「自分」という乗り物をちゃんと乗りこなせていますか?



エネルギッシュで情熱的な人ほど狭い檻の中では生きて行けず、暴れたり、問題を起こしたり、引きこもったりしてしまいます。
自分という乗り物をうまく乗りこなしていくことが幸せになる秘訣なのではないでしょうか。

いつもお世話になっております。リクエストをお願いします。

私の家族は、父は7歳の時から単身赴任のち実家に戻り、その後20年くらい私の人生からは消えています。
そのため、ヒステリックババア、もとい情熱系武闘派の母と、4人の子供で生活していました。母を笑顔にするための努力も空しく、鉄拳制裁やら連帯責任で徐々に子供達は追い詰められ、兄が思春期にぐれました。
私は自分の思春期入口に母や兄のヒステリーや暴力に「No」と言いましたが、余計に扱いや暴力がひどくなってしまいました。母は怒りを感じてから手が出るまでやや猶予がありますが、兄はいきなり暴力に発展する気がします。
今書いていて、「自分を愛するとか言ったって、状況はひどくなるばっかりだったじゃん!」という気持ちと、でも家族の気持ちを軽くしたくて望んで暴力を振るわれていた自覚もあって、苦しいです。自分をよしよししてあげ続けようと思います。
質問なのですが、根本さんのおかげで最近男性って優しいなーって感じることが多くて、父の愛情も感じるし、兄も今では幸せな家庭を築いています。不思議なんです。なんでこんなに優しい男性たちが、暴力を振るっちゃうんだろうって。
感情の扱いが苦手だから?会話でうまく伝えられないから?優しくて女性からの攻撃をぎりぎりまで我慢しちゃうから?
男性を助けるためじゃなくて、理解するために、改めて説明していただけたら嬉しいです!よろしくお願いします。
(Mさん)

別に暴力を肯定するわけではないのですが、許しと理解を進めるうえで、なぜ彼らが暴力に走ってしまうのか?という心理については知っておいて損はないと思うんです。

とはいえ、家族を支えるために身を投じたMさんの愛には敬服します。
自分をよしよしし続けることはすっごく大切でいいことですね。
その分だけ、優しさも受け取れるようになります。

お父さんの愛情を感じたり、兄の優しさを感じられるのもMさん自身が優しさを受け取ることを自分に許可したからだと思うんです。

常識的に考えるとおかしな話だと思われるかもしれませんが、自分を愛し、自分に優しくすることができた分だけ、周りからの愛を受け取れ、優しさを感じられるようになります。

これは職場の人間関係や家族、夫婦などの問題を扱っていく上で重要な示唆を与えてくれますね。

「自らに与えたものを、周りから受け取れる」という法則、ぜひ、覚えておいてください。

それは優しさや愛情はもちろん、豊かさや夢の実現などにも言えることです。
だから、「自己肯定感」がとても大切になってくるのです。

そういう体験をしてきたので私はいつも「すべての問題は自作自演」という風にお伝えしています。

さて、Mさんから頂いたネタの本題に移りましょう。

>質問なのですが、(中略)なんでこんなに優しい男性たちが、暴力を振るっちゃうんだろうって。
>感情の扱いが苦手だから?会話でうまく伝えられないから?優しくて女性からの攻撃をぎりぎりまで我慢しちゃうから?

どれも正解だと思います。
女性は言葉を使うことができます。また、感情が豊かでその表現力に優れています。
しかし、一方自立的な男性になればなるほど、言葉で気持ちを表現することができません。
なぜかというと、そういう学びをして来なかったから、と言えるんです。

この辺はよく少女漫画と少年漫画を比較すればわかるよ、とお伝えしています。
小学校女子が読む漫画はかなりの頻度を割いて恋物語が描かれています。揺れる気持ちや不安な思い、そして、喜び、悲しみを、漫画やセリフを通じて感じられます。
それはアニメにしても同じことですね。

同世代の男子にはその漫画のどこが面白いの?と思って理解できません。

ちなみに大人になった男性が少女漫画やアニメにハマってオタク扱いされてる現代ですが、その心理的な側面を見れば、子ども時代には理解できなかった登場人物の感情の機微が、大人になってようやく理解できるようになってその面白さにハマる、とも言えるのです。

一方、少年漫画に出てくるのは戦いやスポーツもの、また、情報量や知識を集めていくことに面白さを感じるものが多いのです。
それは早くも男女で心理的な性差が生まれている証でもありますね。
大人になっても男性はそういうことを好みますから。

ところが、思春期になると男女ともども精神的に大人になり始め、体も心もそのエネルギーがどんどん大きくなります。
一般的には「性的エネルギー」がもっとも大きくなるわけで、男女ともども恋愛やセックスに興味を持つようになっていきます。
これは本能的なものですね。

ところが、そうした膨大なエネルギーを抱えているにも関わらず、それを解消する方法が見つからないと行き場を失ったそれが暴発するようになってしまいます。

始めは情緒不安定になり、感情的になっていくものです。
それを表現できる女性(女の子)は、泣いたり、怒ったり、わめいたり、笑ったりといった方法で解放されます。
しかし、それでも束縛があるとヒステリックになったり、暴言を吐いたりするようになっていきます。

一方、男性(男の子)はそのエネルギーの解放の仕方が言葉や感情表現では難しくなります。特に力がどんどんついていく年代ですから、その解放し切れないエネルギーは時に暴発して、態度としての暴力や暴言になっていくのです。

それが、例えば学校で、例えば家庭内で、その自由を奪われる状態になったり、束縛されて不自由な環境に置かれたりしたらどうなるかは想像に難くないでしょう。

まるでジャングルからいきなり動物園の狭い柵に押し込められた猛獣のようなものです。

特に日本の場合、学校での画一的な教育もありますし、社会的にも比較的固有の価値観がありますから、そこにハマらない人たちは自分のエネルギーを抑圧し、持て余すようになるんです。

つまり、学校システムや社会システムにたまたま偶然マッチした一部の子どもたちは勉強なり、スポーツなりでそのエネルギーを発散できるのですが、反対にそのシステムに合わない(適応しない)人たちは、発散できないエネルギーをどう扱っていいのか分からなくなるんです。

だから、最初はいい子にしたいので抑圧して自らを牢屋に閉じ込めます。
その作戦が成功した人は、表面的にはクールで優等生、けど、内面的にはものすごいエネルギーの抑圧があり、一般的な成功(有名大学→一部上場企業)を収めたとしても常に物足りなさや葛藤を抱えます。

一方、その作戦が失敗して、牢屋に閉じ込めた内なる自分が暴れ出してしまうと、いわゆるドロップアウトすることになっていくのです。
その一つの表れが暴力なんです。
そうした暴力的な態度の他にも、過食嘔吐などの摂食障害、激しい自己否定による引きこもり、恋愛依存症的な男女関係から、各種病気と言われる症状など、様々な現れ方をします。

とまあ、ここまで教科書的に書いてきましたけど、要するに「自分のエネルギーを持て余して暴発した結果」がお兄ちゃんの思春期の態度だった、と言えるわけです。

それが彼らも大人になり、そうした経験から視野が広がり、自分の生き方を比較的自由に選べるようになりますし、また、エネルギーの総量も20代前半でピークを迎えますので、だんだん「自分のエネルギーを扱えるように」なっていきます。
つまり、自分自身という肉体を乗りこなせるようになっていくのです。

そうすると、自分に合った生き方ができるようになるわけですね。

だから、かつては札付きの不良だった人が大人になってものすごくいい奴に変わる、という事例も数多くあるわけです。

ちなみに自立系武闘派女子の中でも過激派と呼ばれる情熱女子の中には、30代になっても自分という暴れ馬をうまく乗りこなせていない方々がいらっしゃいますね。
それは私のブログを通読されている方にはよくお分かりかと思います。

私がライフワークについてより研究したくなった背景には、そうした「生きにくさ」を感じる人たちと多く出会ったからです。
自分のエネルギーを封印し、閉じ込めた方々や、逆に持て余してどうしていいのか分からずに問題を作り続ける方とお会いするに従い、「既存のシステムに自分を合わせる」という従来の生き方から「自分に合わせた生き方を構築する」ことが幸せになる方法じゃないか?と思うようになったからなんです。

私たちは「自分」という乗り物に乗っている生命体です。
「意識」や「心」がどこにあるかってまだ分かっていません。
脳でしょ?と思われるかもしれませんが、最近は細胞の一つ一つに意識がある、という話もあり、いろんな説があります。

だから、私たちは体も心も含めた「自分」という乗り物に乗っている存在だと解釈すると、自分のことをよく理解できるようになります。

競馬好きな方はお分かりかと思いますが、サラブレッドの中には短距離が得意なものもあれば、長距離専門の馬もいます。芝がいい馬、ダート(砂)の方が走る馬もいます。
また、気性が荒く騎手をいつも振り飛ばしちゃう名馬もいれば、優等生的な馬もいます。

だから調教師はその馬が最も実力を発揮できる環境を整えてあげるわけです。

私たちも「自分」という存在が最も実力を発揮できる環境を調教師のように選択していくことが求められています。
そして、その選択肢は時代と共にどんどん増えていて、自由度が増しています。

だから、今まで自分のエネルギーを持て余していた人たちも幸せな毎日を贈れる可能性がどんどん増えているんですね。

さて、Mさんのご家族は少なくてもお母さんを見る限りものすごくエネルギッシュかつ情熱的な一族だと思われます。
それゆえに、そのエネルギーを解放する方法を自分なりに見つけるまでは暴力という結果に訴えざるを得なかったのかな、と思うのです。
もちろん、暴力を良いものだというつもりはありませんが、理解するための一つの考え方として受け止めて頂ければ幸いです。

そんな乗りこなし方についても考え、学べるセミナーはこちら。

東京:1/20(土)10:00-18:00 問題を解決して幸せな自分になるための1DAYセミナー(神楽坂)
https://nemotohiroyuki.jp/event-cat/22297


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