息子くんが自転車に乗りたいというので寒い中、近くの公園まで一緒に行くことにした。
息子は自転車で、パパはランニングやウォーキングでいい運動になる。気がつけば公園内を3㎞ほど走っていた。
当初の予定ではこのあと家に戻り、オンラインスクールの原稿や本の執筆、さらにはセミナーの告知などの書き物に時間を割く予定であった。妻がセミナーを受講するため外出していたから、晩御飯も冷蔵庫にあるもので何かしら作るつもりであった。
しかし、運動して体が暖まると同時に日曜日なのにBBQができる広場はがらがらであることに気が付いた。さらには過日の台風でなぎ倒された木々がいい感じに乾いていてそこらじゅうに薪が転がっているような状態であった。
しかし、すぐに帰る予定だったので何ら準備はしてきていない。そこでFacebookを通じて近所に住む盟友、岩橋くんを呼び出すことにした。
さすがは暇人である。すぐさま道具を詰めこみ駆け付けてくれたのである。しかも、ポットとコーヒーまで持参する気合いの入れようである。もやは尊敬しかない。
やはり火はいい。途中、岩橋くんと息子くんはカップラーメンなどを買い出しに行ってくれた。
どうして野外で食べるカップ麺はこんなにも旨いのだろう?
しかし、さすがに冷えてきた。本来の予定はすでに狂っているのだけど、ここで戻れば軌道修正ができる。
しかし、焚き火のあとは温泉に浸かる、という王道が私たちの心を誘惑する。そして、私たちはその手の誘惑にまことに弱いメンタルを所持している。
結果、最近、新装開店した尼崎の湯の華廊に男三人で向かうこととなった。
食塩泉のガツンと熱い湯は冷えた体を心地よく包み、温めてくれる。
風呂上がりは冷たい飲み物が心地よいほどに仕上がったのである。
さて、帰路に着こう。このあとは家で何かしら作る予定である。が、喉の乾きは別の飲料を欲している。子供たちに聞けば異論はないと言う。
腹は決まった。
家に戻ると学校のレポートをやるはずが、志半ばでやる気が失せ、ほとんど遊んで過ごしていたという娘も連れてチェーン店の居酒屋に向かう。
温泉上がりのビールはなんてうまいのだろう。
こうして当初のもくろみとは全く別方向に進んだ一日が過ぎていった。
帰り道、「明日、提出なのにどうしよう」と娘は言い、「明日までに原稿を書かなきゃいけないのにどうしよう」と父は言った。
似た者同士だね、と傷を舐め合いながら家に戻ったのであった。