人生に無駄なことなど何もない・・・と気付いたできごと。



日本語を覚えたアメリカ人よろしく、立て板に水のごとく変な日本語をしゃべり倒す幼児、2歳9ヶ月。
子どもらしいきーきー声で、様々なできごと(ブランコに一人で乗ったのよ~)から要求・ニーズ(おなか、すいてきたよ~なんか食べたいよ~)、ネタがないときには創作してまで(きょうポポちゃんがリトミック行くって言ってたのよ~)、しゃべり倒す幼児、来年は幼稚園。


しゃべることを職務の一つとするパパにはその溢れんばかりの言葉の羅列にひたすら羨望の目を向けてしまうのである。
そして、ちょっとでも気をそらしてテレビを観ようものなら「パパ~、こっち見てよぉ~。テレビ見ないでよぉ~」と姿勢を正される始末である。
以前は「話を聞いてるふりして本を読む」という離れ業も習得していたのだが、昨今は奴も進化して、本を読む手にそっと触れるな否や「いやよぉ~、今は読まないのぉ~、ここに置くのよぉ~」と即座に閉じられてしまう。
よほど直立不動で聞いてやろうかと思うくらいの厳格さで監視されているのである。

そんな態度はもちろんパパだけでなくママに対しても向けられ(怖れを知らないということは素晴らしいと思う)、ママいわく「もう、付き合いきれないわ・・・。パパもようやるねえ」と嘆くほどになっている。
普段はのんびり気長に構えて生きてるママにそこまで呆れさせるほどの弁なのである。

しかし、そう言われてふと気付いたのだが、確かに我が家は奴が寝ている時以外は、食事中すらずっと幼児の話し声・叫び声もしくは泣き声がこだましているのだが、僕としては一向に不都合や苦痛を感じない。
普通にかわいいなーとヨダレを垂らすだけである。
でも、基本的に音にはけっこううるさい性質なのに・・・とふと考えて思いついた。

そういえば、僕は古来よりずっと、こういう環境にて育ってきたのだ。

思い起こせば娘が台頭するまでは、家に帰れば妻が今日一日あったことを仔細に報告してくれ、少しでも他に気をそらせば「ちゃんと聞いてるの?」とツッコミを入れられていた。もちろん、今も同様のことが行われているのだが、現在は幼児の方が圧倒的に制空権を握っており、その相対的比率が変わったに過ぎない。(もちろん、もっとも減っているのはパパの会話権である)

さらに思い返せば、実家に帰ると、温泉へ行ったり、うなぎを食べるなど、上げ膳据え膳アッシー付きの生活をさせていただいているのであるが、その間中、母殿は最近のゴルフのスコア、会社のこと、自分の友達のこと、妹達のことなどをずっとしゃべり倒している。もちろん、ちょっとでも車窓の景色に目を奪われれば「ひろちゃん、聞いてるの?」と乗り出される。

さらに振り返れば、実家で過ごした学生時代。家に帰るとキッチンでは母殿と上の妹が話をしてるか、ケンカをしてるかのどちらかで、やはりその上の妹も僕を見つけると学校のこと、友達のことなどをずーっと固有名詞付きで話してくる。そこで、ちょっとでもテーブルの上のカラアゲに気を取られるたりすると「お兄ちゃん、聞いてるの?」と一括されるのである。

そういえば、昔付き合った恋人も同様のキャラの持ち主であり、また、普段仲良くしている友人の中にもやはり同様の性癖を持つモノが少なくない。
思わず、「いったい、おれはどんなカルマを背負ってるんだろう・・・」と意識が遠のきそうになるところである。

が、しかし!そんな言葉の洪水を浴びる立て板の人生を歩んできたのであるが、これらの苦行もすべてが愛娘との絆を深めるための布石であったとすれば、人生、何も無駄なことなどない・・・と思えるのである。

そうして、今日もパパは娘のファンタジックな物語に耳を傾け続けるのである。
もちろん、まだその修行の成果は十分に出ているとはいえないのが哀しい。

・・・とここまで書いてふと気付く。

このブログは幼児を除く布石の皆様に読まれているわけで、この記事に対する感想・苦情・嫉妬・不満・要望・要求などをやはり一方的に聞かされるのであろうなあ・・・と思うと、自ら虎穴に入るような無謀な記事の投稿に微かな躊躇を感じてしまうのである。

やはり修行はまだまだ続くようである。

#なお、うちの奥さん並びにその親族の皆さんからは一様に「ブログの書き方を観ると奥さんがとても怖い人みたいに見えるよねー?」とやんわり苦情を頂いていたのであるが、お客さま何人かに調査してみたところ「本当に怖かったら、ああいうのは書けないですよね?」とか「むしろ、ほんわかしていて仲がいいんだな、と思わされます」とか「奥さんのこと、とても愛してらっしゃるように見えます」とか好意的なご意見を多数頂いた。

(一部、その質問をするな否やじっと僕の目を見つめ、しっかり手を握って賛同の意を示してくれた同志(既婚男性)が居たことも念のため記しておく。なお、彼のプライバシーと身の安全のため、詳細を尋ねるのはお控え願いたい。)


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