震災で深まる絆、切れる縁。



ラブ・カウンセリング

先週は、震災の影響で「元彼への気持ちが蘇る」というお話をさせていただきました。
今週は、少し角度を変えまして、震災後の関係性についていくつかの例を紹介させていただこうと思います。

(タイトルは「切れる縁」と書いてありますが、災害等での死別を扱った記事ではありません。予めお断りさせていただきたいと思います。)

こうした大災害があると、私たちは不安や怖れの感情が強くなりますが、その一方で、本当に大切なものに気付かされたり、不要なものを簡単に手放せるようになったりするようです。


私がお伺いしたお話でも、「別れ話をしていた彼から『やっぱりお前のことが大切だと気付いた』と言われて復活した」とか、「こんな大事なときに一緒にいられないのはおかしいと、ずるずる関係を続けていた彼とあっさり別れられた」といったケースがありました。

だから、震災後によりパートナーとの関係が親密になった方も少なくないと思うんです。
生命の危機に触れ、家族やパートナーが生きてること、存在していることに感謝の気持ちが生まれ、より愛を感じてる方も多いでしょう。

とはいえ、逆に、親密だった関係に亀裂が入ってしまったカップルもいらっしゃるはず。(こっちが失恋クリニックの担当範囲ですね。)

例えば、「震災の後、急に彼の態度が変わって別れを切り出された」とか、「彼がパニック状態で自分のことでいっぱいいっぱいになって音信不通になってしまった」とか、「地震や原発のことで批判的なことばかりを言う彼に人としてどうなのかと思うようになり、気持ちが冷めてしまった」などもあるかもしれません。

2,3番目は何となく分かるところもあろうかと思うのですが、最初の例にあるように、「彼の態度が急変して冷たくなった」ようなケースは、全くもって腑に落ちないところがありますよね。

「え?私への気持ちってそんな程度だったの?」と、震災後の不安に追い討ちをかけるようなショックを感じる方もいらっしゃったかもしれません。

ケースバイケースなのですべてに当てはまるとは言えないんですけれど、震災に限らず、何か大きなショックの後に、こうして態度が急変するケースはよく耳にするんです。

それは男性の感情との付き合い方に起因するようです。

男性は普段から感情を抑圧してる生き物です。
女性と比べても、それほど感情を表面に出さない方も多いですし、そもそも、感情を否定している方だって少なくありません。(その典型的な例が「ロックマン(岩男)」と呼ばれる方々です)

そうすると、普段から様々な感情に精通している女性に比べると、強い不安や怖れを感じたときに、まさに茫然自失となって、その感情にまったく対処ができなくなってしまうんです。
いわば、ブレーカーが飛んでしまって、感情が麻痺してしまってるような状態です。

その結果、理性だけで行動するようになるんですね。
感情が麻痺した分だけ、「こうすべきだ」とか「こうしてはいけない」的な“観念”や“考え方”に支配されるようになります。
すなわち、まるで感情のないロボットが出来上がるわけです。

そして、感情がない分だけその態度は「冷たく」なりますし、ましてや、恋愛などの「感情」の影響が大きいものについてはほとんど関心が向かなくなるわけです。

だから、「彼女のことが嫌いになったから冷たくなった」というわけではなく、「感情が麻痺している、いわゆるパニック状態だから冷たくなった」と解釈するほうが妥当なことも少なくないと思うのです。

とはいえ、まさかあの彼がパニック状態だなんて外からは分からないですよね・・・。
そこがミソなんです。

「冷静なパニック」と言うと変ですが、皆さんも、震災の後、妙に頭が冴えて冷静だった方、いらっしゃいません?
それも、同じようなものなんです。

外から見れば、普通どころか活発で頼りがいのあるように見えて、実は心の中では大嵐になっていた・・・みたいな感じの方もいます。

だから、この状態の彼だとすれば、しばらく冷却時間を置くといいんですね。
世間が落ち着いてきた頃に連絡を取ってみると、何事もなかったように復縁することも多いはずです。

ただ、そのパニック状態から彼が「もうオンナなんていらねえ」という気持ちになっていると・・・ちょっと辛い結末を見るかもしれません。

また、ここからはシビアな話なんですが、そうしたパニック状態からの「別れ話」ではなく、“本当に大切なものが分かった”上での「別れ話」ということもあります。

「俺、本当は彼女のことがそんなに好きじゃなかったことに気付いた。一度しかない人生だから、本当に好きになれる人と付き合いたい」という風に。

こういう場合は、本当の“失恋”ですよね。めちゃくちゃショック大きいと思います。
しかも、きっかけがきっかけだけに割り切れず、また、余計に辛くなってしまったり、怒りが噴出してしまうこともあるでしょう。

でも、ちょっと見方を変えてみませんか?
もし、そういうホンネを隠し持っていた彼だとしたら、たとえそれまではうまくいっていたとしても、今後、そのいい関係は長続きしなかったと思うのです。どちらかが苦しいことになるだけで。
だから、震災が別れを早めただけ、とも言えるのかもしれません。

辛いかもしれませんが、震災のお陰で真実が見えたんだ、と解釈できれば心も少し救われるかもしれません。

とはいえ、ハートブレイクに違いはなく、ものすごく辛く、理不尽で、納得できず、また、寂しく、不安で、悲しみが溢れてくるでしょう。

それは失恋したんだからごくごく自然なこと。
この失恋クリニックを始めから読み返していただきたいな、と思うほどです。

すなわち、焦って何とかしようとせず、その自分の痛みにじっくりと向き合う時間を作ってあげるのが理想です。
それは友だちに泣きついたり、家族に甘えたり、カウンセリングに頼ったりということも一つの手段。
焦って何とかしたくなるかもしれませんが、そこは自分の痛みをまずは涙で流してから、と思ってもいいでしょう。

しばらく時間が過ぎた後、「私にとって本当に大切なもの」を見る目が養われていると思うのです。

参考にしていただけましたら幸いです。


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