出張帰りの日。
家に帰ると「おもちぃ~」と愛しの恋人がかけよってくる。
感動の再会。
抱き合う二人。
熱い抱擁。
そして、不在を詫びる父。
「いいの、今一緒にいられるから」そう溜息を着いて甘えてくる恋人。
「もう、離さないよ」さらにぎゅっと抱きしめる父。
さて、どこからが嘘でしょうか?
<正解>
出張帰りの日。
家に帰ると「おもちぃ~」と愛しの恋人がかけよってくる。
しかし、「こっち来て~」と走り去っていく恋人。
玄関先で、呆然となる父。
「なにしてんの。早く、こっち、おいで」乱暴に叫ぶ娘。
「再会のぶちゅーは?会えて嬉しいでしょ?」と詰め寄る父。
「そんなん、いつものことやん。はやくはやく」連れない娘。
恋心とは逆境において燃えるもの、そう悟った休日の昼。
さて、妻がちょっと体調を崩しているとの報を受けていたので、奥さんを休ませてあげるために娘を連れ出そう、という計画を立てました。
もちろん、妻のためであって、鬼のいぬ間に娘とラブラブデートを企てたとか、そういうわけではありませんから、念のため。はい。
行き先はジョイフル。
そう、九州地方を中心に展開するファミレス。
なぜ、その店なのか?と疑問に思った方は、日曜朝8:30からテレビ朝日系列の番組を見ると良い。
さて、そのファミレス。大分県に本社があるせいか、大阪府内に4店舗、それも我が家からは遠いところにしかありません。
あれこれと調べてみたところ、お隣兵庫県の西宮北インター近くに、うちから1時間もあれば行けるだろう、と思われる店舗を発見。
因みに、我が家から車なら数分のところに「ガスト」があります。
チャリでも5分くらいです。
それなのに、何で1時間もかけて遠いファミレスに行くわけ?と思わないで頂きたい。
私の愛は、その程度の距離など軽く越えていくのです。
さあ、出発だ、我が娘よ。
ということで、チャイルドシートに子どもを乗せて、父娘二人のドライブである。
しばし、無言。すでに会話がない二人。沈黙流れる車内。
「昨日は何してたの?」
「ポポちゃんとおままごとしてた」
「・・・」
「・・・」
乾いた会話が続く。
きっと、奴は、照れているんだろう・・・勝手な妄想により沈黙に言い訳を作る。
下道でも良かったのだが、早く着けるように高速に乗る。
中国道は空いており、すいすい流れて、我が家から40分足らずで目的地に到着。
明らかに店員が足りていない店内に入り、しばらく待たされた上、禁煙席に着席。
メニューを見る。
・・・。
プリキュアらしき姿は一つもない。
ピンポンを押す。
店員が足りておらず、かなり待たされる。
「あのー、プリキュアの・・・」言い終わらずに、慣れた口調で店員が言う。
「すいません。景品を切らしてしまっていまして、今ないんです」
絶句・・・。
何のために高速を飛ばしてきたのか・・・。
文句を言うと思ったが、父の絶望を察した娘、何も言わず、「じゃあ、これでいい」とお子様ハンバーグランチをオーダー。
父、肩を落としつつ「チーズハンバーグとサイコロステーキ」をオーダー。
ぎこちない時間。
「なあ、ジュース取りに行こうか」
「う、うん。行く」
乾いた会話。
ごりごりごり。持ってきたノートにお絵かきを始める娘。
「はい、パパ、これ。」とメモ用紙の束。
「パパはこれに好きな絵、描いて」との命令。
あれこれとメモに落書きをしているところに2人分のランチ、襲来。
まずは食事。ファミレスでランチなんてめちゃくちゃ久しぶりである。
娘もなぜかパクパク食べている。珍しい。
食後、プリキュアに変わるプレゼントをもらって自宅へ戻る。
気がつけば店の周りは絵に描いたような郊外の住宅街。
瀟洒な一軒家が立ち並ぶ一帯でした。
帰りはのんびり下道で。
しばらくすると口をあんぐりあけて寝始める娘。
道はすんなり流れ、迷うこともなく、自宅に到着。
案外父ってのは、これだけでも嬉しいものだと気付いた休日。
ドライブはそもそもストレス発散だし、そこに娘がいてくれたら、それだけで倍は癒されると気付いた休日。
切ないとか、寂しいとか、言うな・・・。
次回はちゃんと景品が補充されてることを確認してから行くから。
え?あ、そういうことじゃない・・・?