表面的な言葉だけでなく、そこにある意図・意味まで踏み込んで聴いてみると誤解もすれ違いも喧嘩もぐっと減って良好な人間関係が築けるようになる。



相手の話を聞いてるときって私たちは自分の中にあるフィルターを通してそれを聞いています。なので、時々相手の意図とは違う形でその言葉を聞いてしまうことがあるんです。
そのズレを修正しないままだとその誤解が広がって喧嘩になったり、距離を置くことになったりするんです。
「それってどういう意味?」と自己判断せずに一旦受け止めてみるといいのです。

今年の10月から私が監修したキャリアカレッジさんの通信講座「自己肯定感アップカウンセラー資格取得講座」が始まっているんですね。

こちらはテキストにQRコードが印刷されていて、質問があったらそこから気軽にできるようになっていて、その質問に私が答えるわけですね。

で、その中で「ああ、これ、いいテーマだなあ。けど、めっちゃムズイよなあ」という話がありましたので、ネタにさせていただこうかと思った次第です。

で、質問というのはこんな内容でした。

「自己否定ってしないほうがいいんでしょうか?というのも『自己成長するために自己否定は必要で、今の自分を否定してどこを変えればいいのかを考え自己成長につなげていく。自己否定がない人は現状に満足しており、成長したいと思わない人だ』という話を聴いたことがあります。」

これ、みなさんはどう考えます?どう思います?
みなさんから意見を聞いてみたいなあ、と思うんですよねー。

私のブログや本、セミナー、動画では「自己否定はよくないよねー」という話をたくさんしてますし、そのキャリカレさんのテキストの中でも「自己否定はやめたほうがいいよねー」という話をしています。

なので、質問者さんが「あれ?自分が聞いたこととは違うなあ」と思われるのも無理はないわけです。

で、こういうことってほんとよくあることだと思うのです。

そう言えば昔「ルールズ」という本が流行った時代がありました。00年代でしたっけ?
恋愛ルールブックみたいな感じで「こういう風にしろ!」「これはしたらあかん!」という端的な話がたくさん書かれてる本で、たぶんめちゃくちゃ売れたんじゃないでしょうか。

その頃、私のカウンセリングにでは「ルールズにはこんな風に書いてあるんですけどほんとうでしょうか?」とか「ルールズに書いてある通りにやったんですけどうまくいかないんですけど」などの相談がけっこうたくさん舞い込みまして、本を読んでいない私がその内容を把握しちゃうほどでした。

いわゆる「言葉のアヤ」という話でして、コミュニケーションにおいてよくあるすれ違いを生むものですし、このすれ違いによってしなくてもいい喧嘩も別れもいがみ合いも誤解もめちゃくちゃ生まれていると思います。

コミュニケーションってその表面的な言葉だけじゃなくて、その意図まで汲み取らないと理解し合うことは難しいよねー!という話です。

私がかつて書いた男女の違い本には男女間に起こる一般的な違いを列挙してまして、お互いを理解する手助けになればと思って書きました。

「愛されるのはどっち」(リベラル社)

「頑張らなくても愛されて幸せな女性になる方法」(リベラル社)

*動画配信/DVD:心理学講座「男女の違い講座~男と女はこんなにも違う!」

まあ、今の時代はこの「男女の違い」というよりも「男性性と女性性の違い」とした方が通りが良くなってきたので最近はあんまりこの手の話はしないのですが、要するに「自分の解釈と相手の解釈が違うことがあるから自己判断は危険だぜ!」ということをお伝えした本です。

ということで、冒頭の質問について私がどう捉えるか?という話に戻ります。

質問者さんはおそらく頭の良い方なので「自己否定が大切な理由」をちゃんと書いてくださってとても助かったんですね。

それでなぜその発言者が自己否定を大切だと言っているかが理解できました。

だから、私は「確かに!その発言者の考えもその通りですよね~」というニュアンスでお話をしていきました。

自己成長のために自分の足りない点、未熟な点を見つけ、改善していくためには自己否定的な目線はとても大切だ、という意見に私は反論はないんです。

というのも、おそらく、そういう考え方が自分にフィットする!という方もたくさんいらっしゃるだろうからです。

だから、「自己否定的な目線を持つことは大切だ」と心から思えるのであれば、それって全然問題ないですよね?

それで自己成長したり、自分をどんどん変えて幸せになっていくことができるのであれば、むしろ素晴らしいことだと思いますし、その方は成功者だと思います。

しかし、その一方で、自己否定が自分を傷つけることになり、自信を失わせ、自己肯定感を著しく下げてしまう人もいます。

そういう方にとっては自己否定をするのは毒であり、やめたほうが幸せになれるよー、と思います。

だから、「自己否定は良いか悪いか」という話って無意味だなあ、と思っているんです。

ある人にとっては薬になるし、ある人にとっては毒になるのだから。

私がカウンセリングをして出会う方々はどうやら毒になっている人が多いですし、自己成長のつもりが明らかに自分いじめになっちゃってる方によくお会いしているので、私が発信する情報は「自己否定は辛いよねー、やめたほうがいいよねー」という風に話をしています。

なので私は「自己否定は悪い!絶対やめるべきだ!」とは語ってないつもりです。
それがもし自分を不幸にしているのであればやめたほうがいいんじゃない?とお伝えしているつもりなんですよね。

だから、「自己否定」という言葉だけでやめた方がいいのか、やめなくても良いのかは分からないんです。

ちなみに、先ほどの質問文の中で気になった点がもう一つあるとすれば「自己成長ってしなきゃいけないものなの?」というそもそもの疑問です。

自己成長を求めることが正しいのか正しくないのかというのも、その本人の選択なので、一概には言えないと思うんですよね。

自己成長したい人は目指したらいいですし、そうじゃない人は目指す気にもならないでしょうし。

・・・こういう話をするので「心理学ってああ言えばこう言う学だよねー」と言われるわけですね。笑

ちなみに先ほど紹介したルールズにはこんなルールが書かれていたと思います。

「相手から来たメールにはすぐに返信してはならない。」(※当時はまだSNSが出る前でEメール主流の時代でした。懐かしいでしょ?笑)

メールをすぐに返信しちゃいけないのは、すぐに返事すると相手が「こいつ、めっちゃ乗り気だな。」と思って調子に乗られたり、「うわっ。なんかめっちゃ即レス。ちょっと怖い」と引かれたりする意図からなんですよね。

だから、その意図を理解せずに、単に「メールをすぐに返さない」という部分だけを覚えておくとヤバいんです。

なぜかというと、デートしてすっごく盛り上がって「来週も会おうよ!」というときにこのルールを適用したらヤバいと思いませんか?
むしろ、すぐに返した方がよりうまく行く可能性って高いと思いませんか?

だから、あくまで基本原則であって、応用編は無限にあるんですね。つまり、二人の関係性、お互いの性格、さらにはお互いの気分によってそれが正解かどうかなんて全く分からないのです。

でも、そのルールの意図が「相手が調子に乗ってこっちを上から目線で見てきたら嫌でしょ?」とか「あまりに積極的に行きすぎて相手が引いちゃったらヤバいでしょ?」というニュアンスであることを理解できれば、「お互いが盛り上がってるとき」にそのルールは適用外であることがすぐに分かると思います。

しかも、メールではなくSNSが主流となった今の時代ではそのルールを適用すると逆に「俺に興味ないんかな?」と誤解される可能性すらありますよね。

だから、時代と共にルールって変わり続けていくのです。

が、そのルールが持つ意図というのは案外変わってないようにも思います。

コミュニケーションのツールがメールからSNSに変わったとしても、あんまり返信が早く、熱量が強いと相手が引いちゃうことって変わらないですから。

そういうわけで、私が話を聴くときってよく「その意図はなに?」「それはどういう意味?」という質問が出るんです。

「自己否定って必ずしも悪いもんじゃないと思うんですよね。だからやめなくてもいいと思うんですよ。」

という意見を聞いたときに、いきなり否定から入るのではなく、「それってどういう意味?もう少し具体的に教えてくれません?」って聞くんです。

どういう意図で、自己否定が悪いもんじゃないと思っているかを知りたいからです。

そして、「私って成長欲めっちゃ強いんです。だから、自分の未熟なところ、うまくできないところを見つけて、それを改善して成長したい人なんです。そのためには自己否定ってすごく大事なことなんです。」とおっしゃったとしましょう。

そうすると「ああ、なるほど!それはいいですね!全然問題ないと思いますよ!」と私は思います。

先ほども書いたように私が自己否定はよくないよね、という理由は「自分を傷つけ、自己肯定感を著しく下げて、幸せを感じられなくするから」ですから、その方にそれは当てはまってないんですよね。

だから、その言外に含まれる意図を理解しないと一概に「○○はNG!」とか「△△すべきだ!」とか「××した方がいい」とは言えないのです。

でも、人って思い込みがありますよね。

特にかつて自己否定に苦しんでいて、根本さんブログや本でそこから抜け出して幸せになった人は「自己否定は良くない」と思い込んでいることも多いと思います。

そうするとその「自己否定って悪いもんじゃない」という話を聴いたときに、「え?そんなことないよ!絶対悪いものだよ!だってあたしはめちゃくちゃ苦しかったから!」と思ってしまうんです。

それは主観なのでそういう意見を持つことは悪いことじゃないのですが、それはあくまで自分自身の思いであって、相手とは違うんです。

だから、それがあくまで自分の主観であって、相手とは違うってことを理解していないと、自分の価値観を相手に押し付けたり、一方的に「あの人とは合わない」と決め付けてしまったりして、ちょっともったいないことをしてしまってるかもしれません。

今回の新しい本「今日こそ自分を甘やかす」(大和書房)にはいきなり1章めに「自分に厳しすぎる“修行僧”になっている」という項目が出てきます。(この1章は無料で誰でも読めます!

そうするとまるで修行僧があかんみたいな風に見えると思うんですけど、そういう誤解をしてほしくないので

「もちろん、あなたが「悟りを開きたい」という強く願って山にこもったり、滝に打たれたりしているのであれば自分に厳しくても構わないかもしれません。」(本文より抜粋)

という風にフォローをしてます。

修行がしたくて修行している人はいいけれど、そうでもないのに修行しているかのような生き方になっていませんか?それって辛くないですか?という問いかけなんです。

講演会でもお話ししましたけど、私は修行僧を否定しているのではなく、むしろ憧れであり、尊敬してやまない存在で、youtubeで千日回峰行などの動画を観ては胸を熱くしています。笑

こうした相手の意図を汲み取る、相手の真意を聴く、ということはめちゃくちゃ重要でして、円滑なコミュニケーションを図り、良好な関係性を築くにはすごく役立つことだと思っています。

そして、この作業ってのは決して面倒なことではありません。

相手を尊重する。
相手といい関係を築きたい。
相手を理解したい。

そういう意識があれば自然とできることでもありますし、それによって自分とは世界観の違う出会いを得られるので、むしろ、楽しい作業でもあるんです。

今回頂いた質問、すごく「おお!そうか!確かにそういうこともあるな!」と感動したんですよね。確かにそういう見方もあるよなあ!と納得しました。

「相手はどういう意図でそう言っているんだろう?」
「相手の○○という言葉はどういう意味なんだろう?」

そういう意識を持ってみるだけでスムーズになるコミュニケーションってたくさんあると思うって話でした。


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 『その言葉の意図はなに?一歩踏み込むコミュニケーション
 


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