優しくない自分はセラピストとして開業してはいけないのか?



優しいって難しいんです。
みんなが知っている言葉だけど、なんとなくこんな感じってみんながあいまいにとらえていて、だから、いろんな優しさが存在する世の中ですよね。
そして、優しさがない人っていないし、それを比べたり、定義づけしたりするからおかしくなっちゃうと思うのです。

根本先生、いつもためになるブログをありがとうございます!
今回はどうしたら人を愛せるようになれるのかを、ぜひご教示頂きたくリクエストさせて頂きます!
私は6年ほど前に仕事のストレスから心身に不調を来し、20年ほど勤めていた仕事(病院)を休職。その時にあるセラピストの方と出会い、救って頂き、大変感銘を受けて、自分もセラピストとしてやっていこうと決め病院を退職しました。
早く自分で開業したいと思い頑張ってきましたが、人を愛するといういちばん大事でとてつもなく難しい大きな壁にぶち当たっております。。
昔から優しくない自分が嫌いで、優しい人を見るといいな~と思っていました。
優しい人は生まれつき優しいんだろうとも思っていました。
でも尊敬する師匠に『普段から人に優しくしていなくて、施術の時だけ愛を持って施術するなんてことはできるかな?』と言われ深く納得したと同時に私には無理なんじゃないかと心折れそうです。
意地悪な上司や、働かず横柄な先輩。たぶんそういう人達こそ沢山の愛情を必要としているんだろうとは思うのですが、優しくできません。
このままではいいセラピストにはなれないし、自分を嫌いなままです。
いったいどうしたら好き嫌いせず多くの人を愛せるようになれるのでしょうか?
(Tさん)

そんなことできるんですかねえ?

>意地悪な上司や、働かず横柄な先輩。たぶんそういう人達こそ沢山の愛情を必要としているんだろうとは思うのですが、優しくできません。

ふつうそうじゃないっすかね?
そんな人たちに優しくしなきゃと思うなんて聖人君子でも目指していらっしゃるんでしょうか?

と率直な疑問が湧くのですけれど。

そもそもそんな風に考えるTさんには優しさがあると思うし、仕事でストレスをため込むってことは優しいからかもしれないし、優しくないと思ってしまう理由が知りたいですよねえ?

いきなり哲学的な質問をしてしまうのですけれど、ここでTさんの言う「やさしさ」とは何を示しているのでしょうか?

丁寧に笑顔で受け答えする、とか、相手の様子をうかがって気になったところがあれば声をかける、とか、相手の気持ちを汲んで行動することができる、とか、相手をとことん受け入れて肯定してあげる、とか、いつも相手のいいところを見て励ましてあげる、とか、時には敢えて怒ってあげる、とか?

Tさんが「優しくない」と感じるのはどんなところなのでしょうか?

そして、セラピストをしていくには多くの人を愛せないといけないのでしょうか?

・・・という風にとても抽象的なテーマになっちゃうんですよね。

Tさんの言う「優しくない」というのが、人にネガティブな印象を与える冷酷さのようなものなのか、ツンデレのツンなのか、態度には表せないけど内側に深いやさしさを持っていて分かりにくいだけなのか。

客観的指標がなく、自己判断に頼るしかないこうした要素は時にして真逆の判定を出しちゃうことも多いものです。

よく例に出しますけれど、私のクライアントさんに「モデル事務所に所属し、各コレクションにも参加しているけれど、自分のことをブスだと思っているモデルさん」がいました。

思わず「え?鏡見たことある?」と聞き返してしまいました。
まあ、たしかにかわいいというよりきれい系だと思いますけど。

でも、彼女の話を聴けば、そりゃあモデル事務所ってのは全国から選りすぐりの美女が集められているわけで、その中に入ってしまえば自分の美しさに自信がなくなっても仕方ないかな、と思うところもありました。

このきれいとかかわいいってのも客観的指標があるようでない、自己判断によって決められるものですよね。

だから、「まあ、その事情はよく分かるけど、世間に向けてはそう発信しないほうがいいよね」というような話をしました。

つまり、Tさんの基準によって判断される「やさしさ」ですから、それがTさんにとっては真実でも、客観的事実とは限らない!ということです。

これ、ものすごく重要です。

そして、この件については引き寄せの法則みたいなものも働きまして、「やさしくない」と思っていると「やさしくない」と感じるできごとにやたら遭遇しやすいものです。

だから、「ほら!あたしは優しくないでしょ!」と思ったりもします。

また、「優しくない」と自分のことを判断していると、「優しい人だったらあのときこういう行動をするはずだ」なんて反省会を開くことが常になるもんです。

そして、敬愛する師匠にそんなことを言われてしまったらもう確定ランプが灯ったようなものじゃないですかー。

「ああ、あたしは優しくないんだわ!」との思い込みがさらに強化されてしまったわけですね。

けど、「まあ、それもほんまかどうか分からんし」というのが私自身の見解です。

こういう話の難しいところは客観的指標がないばかりか、あたりまえの言葉過ぎてみんなあまり深く考えないってところにあるものです。

「優しい人」って言えば、なんとなくみなさんも自分の周りの優しい人を思い浮かべるでしょうし、その人のどんなところが優しいかと聞かれたら、体験を交えてそれなりに説明できると思います。

そのとき、優しい人がAさん、Bさん、とふたり思い浮かんだとき、じゃあ、Aさん、Bさん、それぞれが同じようなやさしさかと問われたら「いや、同じではないねん」と答えられると思います。

じゃあ、Aさん、Bさん以外には優しい人はいないか?っていうと「優しい人っていうとまずその2人が思い浮かぶねんけど、みんなそれぞれ優しいところはあるねんで」と答えられるかと思います。

たぶん、多くの方が同じような反応をされると思います。

つまり「優しい」という言葉で集約される行動、思考、感情(思い)は非常に意味が広いのです。

「あいつはな、照れ屋だからあんまり表にゃ出さねえが、心の内はすげぇ優しい奴なんだぜ?」という場合もありますし、「あいつは優しさが服着て歩いているようなもんだ。あいつにかかわった奴はみんなその優しさに感動するってもんんだ」という場合もあるでしょう。

さらには「あいつは普段愛想もねえし、厳しい師範として通ってるが、それも弟子たちを思うやさしさなのかもしれねえ」なんてこともあるし、「あの男はな、外ではみんなに優しくしてるが、かみさんや子どもたちに対しては偉そうな態度ばっかりらしい。見せかけだけの男だのぉ」なんてこともあるでしょう。

つまり、そんな簡単に優しいだの優しくないだのって言えないわけです。

だから、Tさんもそない自分を否定せんと、「自分の中にも優しさがあるんだろうなあ」くらいに思ってた方が良いかと思います。

優しさは人それぞれ。でも、それがない奴もいねえってことで。

でも、なんでTさんは自分を優しくないと思うのでしょう?
何があってそう思うようになったんでしょうか?

また、でも尊敬する師匠に

>『普段から人に優しくしていなくて、施術の時だけ愛を持って施術するなんてことはできるかな?』

なんてことを言われてしまったわけですが、これは何を見てそう思われたのでしょうね?

後輩たちをパシりに使い、説教しまくり、弾圧しまくりって中でお客様にだけ優しく接しようとされてるの?

なので見方を変えて「あたしの優しさはどう表現されているんだろう?」という風にとらえたほうがいいと思います。

自分なりのやさしさ。
自分なりの愛し方。
自分なりの愛情表現。

これは正解なんてなくて、自分なりのものです。

例えば、セラピストではないですが、メンエス嬢の話です。

彼女、愛想もなければ、親切でもなく、淡々と仕事をこなす職人系の嬢らしいんですね。
だから口コミには「冷たい、優しくない」と書かれることも多いそうですが、けど、長年エステシャンをやり、かつ、いろんな主義を学んできてるので、相当なテクニシャンらしいんです。

しかも、スタイルがとても良い上に、エッチなので長らく店舗のNo.1なんだそうです。

まあ、カウンセリングをしていても感情の動きもあまりなく、ぽつぽつと話をされるのですが、その分、ときどき見せてくれる笑顔にギャップ萌えで、彼女を指名する男性もそれにやられてるんじゃないか?というくらいです。

カウンセリングに来られるのも恋愛の相談もあるんですけど、もっと腕を磨きたい、もっと技術を付けたい、という思いからでした。

根っからの職人っすねえ、なんて話をしています。

彼女は優しくないのか?優しいのか?という議論はたいへん難しいです。

より技術を上げてお客様に喜んでいただきたい、という気持ちは優しさと言えます。。
けど、同時にお客様を実験台のように見ている冷静さもあります。

男性不信が強いので、心を動かされぬよう、敢えてやさしさを封印しているフシもありますし、もともと感情表現が苦手で気持ちが伝わりにくいという面もあります。

なかなか結論は出せません。
やさしいっちゃやさしいし、冷たいっちゃ冷たいです。

でも、それも彼女の個性だし、全然問題ないと思います。

だから、優しくできないからといってセラピストに向いてないとは思えないですし、また、Tさんが意識的に優しくなろうとする必要もないと思っています。

「これがあたしだ!」という風に思っていればいいと思うんですけど、あかんのですかね?

むしろそんなことでセラピストとして開業したい思いに水を差してしまう方がもったいないと思うし、それで自信を失ってモチベーションが急降下するのは、ものすごく残念なことだと思います。

セラピストって別に「優しさ」を売ってるわけじゃないですよね?
優しい方がいいかもしれんけど、それだけが要素じゃないですよね?
そもそもTさんが優しくないのかは全然分かりませんし。

優しいかどうかで開業を迷うってのはちょっと話がずれてるような気がします。

例えば、今では「根本先生ってとっても優しいですよね!ほんと素敵!惚れちゃう!きゃー!!」と日々嬌声を浴びている根本先生ですけれど(たまには見栄を張りたい)、そもそもは「無愛想」「冷たい」「何考えてるか分からない」等のお声をいただいてきました。

今でも私のクライアント様たちは「ああ、分かるー。全然あたしの話に興味なさそうだもんねー」「そうそう、ほんと『聞いてんの?』とかよく思っちゃう」「分かるー。あたし実際、そう聞いてみたことあるよ。そしたら意外と聞いてるらしいよ。」「ええー、でも、もうちょっと優しくしてほしいよねー。常連なんだからー」「そう!ほんともっと愛想よく優しくしてもらってもいいよね!たくさん課金してるんだから!」なんて思われているんです。(涙)

ゆえに、そんな師匠を持つ不憫な弟子たちは「お前の言う優しさは自分らしい優しさなのか?」なんて詰められた挙句、「優しくしたかったらしたらしいし、それよか自分らしくあるほうが大事やで」と突き放されているそうです。かわいそうですよねえ?

だから、あんまり「自分は優しくない」と思わなくていいと思いますし、そんなことで自分を責めるのも意味ないと思うのですけれど。

まあ、その辺よく分からなかったら、師匠以外の人にも意見を聞いてみてください。
カウンセラーとかコンサルさんとか開業にあたってお世話になる人とか。

いろんな見方を取り入れることが大事ですもんね!

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