つけて伝えようとします。でも、時には言葉が見つからなくて沈黙が訪れることもあるのです。
でも、何とか見つけよう、伝えようとする姿勢にとても意味があるんです。

「受け取る側の人は、相手が沈黙になったときに『ああ、やっぱり私にはいいところなんてないんだ』なんて得意の自己否定的解釈をしないでくださいね!」ってお願いしています。
考えてるだけ、言葉を探してるだけであって、あなたに価値がないから沈黙しているわけではないんです。

一方、受け取る側の人は必死に否定したくなりますし、言い訳したくなります。
中には「私の何が分かるのよ!」とか「なんでそんなことが言えるんですか!」と質したくなったりします。

だから、私はこんなお話をします。
「その伝えてくれた価値の言葉、一つ一つはあなたが納得できるものではないかもしれません。でも、この実習で受け取るのは相手の気持ちです。
どんな思いであなたに価値を伝えてくれているのか?その気持ちに目を向けてください。
その人は仕方なくあなたに価値を伝えているのでしょうか?それとも、必死にあなたの価値を探して伝えてくれているのでしょうか?
その言葉に納得できなくても、その思い、つまり、そこにある愛を受け取ろうとしてみてください」と。

受け取る側は慣れていない分だけ、そして、自己肯定感が低く、自己嫌悪が強い分だけ否定したくなりますし、何より恥ずかしくなります。
その恥ずかしさがあると、意識を自分に向けてしまい、相手の思いも拒否してしまうようになります。

その自分が感じている恥ずかしさよりも、相手が伝えてくれる愛に目を向けることの大切さに気付いていただきたいんです。

そうすることで恥ずかしさを越えて、相手の愛を受け取ることができるようになります。

このレッスンはあらゆる人間関係に有効な方法だと思っているのでセミナーでいつも使っているのです。

価値を伝え続けること、その大切さに気付いたら、まず自分から始めてみることです。
相手がしてくれないからしない、という他人軸な考え方を手放して、まず自分から。

心が折れそうなときは、自分で自分をちゃんと褒めてあげてください。
そして、先ほどお話ししたように「いい関係を築きたい」という思いを思い出してください。
そうすることでモチベーションも継続していきます。

価値を伝えることは愛を伝えること。
価値を受け取ることは愛を受け取ること。

それで人間関係がどんどん変わって行きます。
まずはあなたが試してみたい関係性にその方法を導入してみてください。
数か月後には今とは違う人間関係がそこにあるはずです。


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