5年前の出来事でも先月のように感じるならば、それは先月起きたこと。



心理学では「時間とは観念である」という扱いをします。
1分1秒の長さって決まっていると思いがちですが、実際の時間って伸び縮みしますよね?
皆さんも時計を見て「げっ!もうこんな時間!!」と思ったり、「ええ~!?まだ5分しか経ってないの???」と思ったりした経験、ありますよね。

楽しく、嬉しく、幸せな時間は過ぎるのが早く、
退屈で、面白くもない時間は過ぎるのは遅いです。

だから、時間というものは「自分自身の感じ方で伸び縮みする物」なんですよね。


さて、「失恋(あるいは離婚)して、5年経ちました・・・が、まだまだ全然彼のことを忘れられません」という話を伺うことがあります。

「もう過去のことで、済んでることなので、とっくに手放せてないといけないのですが・・・」という切り出し方をされるのですが、お話を伺っていると不思議な気分になります。

彼との付き合い方、別れ方、その後のショックな日々。
表情は曇り、時には涙も出て、辛そうな声になります。
それがまるで、つい先月くらいの出来事のように伝わってくるのです。

「時計が止まっていますよね」

そんな印象を受けざるを得ないのです。

この例では5年ですが、中にはもっと長い方もいらっしゃいました。
それが悪い、ということを言いたいのではありません。
それだけショックなできごとだったのでしょう、ということです。

例えば、お子さんを亡くされた親御さんは、そこで時計がピタッと止まります。
何年、何十年経とうが、お子さんが元気だった頃の話をイキイキと、でも悲しそうにされます。

同じことが恋愛でもやはり起こるのです。

しかし、もし前に進みたいのであれば、その恋は手放していくことをお勧めしています。
昔の彼を引きずったままでは、新しい彼に気持ちが行かないですし、失礼ですし、楽しくないです。

しかし、5年も時計が止まったままだと、「止まった状態がふつうの状態」になっていることが多いんですね。
つまり「元彼を忘れられないことが日常化している」のです。

だから、いざ手放そうと思っても、自分でも驚くくらいの抵抗が生まれます。
それでみなさん、「私、ちゃんと次の恋に行けるのでしょうか?」と不安が出てくるのです。

私がそういう場面で選ぶアプローチは、改めて5年前に時計の針を戻し、あたかもそれが先月の出来事だったかのようにもう一度、感じていきます。
一人ではなく、その場面を一緒に共有するようなイメージですね。

分かりやすく言えば、もう一度失恋するのです。

そして、そのシーンを回想しつつ、感情を解放しつつ、そして、新しい一歩を踏み出すべく、彼にきちんと別れを告げて行きます。

こうしたプロセスを一人で散々やってこられた方も、実際、カウンセリングの場面で体験されると全然違うイメージが湧くようで、「頭で分かっていたことを実際にやってみると全然変わりますね」と思います。

そして、改めて別れの手紙を書き、涙を流し、手放しのイメージワークをしていきます。
本当に先月それが起こったかのように。

時間の観念って無いですから、5年前だろうが、10年前だろうが、先月起きたように感じていれば、先月起きたこととして扱ってあげるのがいいんです。
時計に合わせるのではなく、感覚に合わせるんですね。

だから「もう5年も経ってるのに」とか思わなくていいんです。

そうして、自分の感覚に合わせて手放しのプロセスを進めていくと、やはり5年の年月は伊達じゃないですね。
ふつうよりもずっと早く抜け出せることも多いです。
ほとんど1回のセラピーで「大丈夫になっちゃいました」ということも多いくらい。

時計を止めつつも、ちゃんと5年の月日は意味を持っていた、ということでしょう。

そう、すぐに手放せるかどうかは別として、5年は決して無意味ではありません。
何かしら大きな意味とギフトを持っているものです。

もし、あなたの中に止まってしまった時計があるのならば、勇気を出して動かしてみませんか。
心が軽くなるだけでなく、いろいろな意味も見えて自分の成長や変化が実感しやすくなります。

ラブ・カウンセリング
男と女の心理学


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