「なぜ、この人はいつも人にダメ出しばかりしているのだろう?」の裏にあるもの~投影の法則~



「この人、言い方がきついなあ」と思う人。
その人はきっと自分自身にはもっときついことを言ってるはず。

「この人、いつも人の欠点ばかり指摘してくるなあ」と思う人。
その人はきっと、いつも自分のダメなところばかりを探しているはず。

「この人、不平不満ばかりを言ってるなあ」と思う人。
その人はきっと、自分の毎日に、生き方に不満を抱えている人。

「この人、いつも他人に怒ってばっかりだなあ」と思う人。
その人はきっと、自分に対していつも怒りを向けている人。

「この人、細かい点ばかり指摘してくるよな」と思う人。
その人はきっと、自分のことを細かく見ている完璧主義な人なのかも。

「この人、全然人を褒めないよな」と思う人。
その人はきっと、自分のことも全然褒められていないと思う。

「この人、いつも自分を正当化ばかりしてるよな」と思う人。
その人はきっと、自分が正しくないことを知っていて、それを隠しているんだと思う。

私たちはいつも「自分にそうしているように、他人にそうする」ものです。

「でも、その人がそんなに自分に厳しいとは思えないんですが。むしろ、『私はいいのよ』って自分に甘い気がするんですが・・・」

そういう疑問が出てくることもあるでしょう。
そういう時、私はこんな風に解説しています。

「その人はほんとうは自分に厳しいのよね。すごくダメ出しをしてるのよね。だけど、それを出したら周りの人からもダメ出しされると怖れるのよ。だから、その部分を隠して、『私はいいのよ』って防衛しているのよ。」

人は表面に出ている態度で判断されることが多いし、判断してしまうことが多いです。

そんなとき心理学は「なぜ、そういう態度を取るの?」という理由を明らかにしてくれるものです。

「そういう行動をする人はどんな心理からするのか?」を解き明かしてくれるのです。
中でも「投影の法則」はすでに周知されてる言葉かもしれませんが、とても役立ちます。

その投影の法則から分かるのが、先ほどの、「自分にそうしているように、他人にそうする」という行動原理。

自己嫌悪が強い人は、自分を嫌悪する情報を無意識に集めます。
これがダメ、あれがダメ、ここをもっとこうしたらいいのに、自分がこうだったらいいのに。

そういう自分自身に対する見方が投影されて、他の人のこれがダメ、あれがダメ、もっとこうしたらいいのに、あなたがこうだったらいいのに、という見方になるのです。

自己肯定感があがっていき、自分に対する見方が変わると、周りの人への見方も変わることが次々報告されています。

自分を「ありのままでいいんだ」という風に見ると、他人に対しても「そのままでいいよ」という見方ができるようになるからです。

ある人は「気が付けば職場の雰囲気がガラッと変わっていたんです!!」と驚くことになります。
「人も仕事も何も変わってないのに、みんなすごくいい人になったんです!!」とまるで魔法にでもかかったかのように目を輝かせて報告してくれるんです。

でも、それはあなた自身が変わったからに他なりません。

きっと周りの人はもともといい部分をたくさん持っていたんです。
けれど、自己肯定感が低く、否定ばかりしていた頃の私は、周りの人たちの悪い部分ばかりが目に付いていたのです。
それが、自己肯定感があがるにしたがって、自分のいいところも悪いところも受け入れられるようになり、その結果、周りの人たちのいいところにも目が向くようになったのです。

「セールスの基本はまず自分に売ること」という話を聞きます。

自分が売りたい商品を、まずは自分が欲しているのか?自分が買うのか?という意識で見ていくということです。

これもまた投影の法則を応用したものと言えます。

同様に、「もし、意中の人から好かれたいならば、自分のことをもっと好きになるといい」という原則も存在します。
それで「男が欲しいんです!!!」とヨダレを垂らす武闘派女子たちに「好きなことをして、もっと自分が輝けばいいんだよ」という話をさせてもらうのです。

お子さんのいらっしゃるママやパパに「子どもにどんな風に育ってほしいですか?」ってお聞きします。
その答えこそが、今、そのママやパパがすべきことなのです。

自分を愛した分だけ、人を愛せる。
自分を喜ばせた分だけ、人を喜ばせられる。
自分を笑顔にした分だけ、人を笑顔にしてあげられる。
自分が楽しんだ分だけ、人を楽しませられる。
自分を幸せにした分だけ、人を幸せにしてあげられる。
自分を信じた分だけ、人を信じられる。

自分に与えた分だけ、人に与えられる。
自分が受け取った分だけ、人から受け取れる。

詳しい説明は省きますが、「与える」と「受け取る」は同時に起こります。
だから、最後の二つはこう言い換えることもできます。

自分に与えた分だけ、受け取れる。
自分が受け取った分だけ、与えられる。

さらに、愛する、信じる(信頼する)、与える、受け取るは同じ意味ですから、言い換えも可能です。
自分を愛した分だけ、人を信じられる、という風に。

もし、自分に与えてないのに人に与えてるように見えるとしたら、それは「犠牲」です。
だから、いつしか燃え尽きてしまいます。

もし、自分のことが大嫌いなのに人を愛そうとするとしたならば、いずれ「見返り」が欲しくなります。

このシンプルな法則を知っておくだけで、今の何をすればいいのかが分かってくると思います。

あなたは人に何を与えたいですか?
それをまずは自分自身に与えてみましょう。

あなたは何を受け取りたいですか?
それをまずは誰かに与えてみましょう。

じゃあ、問題です。

「豊かになりたい!!」と思うならば、まずは自分に対して何をすればいいのでしょう???

「パートナーが欲しい!!」と思うならば、まずは自分に対して何をすればいいのでしょう?

答えはひとつじゃありません。

今ある豊さを受け取ってみたらどうかな?
自分を愛してパートナーに相応しい自分になってみるのはどうかな?

まずは自分自身に、がおすすめです。


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