[11/14]輝き出した自分と、対等な夫婦への成長。



カウンセリングの実際「浮気と離婚の危機とセックスレスの向こう側にあったギフト」

[11/14]輝き出した自分と、対等な夫婦への成長。

さて、こうして徐々にご主人との力関係が逆転していくにつれて、ご主人に対する友美恵さんの気持ちも、ちょっと冷めたものになっていきます。
(依存側は感情を感じ、自立側は感情を感じにくくなります)

仕事は順調で面白くなり、社長さんとも近づけるのが楽しく、嬉しい気持ちが勝ってくるんです。
長い間主婦をしていましたから、外に出る喜びや、女になれる自分が純粋に嬉しいんですよね。
実際、この頃の友美恵さんは仕事の話になるとキラキラ輝いていて、「いつ正社員になるのかなあ?」とか「そろそろ独立するつもりみたいですねえ?」とイジってみたりもしてました。


一方、その反動で、家庭ではぎくしゃくし、ご主人に近付きにくくなります。
何とか繕おうとしても、社長さんと食事をしてきた夜は、やはりご主人への罪悪感に苛まれますし、ご主人と比較して社長さんの方に大人の魅力、男の魅力を感じてしまうし、葛藤はますます強くなっていきます。
そして、この頃は改めてご主人の浮気などの出来事に対する不信感や恨み辛み、寂しさ、悲しみの感情が湧き出してもいるんです。

こういう時はたいてい理性的に自分を抑えようとするものです。
まるで「浮気はあかん、浮気はあかん。社長とはもう会わない、会わない」と呪文をかけて、コントロールしようとします。

でも、それは理性的な判断であると同時に、苦しい葛藤から抜け出したい気持ちから来るものでもあるんです。

だから、こうした強い禁止やコントロールは、心からの強い反発を招き、そう思えば思うほど「浮気しよう!社長ともじゃんじゃん会うたらええやんか!」という声が返ってくるものです。

そうして、ますます葛藤も強くなってしまうのです。

こういう時は危険も伴いますけど、そうした気持ちを否定して、抑えてしまうのではなく、むしろ、もっと感じて解放する方向に持っていくほうが良いんです。

つまり、「流れに身を任せる」ということ。(「感情に身を委ねる」ともいいます)

そういうと「じゃあ、社長さんの方に行ってしまうのではないの?」と思われるかもしれませんが、そうとも限りません。

流れに身を任せるというのは、何もせずに感情に流されることとは違うんですね。
今感じている気持ちを否定せずに受け入れ、そして、それをコントロールすることなく、ただ、そのまま、あるがままにしておくことを言います。

その上で行動を選択するわけです。

実はこれは成熟した大人の心が必要です。

子供は「感情」と「行動」は同じものです。
むしろ、「行動」は「感情」に飲まれてしまうんです。
だから、「したいからする、したくないからしない」といった行動になります。

でも、大人になると、「感情」はコントロールできないけれど、「行動」は自分で選択できることが分かるようになります。
それは様々な痛みや喜びなどの人生経験が教えてくれるものなのですが、感情に振り回されずに行動を選択することができるんですね。

友美恵さんに対しても、その気持ちを苦しいけれども何とかしようとせずに、あるがままに置いておきましょう、という話をしていました。
好きなものは好きでいいんですよ、と。
そこで焦ったり、罪悪感から自分を責めたり、はたまた、その感情を否定して押さえ込む必要はないですよ、と。

一方、ご主人もセックスレスを何とか解消しようと気を配るのですが、なかなか思いどおりにはいかないんですね。
どうしていいのか分からずに、ご主人が一人思い悩むこともありました。

友美恵さんも旅行先などでセックスがあっても、社長さんへの気持ちを始め、様々な感情が渦巻く中では満足感はなかなかありません。

でも、やはりご主人との関係が良くなる事を望んでいますから、セックスレスの解消も大事な目標なのです。
ご主人とのセックスが楽しめるようになれば、社長さんへの気持ちも断ち切れるのでは?という気持ちもあったのかもしれません。

そんなわけで平日は忙しいご主人ですから週末を期待するのですが、土曜日になっても、そんな雰囲気にならずに落胆し、時には涙までしてしまう友美恵さん。
そして、そんな友美恵さんを見て困惑して、罪悪感を感じるご主人。
また、そんなご主人を見て、また責めてしまった、困らせてしまったと悔やむ友美恵さん。

二人の間にはある種の緊張感が張り詰めていたのかもしれません。

うまくいかない時期は、何をしても歯車が狂ってしまうものです。
そういう時は焦って何とかするよりも、じっと時を待つほうが得策なのですが、なかなか感情は言うこと聞いてくれません。

期待して裏切られ、落胆し、時には涙を流し、そんなことをしてもご主人を困らせるだけと知っていながらも、どうしても止められないんです。
社長さんとのことも含め、本当に辛い時期でした。

実はこういうギクシャクして、物事がうまく行かないときに、その人の本質が見えてしまうことが多々あります。
友美恵さんはまっすぐに、素直に、逃げずに向き合える強さを持っています。
ご主人も責任感や男らしさを持っています。仕事も忙しいわけですし、ここで逃げちゃう男性は意外に少なくないですから。

だから、こういう歯車が微妙に狂っている時期は夫婦ともども人としての魅力を強力な研磨剤でゴシゴシ磨いている時期といえるのかもしれません。

ただ、こうした緊張関係は、二人の間の壁を厚く、越えられないものにしてしまいます。
そうすると、どちからがもう堪忍袋の緒が切れて「もうええわ・・・」と諦めの方向に向かいやすいんです。

だから、この頃は、こうした葛藤を癒したり、疲れや緊張を解したり、センタリングやグランディングのイメージワークをして更に腹を括っていくセッションを心がけていました。

あるいは、イメージワークの中でご主人と向き合い、近付き、許し、与えていくようなセッションも意識したと思います。

そうしてご主人との繋がりを感じられるセッションをすると、葛藤や社長さんへの気持ちなど表面的な感情とは裏腹に、友美恵さん自身がとても深い安心感を得られるようでした。

こうしたセッションを通じて友美恵さんも「私の戻るべき場所、私の居場所はやはり夫のところなんだ」という思いをしっかり持っていったのかも知れません。

とはいえ、そう気付いたとしても感情はなかなか思うとおりに動いてくれませんから、葛藤もますます強くなるのですけどね。
(分かっているのに、思い通りに行かない・・・という)

こうしたイメージワークは、自分を成長させ、さらに大人の女性になっていくプロセスをサポートしてくれます。
大人の女であることを許し、その喜びを感じ、受け入れていくことで、セックスレスを癒し、「ペットの私」を卒業する方向性をつけてくれます。

それは今までの一方的に受身である立場から、与えて、受け取れる、対等な関係性へのステップアップでもあるんです。

実は自分が自分らしくなれないときは、それをパートナーに投影しますから、パートナーをきちんと等身大で見られなくなるんです。(過大評価をして期待したり、過小評価して見下したり)

この時期の友美恵さんはどんどん磨かれて、お会いするたびに魅力的な女性になっていきました。

カウンセリングの実際

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